表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/100

終末、どこへ行きますか

 八月一日。


「非常に残念なことですが、人類の寿命はあと一ヶ月と観測されました」


 ただそれだけの、薄っぺらい言葉で世界はパニックになった。戦争か、飢饉か、それとも隕石でも降ってくるのか。素人から玄人までがせっせと議論しても答えは出ず。ただ唯一事実としてあったのは、八月になってから新生児が一人もいないということだった。

 けれど人間の現実逃避の能力は凄まじくて、三日もしないうちにいつもの日常が戻ってきた。あの薄っぺらい言葉が放送されたビデオも、動画も、世界中どこを探しても無くなっていた。議論を続けているのは、頭がいい一部の人だけだった。


 僕は好きだった人に告白した。最後の彼氏があんたは嫌だとフラれた。ちょっと泣いた。

 親と数年ぶりに旅行に行った。神社のおみくじで凶が出た。結ばないで持ち帰った。結んできなさいよ、と親に苦笑された。

 夏休みの宿題を図書館に持っていった。一ページも進まないでずっと本を読んでいた。

 八月三十一日。いつもと変わらない朝が来た。

 八月三十一日。いつも通りに家を出た。部活の準備と教科書を鞄に放り込んで。ビックリするほど蒼い空を見て。


 明日もきっと晴れだろう。


 きっと、明日も僕は学校に行って、なんでもなかったねと笑うんだろう。だって、今日まで何もなかったんだから。

 今日も明日も生きていると、当たり前みたいに思っている。


 八月三十一日。今日がきっと、人類最後の一日。

 何の変哲もない一日を終えて、ベッドに横になった。目を閉じたら二度と開くことはないのかなと、少し感傷的になった。



 九月一日。


 僕は自分が「人類」じゃなかったと知った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