閑話 パピコわけあいっこ
夏は千歳と朝早くに散歩しているが、毎日酷暑なので、朝早くでも、もう全然涼しくない。運動不足解消のためにそれなりに歩きたかったのだが、今日は暑さに音を上げてしまった。
「いや、ダメだ暑い、あっちのコンビニでちょっとだけ涼んでこう」
『そうだな』
道の先にあるコンビニを指差すと、千歳(朝霧の忌み子のすがた)も暑かったみたいで、すんなり頷いた。そして、少し首を傾げてから、俺に聞いた。
『なあ、パピコ半分ならお前、腹壊さないか?』
「え? まあ、それくらいなら」
『奢ってやるから、コンビニで買おう』
「わ、ありがとう」
コンビニに入る。クーラー特有の冷気が俺たちを包みこんだ。汗かいてる時に店のクーラー当たると冷えすぎるんだけど、今日は冷え過ぎを感じないくらいに体が熱かった。
千歳はアイスコーナーに真っ直ぐ向かっていった。俺もついていく。
『お前、ホワイトサワーとチョココーヒーどっちがいい?』
千歳は、パピコが置いてある一角を指さした。
「えっと、ホワイトサワー」
千歳の好きな方でよかったんだけど、暑すぎて思考力が低下していて、要望がそのまま口から出てしまった。
『じゃあこれわけっこな!』
千歳は笑ってパピコを手に取り、レジに向かった。イートインがあるコンビニだったので、二人で席に座ってパピコを分け合う。うわー、火照った体だとアイスの冷たさが格別!
千歳がパピコから口を放して言った。
『ホワイトサワーって言うけど、完全にカルピス味だよな』
「まあ、乳酸菌飲料って意味なんだろうけど、けっこうカルピス味でカルピスの名前じゃないの多いよね」
俺はまたパピコを口にした。うん、食べれば食べるほどカルピス味だなこれ……。
パピコの冷たさが頭に染み渡るにつれて、だんだん考えられるようになってきた。誰かとパピコ分け合って食べるなんて、小学生の時おっくんとやった以来だな……。……え、ていうか、俺、好きな人とパピコ分けっこして食べてるの!? うそだろ、そんな甘酸っぱいこと、俺の人生に起きると思ってなかったんだが!?
千歳はパピコに夢中になっている。うん、千歳は恋愛なんてピンとこないもんね、俺が衝撃受けてるのは何もわかんないよね……。
まあでも、千歳と一緒にいられたら、こういう甘酸っぱい思いをこれからも出来るのかな。俺、そういうの全く耐性ないんだけど、受け止めきれるかな……?




