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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第9シーズン

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隣に座ってやる気出したい

 千歳に、峰家から正式に仕事が来た。契約書は金谷さんと一緒に書いてきたとのことで、やる仕事ももうもらってきたそうだ。


『結構たくさんあるなあ、まあ時間は余裕持たせてもらってるけど』


 封筒からガサガサ和紙を出す千歳。和紙にはすでに筆でびっしり文字が書いてある。くずし字ではないんだけど、読んでも、神社で唱えるような文言ってことしかわかんないな……。


「それお手本に書くの?」

『いや、何もつけてない筆でこの文章なぞって、念を込めるだけだ』


 千歳は和紙をテーブルに広げ、封筒に入った筆も取り出した。


『峰家って術式一本で食ってるところだから、そんなところが作ってるのなんていじったら、それだけで台無しになる』

「術式っていうのがよくわかんないんだよな、どういうものなの?」


 千歳を呪ったのしかよく知らないんだけど、なんか、千歳の守り刀にも峰家は細工してるから、いい方にも悪い方にも使えるものなのかな?


『まあ、祝詞にもなるし、呪いにもなるし、みたいなもんで、言葉をしっかり正確に使わないと作れない。いろんなルールがある。でも、書いた術式を作動させるには、文字に強い念を込めなきゃダメ、みたいな感じだ』


 ふーん、プログラミングとか回路みたいな感じなのかな。で、プログラミングや回路を動かすには電気がないといけないわけで、千歳の念とやらは電気?


「文字はもう書いてあるから、念を込めるのは千歳って感じ?」

『そう。本当は術者がこめるんだけど、術式書く才能と念込める才能って別物だから、分業もある感じだ。でも念を込めるのは文字に対してだから、ワシは文字をなぞらなきゃいけない』

「へえー」


 何もつけてない筆で文字をなぞりだした千歳を見て、俺は思った。こういう作業をよくするなら、千歳にだって作業机がいるのでは? 食卓に使うテーブルでやるのは、食事のたびにいちいち片付けなきゃいけなくて、大変では?


「千歳、そういうのやるなら、自分の机欲しくない? 食卓でやるといちいち片付けなきゃだから、大変じゃない?」

『え、でも置くスペースあるか?』


 千歳は首を傾げた。


「千歳の物入れ棚を俺の方に寄せれば、小さめの机くらい置けない?」


 俺の机から少し離れた所に、前に買った千歳の鍵付き物入れがある。俺の机と物入れをくっつければ、部屋の隅にもう一つ机くらい置けそうな気がする。


『あー、まあ……置けるか……』


 千歳は頷いた。


『この仕事、定期的にやってくれって言われたしな……まあ、机あったら置いとけるな……』

「峰家に必要経費ですって言ったら、机と椅子代くらい出してくれるかもしれないよ」


 俺はフリーランスとしての着眼点を口に出した。


『聞いてみる、でも今はちょっと作業進める』

「あ、邪魔してごめんね」


 その時はそれで終わったのだが、あとで千歳は部屋のスペースを測り、Amazonか何かで机を注文したようだ。2日後には組み立て式の机が届いた。

 で、千歳はなぜか、物入れを部屋の隅まで持っていった。


『お前の机の隣に机置く』

「え、そうすんの?」


 物入れを動かす距離的に、俺の机に物入れを寄せてスペース作ったほうがいいかなと思ったんだけど。いや、でも、千歳は力持ちだから、多少の距離の違いはなんでもないのか。


『お前の隣に机置くの嫌か? 集中できないか?』


 千歳は心配そうに聞いてきた。

「いや、そんなことないよ、どうぞどうぞ」

 そう言うと、千歳は俺の机にぴったり新しい机をつけて置いた。


『よし、これでお前が集中してる時ワシも集中しようって気分になる』


 千歳は満足気に頷いた。


「あ、それで隣に置きたかったの?」

『うん』


 そういう訳で、俺と千歳は並んで座って作業するようになったのだった。うーん、別にサボる気なんてなかったけど、千歳が頑張ってる時は、確かに気を抜くのが憚られるな。俺的にも、よかったかもしれない。

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