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第9項「友人から聞いた彼女の噂」

いつもより長めです。

やっと男主人公の友人が出てきます。

友達が全くいないわけではないです。

先週同様、教養科目の授業を受けた。


しかし新前さんは授業には現れなかった。


彼女も小説家として何かと忙しいのだろう。


先週は彼女が小説家で今人気に火がついている”新島みなみ”先生である事が分かった。


この名前を一番最初に知ったのは俺が大学2年になる夏の事だ。今から2年前くらいになる。


丁度、ボディーガードの仕事の依頼が急に増えてきて疲れが溜まって体調が悪くて寝込んでいる時にたまたま小説投稿サイトをスクロールしていた時に見つけたのだ。


布団に包まりながら彼女の作品を貪るように読んでいた。

話しの内容はべたな展開ではあるが、こういう体験もしてみたいなと思った記憶がある。


あの時の夏はボディーガードの仕事と彼女の作品を読んで夏期休暇は過ぎ去っていた覚えがある。


授業が終わり俺は教室を出る。このまま帰宅しても良いんだがどうしようか。


悩んでいた時に俺の名前を大きい声で呼ぶ奴が後ろの方からやってきた。


俺の名前を呼ぶ奴なんて一人しかいない。


「よお~!!久しぶりだなトシ、元気にしていたか?ちゃんと飯は食っているのか?」


そうこいつの名前は、高久丈瑠たかくたける。首都圏総合大学経営学部国際経営学科4年で見た目はチャラチャラしていて俺が苦手としているパリピで陽キャなんだが、頭は抜群に良く既に内定も貰っているという。そして顔もイケメンという女性にとってかなりの優良物件だと思う。


「おお、久しぶりだな、前に会ったのは1月末にあった後期の試験の日だったよな。春休みはどうだった?」


 こいつのテンションの高さに合わせることは無く俺は返答し適当に質問をぶつける。


「バイトしたり彼女とお花見したり充実していたよ。トシはボディーガードの仕事で春休みが終わった感じかい?どっか出かけたりしなかったのかい?」


「仕事で終わったなあ。週に6日勤務とかあったし。高い収入は得られたからまぁ良いけどな、俺は…。」


こいつは、俺がボディーガードをやっている事をこの大学の中で唯一知っている人物でもある。


「それはまずいでしょ~。大学生の春休みなんて人生の楽園なのに。仕事で終わったとか~。もう少し女の子と遊んだりしなよ~。トシ性格良いし身長高いんだからさ~。きっと世の女性はトシのやさしさにおぼれてメロメロだと思うけどな~。」


都内にあるタワーマンション並みの優良物件みたいな内面、外面両方の高いスペックを持っているお前に言われても説得力に欠ける。


それに俺は人付き合いが昔から苦手だ。

でもこいつは俺の事情を知っている上で言ってくれているから、彼が言っていることは間違いではないと思う。でも()()()()


「まあ、そういうのはいいから。1限授業なんだったの?」


「ビジネス英会話応用だよ。この授業、先生が何言っているのか分からないんだよな。先生の発音のなまりの癖が強くて、聞く側にもなってほしいよ~。しかもさ、さらにしんどいのは、毎回授業最後の20分に先生との会話テストがあるんだよ~。宿題も毎回多いし~。」


俺の前で授業内容について文句を言うこいつだが、実は英語のレベルは驚いたことにとても高いのだ。


前に駅で外国人が俺に話しかけてきた時のことだ。

俺はその外国人の質問の意味が分からずうろたえていたら、隣にいた丈瑠が流暢りゅうちょうに話し始めて最後は世間話までしていたのだ。


つまり、英語力が高い丈瑠にとってその授業が難関だということは、同じように履修している他の人にとってはもっと苦労する内容である事がなんとなく分かった。


「それでさ、トシに話したいことがあるんだけどさ、次授業ある?」


「な、無いけど、話しってなんだ?また、可愛い子見つけて誰が可愛いとかそういう話か?お前恋人居るんじゃなかったのかよ。もう用足りているだろ。彼女に怒られるぞ。」


「うーん少し違う。もう少し真面目な話。」


「本当に真面目な話なのか少し疑わしいが、じゃあ食堂でも行くか…。」


俺たちは目の前の食堂に入ることにした。先週新前と座っていた窓際の席に腰掛ける。


「それで、話ってなんだ?」


俺はさっそく話を切り出す。


「実はこの春に編入した女子がとびっきり美人で既に何十人もの男が告白しているみたいなんだ。でも、その告白の返事はその場で全部Noと言ったらしいんだ。俺も実際に見たけどかなりの美人だったよ。黒髪ロングに赤色の縁が入ったメガネをかけていて、身長も~。日本の女性の平均的な高さでスタイルも良かったなぁ。しかも手も豆腐のように美しくて、とにかくレベルが高い!胸はちょっと寂しかった気がする。」


