第92項「新前華南side⑳~初めての男性との休日のお出かけ編その3~」
なんか長くなりました。
私と先輩は、初めて仕事以外で休日お出かけの真っ最中である。
映画の開始時間まで先に軽くお昼を摂ろうという事になり店内は少し薄暗くてがらくたの インテリアが逆に味があって心が落ち着くところで私達は食事をしている。
私は事前に調べて入った店では無かったので予想していたよりも美味しくてびっくりした。
私が頼んだサンドイッチも食べ応えがあって満足感が十分あると思う。
余りにも美味しさから先輩が食べているオムライスも気になってしまった。
「先輩がたのんだオムライスを一口貰っても良いですか?」
私は特に意味もなく普通に言ったつもりだった。
「え?あ、いいけど…。」
少しうろたえた返事だった。
別にそんなに少し返事に間が起きる内容では無いはず…。
何に対して少し間があったのだろうか…。
私はただ、単純にオムライスを一口食べたいだけなんだけどなぁ…。
だが、高島さんはそのオムライスのお皿を私が食べているサンドイッチの皿の横に置く。
その時の高島さんの顔は少し”まじかよ?”みたいな顔をしていた。
果たして何を気にしているのだろうか…?
「ありがとうございます。♪ ♪そうだ!!せ・ん・ぱ・い?わたしにオムライスを食べさせてくださいよ~?」
私は少し先輩をからかってみる事にした…。
果たしてどういう反応をするのか…。
しかし、先輩はお皿を私の所に置いただけでスプーンを差し出そうとはしない…。
そこで私は追撃する。
「どうしたんですか?せんぱい?恥ずかしいんですか?ただ私の口元にそのオムライスを入れてくれれば良いんですよ〜〜?」
先輩の顔を見ると少し怯えている顔をしているかと思ったら、無表情だった。
もしかしたらこの人の怒り方はぎゃあぎゃあ”言うタイプではなくて無表情で手を組みながら冷たい言葉を淡々と並べて怒るタイプかもしれない。
仕事ではな作家とアシスタントの立場だが、今は大学の先輩と後輩の立場…。
普通に考えたら後輩である私の方がオムライスとかをすくって”あ~ん”とするべきだったような気がする…。
なんでそれを今になって気づいたんだろうか?私のバカ…。
そんなことを考えていると…。
先輩はスプーンに私の一口より遥か多く赤いソースがかかった黄色い布に包まれた少し薄い赤と言うかピンクに近い米が私の唇の前にスプーンが触れる。
あとは私が口を開けるだけだ。
なんか多いような気もするし女性の口ではこの量は入らないなぁと直感で理解しながらも なんだかんだ私が言う事を恥ずかしさを隠しながらも無表情を装って先輩はここまで運んでくれた。
もうここまで来たら食べるしかない。
妥協はできない。
口を開けるとトロトロの卵に若干水気がある米や具材と合わさり噛み進めるとケチャップの酸味が鼻に抜ける。
料理上手の先輩が推すだけの美味しさだと思う。
なんか…。喉というか食道のところが苦しい。水を飲んで流す。
「うん。美味しいですね〜〜‼︎それと~先輩一口の量多すぎですよ?でもわたしは自分の作品の中で書いたことが自分でも実現できたのでよかったですよ〜。」
私がこの一連の流れをやりたかったのは自分が現在書いている作品でこれと似たような場面があって主人公達が家族になったときに主人公達の回想シーンで書いていたからだ。
本当は実際に体験してから作品に反映させるのが良いのだと思うけど…。
この作品を書き始めた時に私にそんな真似をできる人なんて居なかった。
今考えるとこの場面の心情描写よく当時妄想で表現できたなと思う。
けっこうドキドキするんだなと思ったし、この行為をやると相手の性格や特徴が出るなと感じたし作品作りの参考になった
「おう…。そうか…。それは良かったなぁ…。」
先輩は少し落ち着いたほっとした声が漏れていた。
そういえば、今思ったけどこの食べさせるやつ前に私が雨に濡れて先輩の家で看病してもらった時に食べさせてもらった事があることを思い出した。
よく考えたらこの行為は初めてでは無かったんだと感じた。
なんか私ばかりこういうことをさせてもらっているのはなんか申し訳ない気持ちで一杯になった。
先輩が体調を崩したりする事があるのか分からないが、そういう時はこっちが食べさせてあげたいなぁと感じた。
なんか楽しみが増えた気がする。
もちろん体調が悪くなることは起きて欲しくないとは思っているからね?
