第73項「新前華南side⑱~さと美さんとの女子トーク 後編~」
今日は更新します。
「“恋”ですか…?」
「そう。気になる異性ともっとお話ししたい、もっとその人を知りたい、そして他の女の子と話していると妙に嫉妬してしまい自身の心がモヤモヤする現象。さらには、この感情をどのようにぶつけて良いのか分からない。この感情は“恋”だろうねぇ。絶対そうだね。そして新島先生はいま“恋”をしているだよ」
「こい」
その2文字の言葉を噛みしめる。
「自分でもわかっているかもしれないけど、新島先生はここ最近大学から仕事までほぼ毎日一緒に過ごすことが多かったトシ君に恋をしているんじゃない?」
「…そうかもしれません」
さと美さんに言われて自分の心の状態が明確に分かった気がする。
私は高島さんの事が好きなのかもしれない…。
…かもしれないというか“好きだ”という断定に変わりつつあるかもしれない…。
「でもなんで、私は高島さんを好きになってしまったのでしょうか…?」
「私が思い当たる節を言ってもいいのかもしれないけど、恋をしていると自覚している時は自分の心に聞いてみるのが良いと思うよ。そしてそれで分かったことが次のステージに活かせるかもしれないよ~~」
さと美さんは思い当たる節があるって言ったけど、私が高島さんのことを気になっていることも既に把握しているとは....。
私が、高島さんを好きになった理由…
さと美さんには話していないが、14年前くらいのスポーツイベントで私が親とはぐれてしまい自分より少し歳が上な男の子に囲まれて居た時に助けてくれた男の子と雰囲気が似ていてどこか重なる所があること。
そして私が公園で雨に濡れている時に私をおぶって世話までしてくれて家庭的な一面もあることを知ったこと。
私の職業に関して十分理解してくれて、ボディーガードとして私が仕事や大学に行く際はいつも私の事を守って仕事をしてくれること。
これに関しては本当に彼の支えが無ければ毎日ここまで充実していなかったっと思う。
そして私が小説投稿サイトに自分が書いていた小説を連載していた時からの古参の読者でファンであることを知ったこと。
最後に彼の口から余り多くを語ることは無いが、一緒にいるだけで落ち着ける安心感。
そういった理由から彼に対して興味を持ち大学や仕事とほぼ一緒に過ごしたことで気になるから好きな気持ちに変わったのかもしれない…。
「その顔を見るとなんで好きになったのか自分自身でも分かったようだね」
「はい。本当に大学生活から仕事の時、プライベートの時間の時に感じたことが高島さんに対する“好き”という気持ちに繋がっているのだと思います。」
「多分そうだよね。じゃあ、いますぐに、高島さんに会ってその気持ちは伝えられそう?」
「えっ...。それは難しいです。確かに“好き”という気持ちは明確になりましたが、高島さんについてほとんど知らないです。それに彼が何が好きで何が苦手なのかとかもっと深く高島さんの事を知りたいです」
「そうだよね?多分これからも大学や仕事の時でも彼の事について知ることができる機会はあると思うけど、全てを知ることは中々難しいし時間がかかると思うのよ。だけど、ある方法を使えばそれらを知るのが容易になると思うの。なんだと思う?」
「何でしょうか…」
普段から一緒にいることが多いから何か秘策はあるのかなぁ。
「まずは、彼と一度デートをしてみる事だわ。」
「で、でーと?」
でーとって、男女が約束をして一緒に出掛けるやつだよね!?
「新島先生は作品では既に主人公達のデート回を何回か書いていると思うから言葉や意味くらいは知っていると思っていたけど…。そこまでわかんない顔をするとはね…。要するに高島さんをデートに誘い一日一緒に出掛けてみる事よ。それをやることで、より深くお互いの事を理解できるきっかけになると思うわ。更にデートを繰り返せばもっと彼の事が知ることができるよ。そして好きっていう気持ちが深くなることができるわ」
「なるほど、デートですか…。でも私自分で言うのは恥ずかしいですが、一応最近人気になりつつある兼業作家なので世間的に作家とそのアシスタントが外でデートするのは問題ないのでしょうか?」
私はデートに行きたいという気持ちはある。
私だって兼業作家であるとはいえ恋を夢見そうな女の子だから...。
だけどそれをメディア局に撮られりするのが一番怖いのだ。
「大丈夫。行く場所によっては少し変装するくらいは必要かもしれないけどね。“作家が恋をしていけない”、“好きになってはいけない”法律はこの国にはないでしょ?堂々としていれば問題ないはず」
「なるほど…」
名言?迷言?が2つ飛び出したけど私の不安はあまり消えない。
「…まぁ。もしなんか言われたら私の力でもみ消すわ。私は新島先生の恋を応援するからなおさらよ」
「あ、ありがとうございます」
この人、もみ消すとか言ったよ。私が知らないだけでかなり偉い人なのかな…。
「じゃあ、デートにトシ君を誘いなさい」
「でも“でーと”ってどういうところに行くのが良いんでしょうか?」
「新島先生が書いている作品でデートする描写があったと思うけど、例えば、王道かもしれないけど、映画を見に行くとか、遊園地とか、水族館とか、あとは、トシ君は確かアニメとか好きなら秋葉原と言ったアニメ関連の店とか良いんじゃない?」
「なるほどアミューズメントパーク系ですね」
「あとは、ショッピングモールとかに行って服とか買いに行くとかどう?トシ君ってさ高校時代から制服以外の服いつも似たような同じ形態の服とか着ていたからなぁ。彼はもっとオシャレしたら似合うと思うのよねぇ」
「なるほど、ショッピングモールは良いですね。色んなものがあるし過ごしやすくなりますね」
「まぁ、そんな感じで考えてみると良いのよ。あとはデートは別に外でやらなくても良いのよ?例えば家の中で一緒に料理したり映画見たりゲームやったりとか色々な楽しみがあるのよ」
「参考になります」
「じゃあさ。デートに行くまでどうやって誘ったかと実際行ってみてどうだったか、その時自分はどんな気持ちだったかをレポート1枚で纏めてきてねぇ」
「わ、分かりました…」
「2人とも大学や仕事で忙しいとは思うから、6月末までに出してくれれば良いからねぇ。良い話が聞けるのを楽しみにしているよ~」
私は集合場所である豆の木に向かって歩いてるさと美さんを追いかけながら思った。
デート当日のプランは大体イメージついたけど、どうやって高島さんを誘えば良いのかという事を.....。
私は考えるべき案件がまた増えた気がした。
さと美さんって華南にとってなんか親みたいな位置にいるような気がしてきた…。
2022年8月7日加筆修正済み




