第98項「2日続けて女性との食事②そして依頼」
クリスマスぼっちを悲観しないで私は黙々とこの作品に向き合っていきたいと思います。
「ご無沙汰しています。高島さん。今日は来ていただいて有難うございます。」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
俺は、GW前半にボディーガードの仕事を依頼されてそのお礼という事でこの場にいる。
「たぶん前回仕事を依頼した時に渡しそびれたので名刺渡しますね。」
俺は2枚の名刺を受け取る。
女性の名前は”籠原はるな”と記されていた。
職業は都内のIT会社と若い女性向けの雑誌を出版している会社の2つを経営している女性社長さんらしい。
「じゃぁ先に注文しましょうかね?」
籠原さんは言った。
どうやらこの店は洋食を扱うメニューらしい。
しかも値段の方も大学生が1回の食事で食べるには少し値段が張るものだが、俺は普段の家計費以外での交際費などは全く使っていないので、少し豪華なものを食べてもお財布にそこまで影響はしないだろう。
「それで、今日来てもらったのは、もちろんこの間の仕事のお礼もそうなんですけど、相談というかお願いしたいことがあって…。」
「なるほど。それでそのお願いというのはどういう件ですか?」
「私は先ほど渡した名刺に記してあったようにインターネットツールやアプリ開発などを主とした会社と若い女性向けのファッション誌の撮影・編集・販売をする会社の2つを経営しているんですけど是非その2つの会社に仕事場に行く際に私の秘書及びボディーガードをお願いしたいんですが、いかがでしょうか?」
なるほど。
今日呼び出された目的はGWの仕事の御礼と言うのが建前で本来の目的はあちらさんの依頼だったという訳か…。
「う~ん、つまり私が籠原さんが経営している2つの会社の秘書やボディーガードを行ってほしいということですか?」
「まぁ。そう言う事ですね。あと欲を言えば、私が経営しているファッション誌を主にやっている会社の専属の読者モデルの人のボディーガードやアシスタントをやってほしいと言うのもあります。」
この人注文多いなぁ…。注文は料理だけにしてほしい。
「すいませんが、もう少し情報が無いと決められないので籠原さんが経営している会社が行っている事業とその社長の秘書やボディーガードの内容も含めた依頼内容を詳細に説明してくれると助かります。」
「私が依頼する内容としては、私には現在1人の秘書を雇っているのですが、その人は事務処理関係においては問題ないというか優秀なんですけど、現在2つの会社の規模が大きくなりつつありライバル会社に潰されないようにする為にも仕事の行き帰りなどにはボディーガードをつけたいと考えているのです。そこであなたにその仕事をお願いしたいのです。」
「じゃぁ、因みになんで俺なんですか?」
「一つは私が経営しているIT会社の方の取引先の方に紹介してもらったんです。」
企業とのやり取りでそんな話なんて上がるんだ。
それが少し驚きだ。
「もし話せそうだったらその紹介してくれた会社を教えていただいても良いですか?」
「はい。その会社というのは上信越鐵道株式会社という群馬県、長野県、新潟県内で鉄道やバス事業を展開している地方の会社です。」
なるほど。俺がここ数年たびたび仕事の依頼を受けるあの鉄道会社かぁ…。
あの人がこの籠原さんに俺を紹介したのなら納得はできる。
あの社長さんからも依頼を受け仕事をするたびにかなり評価してくれるのだ。
「答えられなければ答えなくてもよいんですけど、いま言った会社とはどういう関係なんですか?」
これを聞いた理由は、籠原さんが経営しているIT企業更にはファッション誌を扱う企業の2社が鐵道会社とどう関わりを持つのか見当がつかず興味として聞いてみたかったのである。
「実は、その企業の社長さんと親戚関係にあるというのが一つの理由でもう一つは鐵道会社の方に会社独自のアプリを制作してほしいと依頼されたのでそれで縁を持つようになったんです。私が経営しているファッション雑誌社の方とは関係は無いです。」
なるほど…。
親戚関係というのが若干気になる所ではあるが、これ以上の深入りはしない方が望ましいだろう。
