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シックス・フィート・アンダー

 見渡す限り、墓地がある。等間隔で、同じ深さ、同じ大きさの穴に、人一人分余った土で山があって、白くて丸い石が一つ。

 もうじき汽車が来るからと、ずらりと並んだ墓を背に歩き出す。平たい大地にぽつり、無人駅があった。灰色のホームと、空に溶けるような青い屋根。ぽつんと置かれたベンチで、相方が手を振っていた。


「ここは冷えるねえ」

「うん」


 夜空から、きらきらと光の糸が垂れてくる。それはいくつにも枝分かれして、ホームへと続く線路になった。汽笛が聞こえる。分厚いケープから手を出して、相方と繋いだ。


「死出の引廻し達か」


 顔を面で隠した車掌が、帽子のつばを上げる。


「切符は?」

「ふたり」


 藍色に金の字の切符を二枚受け取って、二人は席に着く。ボックス席で向かい合うと、二人はそろって窓から外を見た。


「相席、いい?」


 一人の少年が、二人に声をかける。二人はそろって、どうぞと椅子を差し示した。


「どこに?」

「ひとの死ぬところへ」「どこか遠いその場所へ」

「ふうん。いそがしそうな仕事だね」


 二人が同じ側の席に移動して、少年は窓際に座る。やがて、からんころんと発車の合図が鳴った。

 汽車が傾いて、光の線路を辿っていく。駅はぐんぐん遠くなり、並んだ白い石が、あっという間に見えなくなり。


「ご覧よ」


 白い指が、窓の外を差した。少年は顔を上げて、そちらを見る。白い光が尾を引いて、いくつも、空へと昇っていた。その星が手のひらほどの大きさになる頃には、星そのものが光って見えた。

 しばらく、三人は黙って汽車に揺られていた。銀色にきらきらと光る星を目に浮かべて、少年はゆっくりと一つ、瞬きをする。星がたくさん入った雫が、頬から顎へと伝っていった。


「哀しい?」

「哀しい」


 少年は答える。


「僕もいつか、光になるんだ。みんなみたいに」


 少年は、胸に白い石を一つ抱いていた。


「そのとき、君達は送ってくれる?」

「きっと」「きっと」


 その少年は、次の駅で降りた。


「ありがとう、生きてみるよ」

「またね」「またいつか」


 二人を乗せて、汽車は動き出す。

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