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第68項「幼馴染は居ないけど幼馴染の両親と夕食兼会議をする~ディナー~」

俺と華南さんは健さんとさと美さんの後ろについていきエレベーターに乗り10階で降りた。


途中エレベーターの窓から見えた大宮駅周辺の街並みがオレンジ色に染まっていて綺麗だった。


この大宮スカイビルは大宮駅西口周辺にある大宮スカイエリアにある建物の1つで、この建物は主にレストランや娯楽・趣味に関係した多くの店舗が入っている。


他の2棟はそれぞれホテルなどを完備した大宮スカイホテルビルやオフィスや市政サービス、図書館が設置されていたりと最上階からは大宮周辺を眺めたりできる展望台があることで有名な大宮スカイタワービルが集まっている。


近年大宮は住みたい街ランキングの上位に入っていて住みやすさ的にも知名度が高い。

また最近は駅を境に東西で再開発事業が進んでいて西口の方は概ね終わり東口の再開発が始めた印象がある。


高校時代に見ていた景色とは結構変わってしまったところも多い。


「いらっしゃいませ。高久様」


ボーイの人が現れ客間に通される。


ちらっとさっき店の看板を見たら庶民代表の俺でも聞いたことがある日本料理店のお店っぽかった。


「高島さん、今日は会議をすると聞きましたけど、ここって有名な日本料理のお店ですよね?」


どうやら華南さんも少しこの状況に困惑しているような感じだった。


「うん、俺もどういう状況なのかいまいち把握できていないんだよな」


2人で顔を見合わせて首をかしげる。


「このお部屋でございます」


どうやら俺らが今日使う個室の部屋に着いたようだ。


まず、この個室の部屋を含めて全体的に薄暗めで大学生が利用して良い空気ではない社会人以上の大人が通うお店の雰囲気がある。


「さあさあ、席についてくれ」


健さんの声がかかり俺らは椅子に着く。


「今日は夕食を摂りながら新島先生の作品の今後について話していこうと思っている。よろしく頼む」


「はい、こちらこそアニメ制作現場で活躍されている総監督の方とお話しできる場を頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」


「よ~し、俺は硬い雰囲気は好きではないからなぁ。まあ、まずは飲み物で注文しようか?好きに選んで貰って構わないよ」


「じゃあ、私は」

新島先生(華南さん)は口を開いたが、お酒を頼んでも良いのか俺に目で訴えてきた。


「新島先生は飲んでも大丈夫ですよ。適度にお願いします」

俺はそう小声で華南さんの耳に言った。


「あ、じゃあ、私はビールでお願いします」


「じゃあ、俺もビールにしようかな。さと美はどうする?」

「私も健さんと同じ物で」


「トシは?」

「私はウーロン茶でお願いします」


「え、トシお酒飲めなかったっけ?」

「飲めはしますが、新島先生を家まで連れて帰るまでが仕事なので今日は遠慮させていただきます」


「あ、そっかあ。まあ、新島先生のボディーガード兼アシスタントだもんな。その職務を全うする気持ちは大事からそれは尊重しなくてはならんなぁ。まあ、次の機会でサシで2人で飲みにでも行こうか?」


「はい、その時は喜んでお供させていただきます」

「そいつは楽しみだな。それでと、今日は日本料理フルコースというやつだからなぁ。それでは、早速本題に入るとしようか。あ、そんなに構えなくて良いからね」


「分かりました」

俺らは口を揃えて言う。


「じゃあ、始めようか。俺もさと美さんに薦められて新島先生の最初の作品である"昨日別れたはずの生徒会長である彼女が翌日から自分の家族の妹になった件"を読ませて頂いたけど、展開は比較的王道を走っているけど普通に面白かったよ」

「あ、ありがとうございます」


「それで、アニメ化する事は決まっているけど、具体的に監督や声優、この小説をアニメとして制作する会社とかについては決まっていないんだよね?」


「はい、まだ、ほとんど決まっていないですね。」

「それで俺から提案だが、制作会社は俺が経営しているタカジプロダクションで制作し監督は私が担当するのはいかがだろうか?」


「え?そんなに良い話を頂いて良いんですか?」

「新島先生の担当をしているのが私の妻である、さと美であることと、新島先生のボディーガード兼アシスタントをしているトシは丈瑠との長い間幼馴染でトシの性格や特徴も分かっている。それにここまで偶然に巡り合わさった縁は無いしなあ。たぶんここで違う監督やプロダクションを探すのは難しいだろうしなぁ。それに君のお父さんとも実は認識があるんでな」


「え、私のお父さんと?」

「あ、そうだよ。私の大学の先輩に当たる人だからね。先輩に頼まれた以上後輩は断ることはできないからね(笑)」


「そうだったんですね、私の父と繋がりがあったとは思わなかったですね…。びっくりです」

「まあ、そういう訳だからこの作品のアニメ化を担当する制作会社はタカジプロダクションが担当して、総合監督は私がやりたいと考えている?いかがでしょうか?」


「ええ、是非それでお願いします。本当にありがとうございます。感謝してもしきれません。」


少し涙を浮かべていた。


「その代わりという訳では無いが現場には必ずトシを連れてきて欲しい」

「え、俺?」


「だって、トシが一人暮らしをする為に家を出て以来俺今日まで全然話せていないからね。俺の話し相手になってもらいたい」

「ああ、それなら大丈夫ですよ。俺も健さんとここ何年か全然話していないので私もそう言った機会が頂けるなら嬉しいです」


「じゃあ、アニメ化に向けて頑張ろうな。とりあえずまた、月曜日の17時半くらいにタカジプロダクションのビルに来てくれないか?場所の地図は後でトシに送信しておくわ」

「分かりました。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。」


「よし、仕事の話は終わりだ。とりあえずたべるぞ~。」


こうして何とかアニメ化に向けての歩が進んだのだ。

幼馴染は居ないけど幼馴染の両親と夕食兼会議をする事になるとは想わなかった。


丈瑠の奴今頃どうしているんだろ…。

2022年6月15日改訂済み

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