こいつは、すごい細かい情報まで丁寧に俺に説明していた。

そもそも、全然まじめな話では無かった。早く帰りてー…。


「はぁ、まじめな話じゃ無いじゃん。お前恋人以外の女性を観察していて大丈夫なのかよ。

お前の彼女に嫉妬されて喧嘩になっても知らないぞ。」


「大丈夫じゃない?」


「お前の彼女も丈瑠になんか言ってやれよ…。喧嘩になって刺されても俺は知らないぞ…。」


実際に前にもこういう事が起きて丈瑠と彼の恋人との喧嘩騒動に巻き込まれた経験がある。

本当にモテる奴は無意識に他人に迷惑かけてくるから嫌なもんだ…。


「トシの場合、真面目な話って最初に言わないと聞く耳すら持たないじゃん。それで、その女子なんだけど、先日3年生に編入した新前華南という人を知っている?」


うん…?なんか聞いたことある名前だと思った。ここは知らないふりで貫いてみよう。


「ふ~ん、知らないけど。そんな人いるんだ。」


…本当は知っています。先週授業同じでした。


てかあの後輩そんな告白されるほど人気だったんだ。全然知らなかった。


まあ、顔立ちは周りの人よりは整っていた気もする。


「彼女は、告白の返事の時にかなり荒い態度で相手の事を罵倒して断るらしいんだよ。でもその中には罵倒する姿を目に焼き付けたい人や、自分自身も罵倒されたいという人がいるみたいだよ。本気で好きでは無い人も突撃しているらしいんだ。玉砕するために…。」


俺は丈瑠の説明を聞いて世の中には同じ性別でも色々な性癖を持っている人がいることが分かった。


本気で好きでも無いのに罵倒されに行くとか頭がおかしいとしか言いようがない…。

同じ男としてそいつらと性別が一緒であることに情けない。


でも先週、彼女と話した時に罵倒するような印象は受けなかったけどなぁ。

人は見かけによらないとはこういうことなんだろう…。


「へえ、そんな人が居るんだね。大学って学生多いから良く見つけてきたな。その情報。」


「まあ、俺の人間関係のパイプがあれば流れてくるもんよ。」


こいつは優良物件なので、どこに行っても顔が広くて有名なのだ。


「でさ、俺思ったんだよ。その彼女とトシを繋げたいな、と…。」


俺はちょうと飲んでいた水を吹き出しそうになった。


「は…?なんで、俺なの?」


「彼女にどういう人がタイプなのか聞いたのさ。そしたら話しやすくて強い人かな。って言われて。」


もうプライベートな領域(テリトリー)に踏み込んだのか…。さすがというかなんというか…。


「いや、どの項目も俺該当していないけ…。」


「良く言うよ~。俺が変なチンピラに襲われそうになった時に返り討ちにしてくれたじゃん。俺、男ながら好きになりそうになったもん。まあ、俺は男同士の恋はノーだけどね。」


確かに高校生の時こいつと下校している時にそんなことあったわ。

確か警察の人に正当防衛だとしても、もう少し抑えなさいと注意されたことを思い出した...。


この優良物件は運動だけは俺と出会ってから全国平均レベルだったので誰かに襲われると絶対勝てない。あと、身長は少し小さいという理由からも言える…。


「それにトシは相手が話しやすいように言葉を選んでくれるじゃん。もうこれは繋げるしか無いよね。まだ、あの時の件借り返してないし。」


「はぁ、余計なことしなくて良いから。俺は普通に仕事して収入を得られば良いから。」


「え~、そんなこと言っていると一生独身だぞ。もうげんさんにすぐに連絡して、美女とお宅の息子さんを繋げても良いか聞いちゃうもんね~。」


 げんとは俺の親父の名前だ。


「ばか、それだけは本当に勘弁してくれ。わ、分かったよ。どうすれば良いんだ。」


親父に話が行くと長い説教が始まることを丈瑠も知っているからそれを利用したのだろう…。

頭の回転が速い幼馴染というのは嫌なもんだ…。


「うん。物分かりが早くて助かる。お前も恋人を作れ。あ、ごめん俺昼休み教授に呼ばれているんだわ。またな。」


ほぼ、一方通行で話すだけ話してあいつは出ていった。


恋人かあ、束縛とか価値観の不一致とかとにかくめんどくさそうなイメージしか無いんだよな…。


ヒロインが出てきませんでしたね。

ごめんなさい次は多分出ると思います。


自分の周りにイケメンが居ると大体何かしらのトラブルや騒動に巻き込まれるですよね。

自分も何回か経験しました。

振り回される身にもなってほしいですよね。

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