「それで私が家から仕事までの行き帰りのボディーガードをしてくれる場合の1カ月の給料は月にこれでどうですか?」
1枚の紙が俺の手元に差し出された。
0が5個もある。
久しぶりにこんな大きな額の数字を見た気がした。
「家から仕事先までの往復の時にボディーガードをするという事だと思うのですが、失礼ですが、籠原さんは家からこの2つの会社まで何で通われているのですか?」
「車ですね。」
「なるほど。1つ質問何ですけど、そうなるとその時の車の運転も私がするのでしょうか?」
「そう出来ればお願いしたいところです。こちら的にも人件費は極力下げたいので。ただ、前に頂いた名刺を見ると高島さんは現在大学4年生何ですよね?あと免許は持っていますか?」
「ええ、そうですね。来年で卒業ということになります。一応持っていますが、都内だと移動の際は電車が便利なので車を運転するのは半年に1回くらいですね。」
「今の若い男の子って車には乗らないんですね。私の時代はみんな男性は車を1台は持っていましたけど、時代も変化しているみたいですね。まぁそれは置いておいて、車の運転をあなたに任せるのはやめておきます。それに高島さんもこんなおばさんを乗せて毎日車を運転したくないでしょ?」
「ええ、正直に言うとそうですね…。」
俺は少し肩をすぼめて目線をずらして返事をする。
「出来るなら私が家から仕事先までの行き帰りの出張の際のボディーガードをお願いしたいです。」
「すぐには決められません。こちらも現在有難いことに多くの顧客を抱えているので、今回のその依頼には応える事はなかなか難しいですね。」
籠原さんは“無理かぁ。”という顔をしている。
「ただ、もし籠原さんが私自身ではなくても既に渡した株式会社ストロングガードの他の社員でも構わないのであれば紹介できますが、どうなされますか?」
「そうですね。分かりました。あなたもその会社の社員とはいえまだ大学生だもんね。大学生だからできることもあるだろうからそれを尊重するし他の顧客を抱えていることも話している目を見て分かったから、後で会社に所属している他の社員さんに伝えてもらっても良いですか?」
「ええ、喜んで。伝えておきます。話をしてみてもし良さそうな感じでしたら名刺に書いてあるメールアドレスの方に送信させていただきます。」
俺は既に机に載っているさっき頼んだ昼食を食べる。
窓の外からは東京駅の姿が見える。
こんなに景色が良い店に自分がいたという事を今になって気づいた。
それにこの店の料理も少し値段が高いだけの払う価値があると思うので満足だ。
「じゃあ、ファッション誌の専属の読者モデルの1人をあなたにボディーガードとスケジュール調整とやらをあなたにお願いしたいと思うのですが、そちらの方はどうでしょうか。」
最初に提示された籠原さんお家から仕事先までのボディーガードよりは楽そうに見えるが、
華南さんとの仕事の契約が一番大事なので、どれくらいの時間その人の側についている必要があるのか次第だなぁと感じる。
「その読モのボディーガード兼アシスタントと言うのは具体的にどういう事を行うのか教えてもらっても良いですか?」
「具体的に言うと、その人のスケジュール調整と仕事を取ってくるのも大きな役目だわ。あとは、その人の家まで行って仕事先までの送り迎えとか現場での手伝いとか雑用が多いかなぁ。」
「なるほど。週にどのくらい仕事が入るとか分かったりしますか?」
「そうね、大体週に3回くらいかなぁ。長期休暇の時だと場合によっては1週間くらい連勤で仕事をすることもあると思うけど、その際はちゃんと働いた分だけの給料と休みは取ってもらうから大丈夫ですよ。どうですか?やっていただけますか?」
「そうですね。あと気になるのはその仮に僕が読者モデルのアシスタントマネージャーをやるとしたらそのやる人の名前とか教えてもらえたりしますか?」
「あ、そうだったわね。名前と主なプロフィール情報を載せた紙はこれです。」
俺は紙に記載されている名前を見て驚きのあまり何回も見て確認してしまった。
まさか、自分が知っている人を担当する事になるとは思わなかったんだった…。




