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愛され方を知らない君へ
首が締まる。息が苦しくなる前に、頭に昇った血で嫌な痛みがする。段々息が苦しくなってくる。やめてくれと手に手を添えて、君を僕から引き剥がす。そうすると君ははっとして、泣きじゃくって僕に縋り付く。怖がらせてごめんよ、と君の背を撫でた。
君の指先が、僕の胸から腹をそっとなぞる。両掌を合わせて、指先を絡ませる。唇を重ねる。脚で脚を挟み込んで、両腕が互いを拘束する。
君が嫌だと泣くので、僕は離れる。君は大きく何度も息を吸って、また、ごめんなさいと頭を下げた。
「あたまがおかしくなりそうなの」
それは僕も同じなのだけど。
もう一度、キスからやり直す。また、直前で君が拒絶する。そんなことが三回続いた。そのあたりで、ぷっつんと、僕は辛抱が効かなくなった。
痛いと泣くので、唇を、僕の口で塞いだ。そうすると、痛そうにするくせに、両腕で僕を引き寄せてきた。
それから先のことは、よく覚えていない。
「乱暴者」
「臆病者」
「ひどい、痛かった」
「君が焦らすからじゃないか」
「怖かったの」
「僕だって怖かったよ」
「……でも」
「……うん」
君がまだ、愛され方が下手なように。僕もまだまだ、愛し方が下手なようで。
それでも、欲しがってしまうのは、恋ってやつだろうか?
僕達はもう一度、喧嘩するように乱暴に、皮膚を重ねた。




