表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/100

侵入者

微ホラー

 玄関の外に、何かがいる。


 そんな夢を見る。

 恐ろしいとは思わない。ただ自分は、夜中だというのに目が覚めて、何となくカーテンを開けて、月の明かりだけで部屋の中を見ている。

 昔から、妙に明るい夜空の夢を見た。まるでアニメの中のように、月の光がくっきりと雲を照らしているのだ。街灯のない満月の夜でも、部屋の中を照らすほど明るい月の光はそうそうない。

 青白い光のフィルターがかかったような景色。わたしの家は、大学生によくある、キッチンと水回り、それから一部屋という間取りだ。

 わたしは、足音を立てないように玄関に近付く。真夜中だ。玄関横の小さな窓からは、藍色の夜空が見える。


 誰かがいる。


 それは確信だった。わたしは、何度も、玄関の窓から外を見る。何も見えない。何も通らない。私の家の前に来るためには、その窓の前を通らなければいけないのに。

 けれど、誰かがいる。郵便ポストには内側にバンダナを張り付けてある。開いても中が覗けないように。覗き穴にはガムテープを二重に張っている。それらに異常はちっともない。

 けれど、その扉一枚を隔てた先に何かがいる。その確信だけを持って、わたしは玄関の前で、入ってくるなと念じていた。



 目を覚ます。そんな夢のことを忘れる程度の日数が経つ。

 また、夢を見る。ベッドの上から、玄関を見ていた。

 誰かがいる。ドアノブを回したり、ドアを揺らしたりしている。そんなことをしても入って来られないとは分かっているのに、わたしは、入ってくると確信をもって恐れていた。



 目を覚ます。朝日の差し込む部屋を見て、安堵する。そして恐怖を忘れる程度の日数が経つ。また夢を見る。

 玄関から部屋の入り口までの間に、何かがいた。

 真っ黒な影だ。向こう側が透けて見える。景色に、掠れた筆ペンで何度も縦線を引いたようなもの。

 動きはしない。ただ、そこにいる。



 目を覚ましたのは夜明け前だった。目をつぶって電気をつけた。玄関までの道が一直線になっていないことを何度も確認した。それから、玄関のカギとチェーンがかかっていることも。


「いる」


 そう声が聞こえた。自分の声だったと思う。けれど、口を開いたという意識はなかった。



 また夢を見る前に、引っ越そうと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