第85項「はじめての妹以外の女性との休日の過ごし方③」
少し短めです。
評価とブックマーク増えていました。応援ありがとうございます。
第84項は少し改稿したので一度読んだけど気になる方は是非!!
「うん。美味しいですね〜〜‼︎それと先輩一口の量多すぎですよ?でもわたしは自分の作品の中で書いたことが自分の体験として実現できたのでよかったですよ〜。」
「おう…。そうか…。それは良かったなぁ…。」
俺はけっこうこの動きに緊張した。
ただ、自分が食べているオムライスをスプーンの上に載せて華南さんの口元に運ぶというだけだから一連の流れについては難しいことはなにも無い。
それにこの食べさせる行為はかつて華南さんが公園で雨に濡れて俺の家で看病している時におかゆを食べさせたことがあるという経験があるので決して難しい事では無いと思う。
しかし決定的に異なるのはあの時は聖奈に”病人なんだから食べさせてあげろ”という命令で動いた。そして華南さんは自分で食べると言ったが病人だからそんなことはできないと判断して感情を押し殺して食べさせた記憶がある。
しかし、今回は華南さんの方からそのオムライスを私に食べさせてとお願いしているのである。
あの時と同様感情を押し殺して口にスプーンを運ぶのは難しいかったしめっちゃ手が震えた。
緊張と恥ずかしさとそれを要求した時の華南さんの笑みという破壊的な力によって。
「私のサンドウィッチも一切れ食べますか?」
「あ、?だいじょうぶ。キモチダケデ…。」
なんか凄い片言の日本語になっている気がする。
片言の英語なら分かるけど片言の日本語ってかなり自分の精神面の状況が芳しくないのであろう。
俺は返してもらったスプーンをまじまじと見た。
俺がこのままオムライスをすくい自分の口元に運んだら華南さんとの”間接キッス”になってしまうのではという葛藤が始まった。
「ど…どうしたんですか?先輩。そんなスプーンをまじまじと見て…。あ!!ごめんなさい。ごめんなさい。先輩…。そういう事だったんですね。」
今この机上での状況が分かった瞬間顔を紅潮しているのが俺が座っている位置からでも分かる。
華南さんも俺が何を感じているのが分かったのかもしれない…。
さすが職業を兼業作家と言っているだけある。
「せんぱい。耳を貸してもらっても良いですか?」
「あ、うん。良いけど」
俺は右耳を華南さんが座る方へ傾ける。
頬を赤らめながら俺に囁いた。
「先輩、わたしとの”間接キッス”が味わう事ができるのは”先輩”だけですよ~。」
恋愛小説書く人ってこうなんて言うか台詞っぽいものも胸キュンを意識させるような事を 普段から作品に書いているからすぐに言葉が出てくるんだろうなぁと感じた。
「はぁ~。」
俺は新しいスプーンに交換するか否かという葛藤に悩んでいた。否を選ぶとなると華南さんと間接キスを選んでしまったというレッテルを押してしまう事になる。
それについて今後華南さんは俺をからかってくる気もしたが、ノーエモーションで俺はそのスプーンでオムライスをすくいオムライスをそのまま黙々と食べる。
恥ずかしさを隠すために華南さんの顔を見る余裕もなく丈瑠に教えても立った食事の際のミラーリングも意識することは残念ながらできなかった。
俺は今後オムライスを食べるたびにこの出来事を思い出す事になると思う。
俺は勝手ながら”オムライス事件”と命名することを決めた。
「せんぱい。さっきはごめんなさい。でもあの時先輩の耳に言ったことは私の本心ですよ?」
え?どういうこと?
再び葛藤が始まる…。
先輩の俺をただからかっているのか…。また別の理由があるのか…。
でもこの人には驚かせるなぁ…。
「いや、良いんだよ…。今まで俺にそういう経験が無かったから少し驚いただけだ。別に怒っているとかは全くないから安心してくれ。」
「分かりました。じゃぁまた食べさせあいっこしても良いんですね?」
華南さんの目が輝いているのが分かる…。
”また”ということは続きがどこかであるという事かよ…。
心臓幾つあっても持たないぜ。俺の家にもAED設置した方が良いかもしれない…。
「あ、うん…。」
この行為をやって嫌な気持ちになる男性はいないが、己の葛藤と戦う事になるからできれば当分は勘弁してほしいものだ。特に俺みたいなタイプは…。
「食事もしましたし。いよいよ今日の大きな目玉である映画の方に行きましょうか?」
「おう。そうだな。」
華南さんとの休日おでかけはまだ始まったばかりだと気づく。
俺にとってはこの食事時間だけで既に1年分の大きな経験を得た気でいた…。
食事回だけで2つの話も書くことになるとは…。
この2人の距離が更に縮まることを願って連載はまだまだ続きます。




