第62項「彼女の機嫌が悪い理由は俺が原因っぽい」
短めです
俺は朝ご飯を双子の姉妹に食べさせた後、華南さんの登校ボディーガードをしようとしたら
今日は1人で行かせてほしいと彼女に請願されたので引き下がった。
何か昨日、一昨日と機嫌があまり良くなくてこちらが話しかけても生返事である。
こういう場合が起きた時に俺はどう対処すれば良いのだろうか…。
ここ数日考えたが何か彼女に気に障るようなことをした記憶は無い。
一人考えながら華南さんを校門で迎えてそのまま仕事に行くために大学への坂道をひたすら歩いて上っている。
この数日の間に起きたことと言えば新たに新島先生(華南さん)の仕事のサポートを担うようになった事や毎日朝食を作る様になった事、あとは水曜日にさと美さんと会議をしてその後に飲み会を楽しんだことくらいだ。
大学の門が見えてきた。守衛所に掲げられている時計はちょうど14:30を長針はさしていた。
先日受け取った彼女の今期の授業の時間割を見ると金曜日は3限迄だと記載されていたので
待っていればそのうち来るだろう…。
10分程経って彼女の姿が見えた。
立ち上がるとそれに気づいたのか華南さんも俺が立っている場所に向かって歩いてきた。
「お疲れ様~。じゃあ、仕事の方行こうか?」
「そうですね。でも待ってください。高島さん私に隠していることありませんか?」
「隠していること?」
俺は必死に考える。
「そうです。とぼけても無駄ですよ。私から言いますね。最近ここ何日か毎日朝早く何をしているんですか?」
「普通に毎朝運動しているけど?」
「それはもう知っていますが、それだけではないですよね?怒らないのでちゃんと言ってください。」
彼女の顔が普段見ている穏やかな顔からマジの顔になっていて怖い。
「ここ数日は舞美さんと走っている…。」
俺は小言を述べる。
「舞美と一緒に朝、体力づくりをするのは別に良いですよ。人間が生きていく中で運動は大事なので良いと思いますが、なんで私をのけ者にしているんですか?私を蚊帳の外にするとか良い度胸ですね…。」
俺は思った。これが噂の罵倒なのかもしれないことを…。
「はい。ごめんなさい。別に蚊帳の外にしていたつもりは全くないんです。ただ…。」
「ただ…?何?続きを言ってください。怒らないので…。」
顔は笑っているが目が笑っていない。かなり恐怖の状態だ。
この状況を周囲の人も見ていて正門前は野次馬であふれている。
華南さんって本当に色々な意味で影響力を持っているんだなと実感した。
「ごめんなさい。新前さんも朝、一緒に走りますか?」
「私は、朝起きるの苦手だから良いですよ。ただ、次から何かする時は誘うことはしてくださいよ?」
「は、はい。分かりました。以後気を付けます。」
「分かれば良いんですよ。行きますよ。高島さん。」
俺たちは見物客の群れをくぐり抜けながら駅に向かって歩き始めた。
この人を怒らせると暴れて怒るのでは無く静かに圧力で怒りながら罵倒もする感じなんだなと理解した。
彼女の機嫌が悪かった理由がここで分かって良かったがその原因を無意識に作ったのが俺だったみたいだ。
本当にこれから仕事とか学校生活、家でも気を付けようと思った出来事だった。




