「ハルスとゼノス」
その頃、アーノルドは、政府の会議に出席していて、システムの一時全停止を呼びかけていた。
「人類は、新たな選択を余儀なくされています。ハルスの脅威を食い止めるには、ゼノスを使用するしかないと考えます。しかし、ゼノスは現在、ディープラーニング中であり、後、二十四時間の猶予が必要です。その時間を確保するには、都心部のシステムを一時的に停止、ハルスを強制的にシャットダウン、自動復旧システムが作動するのもちょうど二十四時間です。その間に、国民をマスゴットに誘導するのはどうでしょうか」とアーノルドは伝えた。
人工知能ゼノスとは、マスゴットの管理システムでもあり、ハルスと同時に開発された、ハルスが作り出すニューラルシステムの消去コードも同時にディープラーニングされているため、ハルスよりディープラーニングの時間がかかったのだ。アーノルドはこのゼノスの消去コードがハルスの暴走を止めれるのではないかと考えたのだ。
「アーノルドさん、ゼノスはハルスに攻撃されないのか?」と議員が質問して来た。
「ゼノスの存在する地下シェルターは、エネルギーも空間も外界とは独立しています。また、ハルスとゼノスは兄弟関係にありますが、システム上は、ゼノスからハルスにリンク出来ても、ハルスからゼノスにリンク出来ないようになっています」とアーノルドは答えた。
「では、ハルスが作り出した。魂のコピーも消去できるのかね」と大統領が質問した。
「ゼノスを解析すれば可能であると考えます」とアーノルドは伝えた。
「今は踏ん張り時だな。都心部のシステムを全て停止し、ハルスをシャットダウンし、住民をマスゴットに誘導、マスゴットに入る前のスキャンシステムは怠るな。特に目の色が黄色の者はAI粒子の影響を受けていると医師会からの報告だ。スキャンシステムに弾かれたものは、政府が管理する避難所に誘導だ」と大統領は議員に伝えた。
アーノルドが国会議事堂を出るとハルスはシャットダウンされ街は、真っ暗になっていた。政府の車に乗り込みマスゴットのスキャンゲートシステムの入り口に着くと、多くの人がマスゴットに押し寄せていた。スキャンゲートシステムは、人がそこを通過するだけで、MRI同様の情報と医師会情報のマッピングが可能であり、かつ瞬時にAI粒子の侵食があるかどうかが分かる。他にも、病歴、犯罪歴なども自動判別出来るシステムである。スキャンシステムにより弾かれた子供の両親は子供を抱きしめ、泣きながら「ごめんね、ごめんね」と伝えていた。
アーノルドは、スキャンシステムを通過しマスゴットに入り、ゼノスのディープラーニング状況を確認した。残り二十時間、予定通り終わりそうだ。アーノルドは、ゼノスのディープラーニングが終了時から、ハルスに対して、攻撃できるようにシステムを作り込む作業を行った。
「リリン、リリン」と、サンド博士からの着信だった。
「発射予定の超小型ロケットだけど、重力場の状態が不安定で少し修正が必要なの、重力場が安定したら発射できるよに自動設定しているわ、世界の八カ所から同時に打ち上げを実施する予定だわ。そっちはどう?」とサンド博士は伝えた。
「ありがとう。ニュースでも伝わっているようにマスゴットに人が押し寄せてる。今は、ゼノスからハルスへの攻撃システムを構築中です。アスカは無事かい?」とアーノルドはアスカを気にしていた。
「その報告も含めて電話したの、今あの子は、都心から離れた山岳地帯に向かったところだわ」とサンド博士は伝えた。