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第39項「呼び方」

短いです


俺たちはマンションの階段を降り市立クロマツ公園の前を通り、駅を挟んで南北に連なる大きい道路まで行く緩やかな坂道を歩いている。


「それでこの仕事毎日やるんだよな?…となると明日も新前の家に行って朝お前を起こしに行く必要があるという事だよな…。さっき部屋に入るなといったけどどうやってお前を起こせばよい?これから俺は…。」


「今朝の事は私の方も反省すべきごとだとは思っています。明日から朝は今日より早く起きれるように目覚まし時計をセットするように努めます。高島さんが私の家に来て私の部屋に声かけて反応が無かったら私の部屋に入っていいですよ。朝起こして欲しいとお願いしているのは私の方なので。でもその時あんまり部屋じろじろ見ないでくださいよ。」


「分かった。お前も目覚まし時計を時計とスマホと2つ時間差でセットすればいいんじゃないの?さすがに2回も鳴り響けば気づくだろう?」


「そうですね、試してみます。あと朝ご飯も作って貰って良いですか?先日看病してくれた時も思いましたけど料理できる男性はモテますよ~。」


…そうなんだ。モテた事ないからわからんけど…。まあ新前が美味しいと思っているなら別に良いか...。


「分かった。明日お前ん家に8:00くらいには行くから。今日の時間帯に行ったらゆっくりと朝ご飯食べる時間や準備する時間無いしな。そのつもりで頼むよ~。」


「分かりました。了解です。あと…話変わるのですが、その私の事を“お前”と呼ぶのはやめてください。新前華南という名前がありますから…。」


「じゃあ、新前に統一するように努力する。」


「できれば、新前という苗字読みもやめてください。今この場に舞美は居ませんが彼女も同じ苗字の新前です。それに舞美だけ名前呼びなのに私の事も名前で呼んでくださいよ~。ほら華南はなって…。」


「うーん、てか、名前呼びか…。さん付けはダメか?華南さんとか?」


「いずれは呼び捨てで呼んでもらいたいですが、今は良いでしょう。その呼び方でも。

じゃあ試しに呼んでみてください。」


彼女は目をキラキラさせて俺が新前の下の名前で呼ぶ声を待つ。


「じゃあ、行くぞ…。は、はな(華南)さん…。」


「は…はい。」


彼女の顔は急に赤く染まった。

恥ずかしいのだろうか?


俺も女子の下の名前呼ぶのけっこう恥ずかしいんだけど…。


「何か恥ずかしいな…」


「そうですね…えへへへ。あ、高島さん事は普通に先輩呼びでも良いですか?それかあだ名とかこの名前で呼んで欲しいとかありますか?」


「う~ん、何でも良いよ。家族がいる時は高島さんだとそこにいるのはみんな高島さんだからその時は”先輩”とかで良いし、それか”トシさん”とかでも良いし。何でも良いよ~。

同学年からは”トシ”か”とっしー”で呼ばれるかな。」


「”とっしー”って何かゆるキャラみたいな名前ですね。じゃあ、とりあえず舞美や高島さんの家族が居る時は”トシさん”で呼びますね。2人で居る時は基本的に”先輩”って呼びますね。気分によっては変わるかもしれないですけど…。」


「おう、分かった。それでいいよ。」


「じゃあ、早速呼んでみますね。”せ~んぱ~い”早く歩かないと間に合いませんよ~。ほら早く早く~~。」


彼女と俺は大学まで続く急な坂を上った。

でも普段より坂を上ることがきつく感じないような気がした。


このお姫様サポートという仕事もなんとかなるかもしれないなと思った瞬間だった。


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