第84項「はじめての妹以外の女性との休日の過ごし方②」
まだ続きます。
お食事回
俺らは新宿・渋谷と乗換をして”二子玉川”という街にやってきた。
二子玉川は地名に”川”という文字が入っているだけに水の街である。
また、都内でも有数の自然環境がありそれらと街自体が上手く調和されている街づくりがなされているところだ。
都心から近いのになぜか落ち着ける雰囲気の場所が多いということから幅広い世代の人にとって人気な街としても有名だろう。
駅の改札を抜けると目の前に大型商業施設群が立ち並んで居るのが分かる。
天気も良くお出かけ日和になので人もそれなりに歩いている。
「いやぁ。着きましたね?私は二子玉川に来たのは初めてなんですけど。高島さんは”にこたま”来たことありますか?」
そう”二子玉川”は略して”にこたま”と呼ばれることもある。
「いや、俺も”にこたま”は電車で通ったことはあるけど、降りたことは無かったなぁ。こんな駅からすぐに大型商業施設があるとは知らなかったな~~。」
普段から商業施設に行くことが無いのでこの場所にある建物の大きさや敷地の広さに驚く。
「高島さんは普段休日外に出掛けられないんですか?」
華南さんは俺のすぐ横を歩きながら聞いてくる。
なんか今日いつもより距離近くないか?
そう感じるのは俺だけ?
「仕事で外に出る事はあるけど、遊びで外に出たのはかなり久しぶりだな。前に出掛けたのはGWに聖奈と大宮スカイビルのホールで行われた華南さんのイベントに行った時くらいかな?」
あの兄妹でのおでかけ以降俺に休みという休みは無かった。
大学生って勉強もするけどもっと遊んでいるイメージなのかと思うかもしれないが俺はそのイメージには
当てはまらない。
「あぁ~、あの時ですね。私もあの時舞台袖で待機していた時にまさか高島兄妹がイベントに来てくれているとは思わなかったですよ~。私がはじめて聖奈ちゃんに会った時は制服姿で可愛さ満点のJKでしたけど、私服姿も可愛くて”じゅるるる”しそうでした。」
まぁ、聖奈は俺と違って容姿に関しても引けをとらず母親譲りの血が流れたんだろう。
この人俺の妹に”じゅるるる”と言い始めたよ。
てか、”じゅるるる”ってなんだよ?
なんか不思議な気分になるな…。
「なんかその擬音は聞いてみて微妙になるなぁ…。まぁあいつは昔から可愛いから初対面に近い人がその気持ちを持つ事自体は分からなくもないけどね。」
「ですよね?それとあとお願い?という訳でもないんですけど、今日一日は”高島さん”ではなくて”先輩呼び”にしても良いですか?」
「どした?急に?」
「いや、高島さんって仕事上で呼ぶときはこっちの方が良いですけど、さっき駅の集合場所で話したときに今日は先輩と後輩という関係だと話したの”で高島さん”呼びだとなんか距離あるなぁと思って。」
いや、さっきから俺と歩いている時から十分距離近なと思っていたんだけど、更に物理的に距離を縮めるとかなったらどうしましょ…。
「なるほど。まぁ。まぁ、好きに呼んでくれて構わん…。」
でも名前の呼び方次第で距離が急に縮まることは無いと信じるしかない。
「分かりました。”先輩”今日は妹の聖奈ちゃんと比べたら見劣りするかもしれませんけど、後輩である私とのおでかけ楽しみましょうね?」
見劣りするほど華南さんは外見劣っていないけどなぁ。
聖奈とはまた違った女性ならではの美しさがあると思う。
「ああ。そうだな…。」
それに華南さん以外に後輩の知り合いが居ないからなんか”先輩”呼びされると少しこそばゆいような恥ずかしいような気持ちを大学4年生の時点で味わう事になるとはなぁ…。
通常だと自分が2年生になった時にサークルに新しく後輩が入ってきて自分自身も先輩だと呼ばれて自分も歳を重ねたなと感じるものなのに…。
でも数少ない後輩ではあるが、”先輩”呼びされる時が自分にも来たのはなんか嬉しい…。
←(大げさ)
「映画が始まるまで時間あるけど、どうする?」
「どこかで軽くお昼を摂りませんか?」
「言われてみればもう昼の時間帯だもんなぁ。」
腕時計をみながら時刻を確認する。
「私映画を観る際にポップコーンとか食べたいのであそこの喫茶店で軽く何か食べましょうよ?」
「そうだな。俺もそれで良いよ。」
でも人間は何で映画観る時ってポップコーンを食べるんだろう。
食べていて手がベタベタになるのに食べながら見るって映画の内容に集中できるのかなと思う。
俺たちはショッピングモール入り口近くにあった喫茶店で食事をする事にした。
入った店は若者というよりもうすこし上の年齢向けのメニューや価格設定だったが、店内は謎の骨董品とかが置いてあり全体的に店の中は暗いが雰囲気はある。
俺らは席に通されボックス席に座る。
「先輩は何を食べますか?」
「そうだな、このオムライスセットにしようかな?華南さんはどうするの?」
「わたしはサンドウィッチセットにしようかなぁ。」
俺達は注文をしてしばらく待つ。
「先輩のいつも黒基調の服なのに今日の服装は黒では無いんですね?」
華南さんの口が開く。
「あれは仕事の時の格好なんだよ。休日で外に出る時は黒以外の服を着ると決めているからなぁ。俺あんまり服のコーディネートに自信が無いから華南さんに似合っていると言われるまで結構不安だったんだよね?」
「確かに先輩はいつも服装のパターンが同じだからもうすこし工夫すれば格好良さが増すと思っていたんですけど今日は普段と違う姿を拝めて嬉しいですよ。」
“拝めて”って俺は神様かよw。
でもこうやって休日に平日は仕事で一緒にいる人と出掛けならも仕事以外の話をするというのも良いなと感じた。
俺達のテーブルに注文した品が届いた。
「先輩このお店の料理美味しいですね♪」
「そうだよな。こっちのオムライスもめっちゃ美味いなぁ。このトロトロ感は家ではできないからこのたまごの食感は格別だわ。」
「先輩が頼んだオムライス一口貰っても良いですか?」
「え?あ〜いいけど。」
俺はお皿を華南さんの方に動かす。
「ありがとうございます♪♪そうだ‼︎ ”せ・ん・ぱ・い”わたしにオムライスを食べさせてくださいよ〜。」
おいおいまじかよ〜〜。
「どうしたんですか?せんぱい?恥ずかしいんですか?ただ私の口元にそのオムライスを口に入れてくれれば良いんですよ〜〜。」
ここで仕掛けてくるとはな…。
「分かったよ〜…。」
俺は恐る恐る恥ずかしさを顔に出さないようにしながらスプーンにオムライスを盛り彼女の口へ運ぶ。
先輩をからかうとか良い度胸だなぁと思う。
俺が後輩の立場の場合だとしてもできる芸当ではない。
「うん。美味しいですね〜〜‼︎それと先輩一口の量多すぎですよ?でもわたしは自分の作品の中で書いたことが自分でも実現できたのでよかったですよ〜。」
なんか甘いような疑似恋人ごっこをしている空気が店内の中で俺らだけそういう空気が流れていて周りの目が少し怖かった。
※12月8日改稿