なんかこの場で私だけ食べさせてもらうのは良くないと高島さんの顔を見て思ったのでこちらも声をかける。
「私のサンドウィッチも一切れ食べますか?」
私は一切れのサンドイッチを持ち上げ先輩に聞く。
「あ、?だいじょうぶ。キモチダケデ…。」
先輩さっきの一連の流れの恥ずかしさが原因なのか分からないけど無表情な表情から少し顔が赤い。
それになんか凄い片言の日本語の返事が小声で聞こえた。
そして先輩はさっきまで載っていたオムライスのスプーンをまじまじと見つめていた。
ほんとうこのスプーンどうしようみたいな表情をしている。
あれ?なんで残りのオムライスを食べないんだろ!?
「ど…どうしたんですか?先輩。そんなスプーンをまじまじと見て…。あ!!ごめんなさい。ごめんなさい。先輩…。そういう事だったんですね。」
私は気づいた。
そして先輩にめっちゃ迷惑なことをしていたんだなぁと今になって分かった。
なんで自分がやりたい事をやりたいがために先輩を困らせてしまったんだと今はっきり分かった。
待って。これはどうしよう。
私の顔はきっと凄く紅くなっていることが自分でもわかる。
そして急に自分の体温が上昇していることが分かる。
これって”間接キス”じゃん…。
私は全く無自覚で間接キスをしてしまったんだ。
心の中では好きというか気になっている先輩と間接キスできた喜びと言うか嬉しさと先輩に迷惑をかけてしまってそれにすぐに気づかなかった自分が情けない気持ちが交錯している。
私は恥ずかしさを隠し切れないが先輩にこう言った。
「せんぱい。耳を貸してもらっても良いですか?」
「あ、うん。良いけど」
私はいまとてもドキドキしている。
心拍数が急に上がったのも分かる。
「せんぱい、わたしとの”間接キッス”が味わう事ができるのは”先輩”だけですよ~。」
こう言って更に先輩にもドキドキしてもらおう。
完全に気づかなかった私の責任だけど私だけ脈数があがってもしょうがないし…。
「はぁ…。」
先輩の溜息が聞こえる…。
まだ、怒っているなぁ。
私はスプーンを持っている先輩を見ていると先輩はそのスプーンを店員に頼んで交換してもらうのかと思ったらそのスプーンでそのまま残りのオムライスを猛スピードで食べ始めた。
これで私達2人とも間接キスを体験したことになった。
先輩はスプーン交換すると思ったけどそのまま言ったからもしかして私が口づけたものはいけるのだろうか…。
私に脈はあるのだろうか…。
でも先輩の表情はむっとした顔になっている…。
「せんぱい。さっきはごめんなさい。でもあの時先輩の耳に言ったことは私の本心ですよ?」
私の方から少し攻撃してみよう…。
先輩の表情は一瞬”え?”と驚いた顔になっていたが、すぐにいつもの顔に戻った
「いや、良いんだよ…。今まで俺にそういう経験が無かったから少し驚いただけだ。別に怒っているとかは全くないから安心してくれ。」
良かった。この人なんだかんだ優しいよね。
でもさっき見た怖い顔は鳥肌が立つのでもう見たくない。
なのでもう過激にからかうのはやめよう…。
でもまた、食べさせるのはしてみたいなあ。提案してみよう…。
「分かりました。じゃぁまた食べさせあいっこしても良いんですね?」
「あ、うん…。」
なんか微妙な反応だったので当分はやらない方が良いだろう。
「食事もしましたし。いよいよ今日の大きな目玉である映画の方に行きましょうか?」
「おう。そうだな。」
なんとかこの心臓が跳ね上がる経験は幕を閉じた。
作品作りの参考になったが、次にこれをやるときはAEDを用意した方が良いなぁと感じた。
ぽっちと評価お願いします。やる気上がります。




