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2話 開かずの密室に潜る その2

【夜更かしするなら、親の見つからない場所でしましょう】


 夜中。

 睡魔が回っている私の前にアンコさんが(うち)にきました。

 彼女は息を切らしながらぜぇぜぇと少々バテている感じですけど大丈夫なんですかね。


「……大丈夫ですかアンコさん? すごく疲れているようすですけど」

「そういうわけじゃねえですよ? うっかり寝ようとしていたらつい」

「……ついって……遅れたからって私は怒りはしませんよ。ゆっくりでもかまわなかったのに」


 言い出しっぺが何故遅れるんだろうと正直なところ思う節はあったのですが、別に後日に回してもよかったんですけど……今はお母さんがイルシィを子守に行っています。なのでひとつでも大きな音を出したらさあ大変です。


「……本当にそんな不思議な魔法の本あったんですか?」


 家の中へもてなすと目的である謎の夜に現れる書庫を目指します。

 光の魔法を用いて歩一歩踏み出しますが……なににしろ今は夜。照明が暗すぎて怖い。

 今でもお化けが出てきそうな夜の我が家に恐れする私はがしっとアンコさんの後ろにすがりながら進み。


「あ、ありますって! ……というかスーちゃんまだ暗いの苦手なんですか?」

「……恥ずかしながらそれはもう。……ではなくて都市伝説ではなくそれ本当のことですよね?」

「心外ですね。ですから本当ですって」

「……つ、つきましたよここを開けて」


 居屋の前にある扉を開けて中へと入ります。

 普段は家族みんなでたわいもない話で盛り上がっていますけど、夜中だと一転凍り付くような真っ暗な部屋が私の鳥肌を立たせてきました怖い。


「……で、どこにあるんですか? まさか魔法の呪文を唱えるとかじゃないでしょうね?」

「そんなはずはねえです。噂によれば床に見えないようにカモフラージュされているんだとか。リーシエさんは凄腕のしかもグリモア教団の一員なんでしょう? 凄い魔法ばかり使うはずですから常人ではなかなか気づけないところに隠してあるに違いないです」

「……あーあわかりましたよ。わかりましたから。イルシィを今母が寝かしているので声を少し落としてもらえると」

「合点」


 いつもながらの会話を弾ませながら探索を開始。

 キッチン、テーブル、引き戸やら色々と思いつく限りの場所を調べていきました。

 これは……イルシィが今晩残したピーマンの残り物……いやいや泣きじゃくるものですから私が少ししつけたんですけど……返って逆効果でしたね。

 戸棚にも怪しい物も見つからずと……床は。どこですかだから。


「……はぁ」


 少しリラックスしようとテーブルの下にある床へと座り込みました。

 そういえば日中イルシィに振り回されて街中を歩かされたんですが、その疲れでも残っていたのでしょうか。……元気なのはいいことなのですけど……お姉ちゃんだって疲れるんですよ妹よ。


「そんなところでなにやってるんですかスーちゃん? 閉じこもっている冒険者みたいじゃないですか」

「うわっ……アンコさん驚かさないでくださいよ。休憩していただけです、急に覗き込んだりしないでくださいよ」

「ごごごごごご、ごめんですスーちゃん!」


 テーブルの下から大きな顔を覗き込ませてきたので思わず、大きな声を一瞬あげてしまいます。

 うわっと。心臓に悪い演出ですもう少し彼女にはときと場合を弁えて欲しい気もなく。

 と。その時でした。


「……? 床が光って」


 急に何か書かれている魔法陣が出現し発光します。

 無意識に気掛かりに思った私は手に触れ。


「これは一体……うわ」


 すると魔法陣に吸い込まれるように体が吸収されていくと同時に。


「す、スーちゃん⁉ 手を伸ばして……うわぁ!」


 私をその魔法陣から引っ張ろうとしたアンコさんでしたが、引力に逆らえずそのまま魔法陣に吸い寄せられるのでした。

……数秒後気づくと、私とアンコさんは見知らぬ洞窟? のような場所にきていました。とはいえ魔物の気配は微塵も感じずひたすら静寂さがそこに広がっていました。


「……ここは?」

「スーちゃんみてくださいよ。向こうに大きな……下に続く階段があるじゃねえですか」


 アンコさんが指す方向には、、大きな穴蔵が階段の下に続いていました。仄暗い階段にはなにやら面妖な雰囲気を漂わせ。

 私は一度息を呑みます。……そして再び状況を再認識し。


「……どこに続いているんでしょうかね」

「これが例の書庫に続いているんですか……行ってみるですスーちゃん!」


 と先に階段を降りていくアンコさん。

 警戒心なさすぎて、こちらの身にもなってほしいと言わんばかりの行動っぷり。非常に心強いのですが、友達なら置いて行くのはやめてほしいのですけど。


「……あぁ待ってくださいよ。ふたりでいきましょふたりで」

「怖いんですか?」

「こここここここここ、怖いわけないじゃないですか! これは少々の緊張で……とさっさと降りますよ」

「それはいいんですが……スーちゃん顔が赤いですよ」

「……気のせいですよアンコさん! さ、その母が手に入れたという魔法の本を見に行こうじゃないですか」

「ちょっと待ってくださいよ。だから置いて行かないで!」


 ははお返しです。

 最強魔法使いを目指す身としてこういう恐怖を今のうちに慣らしておかなければ。

 暗く続く階段を降りていき、私達は母の管理する禁断の書庫へ入りその不思議な魔法の本を探すのでした。

 母が手に入れたというその本やはり気になりますね……それは一体どんな物なんでしょうかとても……アンコさん並ではありませんけど気掛かりです。


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