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タンブラー

 お気に入りだったマグカップが割れた。別に高いものじゃないけど結構へこんだ。割れた原因になった彼氏は、ごめんごめんと軽く言った。買って返すってさ。

 怒った。高いものじゃないけど、結構大切なものだったんだって。物っていうのは、買って、使って、その思い出まで全部ひっくるめて大切なんだ。だからそんない簡単に、買って返すと言われても、もらう気なんてさらさらない。

 明日買いに行くからいい、と突っぱねたら、じゃあ俺も行くとうるさかったので、しぶしぶ了承した。


 ショッピングモールのちょっとおしゃれな専門店で、マグカップを吟味していたら、彼氏が「これもいいんじゃないか」と商品を一つ差し出してきた。隣の棚のタンブラーだった。シンプルな空色のデザインで、クリーム色の取っ手が付いている。透明な蓋も合わせて、私好みだった。けれどそれを持ってきたのが彼氏だったから、ちょっと反抗心が沸いた。それで、いいと思うなら、買ったら? って言って、私は私でマグカップを買った。


 家に帰って、彼氏が買ったタンブラーを箱のまま私につき出した。職場で使えって。

 そのタンブラーは今私のデスクの上にある。憎たらしいことに、使うたびに、これは彼氏からのプレゼントだと思い出す。私が、物には思い出が云々とか言ったからだろうか。


 新品ぴかぴかのタンブラーだっていうのに、もうきっちり、大切な思い出が上書き保存されている。

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