第33項「彼女のマネージャーと俺の父親からの依頼」
第1章もほぼ最終段階となりました。
俺は、朝食時に親父に言われた通り9時半過ぎに1階にある事務所に降りた。
話したい事とは何だろうか。
母さんと聖奈は買物で家にはいない。
事務所に入ると相変わらず少し汚いままだった。この部屋時々掃除しているのかな?
すると親父とお爺さんが入ってきた。
「悪いな来てもらって。今日来てもらった理由は仕事についての話だ。お前は大学の授業の合間を縫ってこっちが頼んだ仕事をしてくれて本当に毎回助かっている。というか、正直言って働きすぎだ」
少しでもそう思うなら仕事のシフト減らしてくれ。
「大学生はもちろん勉強も大事だが、昨日母さんが言っていた通りもう少し遊べと思う。それでお前が実家に戻ってくる前にトシが興味があるものを聖奈に聞いたら“ライトノベルが好きだからそれ関係の仕事のサポートがあったらもう少し仕事を楽しめるのでは”と言われたんだ」
確かにあれば楽しそうな仕事だ。
「我々がそういう人のボディーガードをやりながら彼らの仕事をサポートするのも良いと考えた。丁度そのとき昨夜遅くに強さんの知り合いのお孫さんが小説家でその人のボディーガード兼マネージャーを探していてその依頼を受けてくれないかと連絡が来たわけだ」
強というのは俺のおじいちゃんの名前だ。
「情報量があまりにも過多て頭の整理がつかないけど、それで?」
「いまからその小説家の現マネージャーと話してほしいんだ。話し合いの際は俺も立ち会うから緊張する必要はない」
「お、おう。わかった…」
話しが突然すぎてよく分からないけど、親父の考えに従うままに彼の掛け声によって開いた扉の先にいた人を目で追う。
「はじめまして。今回の依頼人である新前舞美と申します。昨日は夜遅くに電話をかける形になってしまって申し訳ありません」
俺は話し始めた人を見る。
身長は聖奈より大きい。
女性にしては標準より少し高めの印象だ。
出るところ出て引っ込むところは引っ込む良いプロモーションをお持ちだ。
それにいま、新前と名乗ったよね。
俺が知っている新前とは別の方なのか。
でもなんとなく新前華南と顔や骨格が似ているような違うような。
この人はいったい誰なんだ。
「まあ、とりあえず座ってください。トシはお茶でも持ってこい!」
「分かった」
台所に入り来客用の湯呑にお茶を注ぐ。
あの人はかなり容姿端麗だ。モデルとかやっていてもおかしくない。
髪は栗色のセミロングが特徴的だ。
なんとなく年齢は同じくらいか一つ下の年齢かどうかという感じがする。
俺はお盆に載せお茶を運び依頼人の元へ運ぶ。
「よし、話始めるか。依頼人の新前さんは実は強さんの若い時の仕事仲間であった人の孫娘なのだ。それで依頼内容は姉の仕事のサポートをしてほしいとのことだ。詳しいことは新前さんに説明してもらってよいかな?」
「はい。依頼人は私ですが、いまから話す内容の対象人物は私ではなく私の姉なんです。姉は現在駆け出しの小説家で、これまでは私が彼女のサポートを行う為にマネージャーとして働いていたのですが、私は今後モデル業を始める予定なので代わりに仕事を引き継いで彼女を支えて欲しいです」
「また、支えるだけでなくボディーガードも行ってほしいです。最近ファンによるストーカーが多くなり女性である私では限界があるので高島さんの父が経営する会社を知る親族が居たので彼に紹介されて今朝訪問しました」
「大体の旨は分かった。要約すると仕事内容は彼女のスケジュール管理と身辺サポート、仕事までの往復のボディーガードという内容で合っていますか」
「はい、おっしゃる通りです。それで依頼は受けていただけますか」
俺は駆け出しの小説家というところに引っかかっていた。
それにこの人の名前は新前舞美さん。
俺のお爺さんの若い頃の仕事仲間の孫娘である。
待てよ、となると駆け出しの小説家ってまさか新前華南、いや、新島みなみ先生の事を指す可能性が高い。
でもこの舞美さんという人は新島先生とどういう関係なのだろうか。
考えられるのは姉妹説。
考えられるも何もそれしか無いか。
親父が口を開いた。
「う~ん、この会社はそこまで従業員が居る訳でもないし俺もいまは別の依頼人からの仕事を担当していてそっちまで手が回らない。そこでトシに問う!いまこの新前さんが言った仕事の依頼をお前がやったらどうだ?」
「え!?」
「お前も安定した収入があった方が良いだろ?それに小説家となると今までこのような業界の人に依頼された事は恐らく過去に無い。新規開拓として引き受けてみるのはどうかな」
まじか、さっき大学生なんだからもっと遊べって言わなかったけ。
更に仕事量ふやしてどうするのさ。
俺もけっこうスケジュールギリギリなんだよな。
「俺もある程度の仕事は確保できているし既に受け持つ顧客を失いたくないしなぁ。それにその小説家がどういう人物なのか分からないし会って見ないと決められないなぁ」
「そう言うと思ったよ。じゃあ新前さんそのお姉さんをこの部屋に連れてきてもらってよいかな?」
「分かりました」
「え、もうすぐそこにいるのか? 親父仕事早いなあ」
「仕事というのは早さが勝負なんだよ」
さすが2代目社長。
(会社は未だに小さいままだけど。)
「連れてきました。彼女の作家名は新島みなみ、本名は新前華南です」
「はじめまして、ペンネーム新島みなみとしてライトノベル作家として活動しています。本名は新前華南です。よろしくお願いします」
え、まじかよ。
昨日会場のステージにいた憧れで彼女の作品でもある新島先生がおれが小さい時から見慣れているこの汚い事務所に居るとは。
彼女は昨日の服装とは異なり落ち着いた大人の女性の服装だ。
服に関しては舞美さんの方が派手かもしれない。
周りが土だらけの庭に一輪の花が咲いたような感じだ。
あ、マネージャーの方も入れれば二輪か。
「よし、役者は全員揃ったな。じゃあ新前姉妹とトシの3人で奥の部屋で話してこい。お互いを知らない可能性もあるし。大体決まったら教えてくれ、トシ」
一応新前華南の方は大学でも話したことがあるし面識はあるが、これが新島先生としての
依頼となると緊張感が余計に増すな。
それに彼女の作品のファンである1人がこの仕事の担当に就任していいのかが疑問だよな。
どうしようか、この人の依頼を受けるか受けないか。
情報量があまりにも多くて整理を付けるので精一杯だが、ここは仕事なのでまずは彼女らの依頼を聞こうと思い奥の部屋に彼女らを案内し部屋に俺も入った。
本当に親父は、最初からすべてをわかっていて話していたんだと思った。
新前華南が新島みなみであることをそして新島みなみが新前華南であることを。
果たして依頼は受けてもらえるのでしょうか?
気になる方は評価お願いします。
PS
ランキング設定のやり方を誰か教えてください。どうやってやればいいのでしょうか。
ご存知の方いらっしゃいましたら教えてください。お願いします。




