純愛と花瓶
※残酷な表現あり
たとえば僕が君に愛を囁くなら、まずはとびきり上等なスーツを仕立てるところからだろう。
プレゼントを携えて、君に飾るための花を両腕で抱えるほど買い込んで、それから君の耳から、僕の愛を注ぎこむ。君の顔が恍惚に染まるまで待ってから、君の首にキスをしよう。少し冷たいだろうね。それから髪を丁寧に漉いて、つま先まで丹念に磨き上げたらプレゼントの出番だ。君へのオーダーメイドのドレス。
そう考えると今から胸が騒いでくる。君の髪にはどんな花が似合うだろう。指には金属よりも花の指輪がいい。ドレスにだって。色とりどりに飾り立てるんだ。そうなった君はもう世界中の誰よりも可愛らしいプリンセスだ。
そこまで想像するだけで、僕は興奮が抑えきれなくなる。そうだ、今日からもう準備をしよう。道具はとっくに揃っていて、ずっと部屋に飾っているのだから。
まずは材料を深い眠りに導いてあげよう。怖くないように。
それから小さな傷を作って、血を綺麗に全て抜いてしまおう。その後の面倒がないように。
腐りやすい内臓は真っ先に取り出さなければいけない。脳もそうだ。目玉はとても惜しいけれど、花を活けるのに邪魔だから、仕方がない。迷いは完成度を下げる。
完成には手間と時間と忍耐が必要だ。けれど、完成した君はきっと美しいだろう。完成するまで毎日愛を囁こう。完成したら毎日新しい花を活けて愛の言葉を贈ろう。そして毎晩愛し合おう。きっと仕事の疲れも吹き飛ぶだろう。
ああ、ああ、嗚呼! 想像するだけで何と充実した日々か! 君がいるという事実だけで、僕の人生がなんと華やぐことか! 素晴らしい未来だ。素晴らしい未来だ!
ああ、忘れるところだった。まずは上等なスーツを、仕立てないと。




