第29項「幕話 新前華南side⑥」
皆さん大好き新前華南sideストリー始まります。
私は、朝早くから家を出て、仕事場へ向かっていた。
仕事内容は私の処女作”昨日別れたはずの生徒会長である彼女が翌日から自分の家族の妹になった件”のトークショー兼サイン会が大宮スカイビルのホールで開催されるのだ。
こういったイベントは何回もやってきているが毎回緊張する。
大宮は私が初めて関東に来た時に降りた駅でもある。確か豆の木が有名だと聞いた。
私のマネージャーでもある妹の舞美も今日は一緒だ。
私達2人はイベント会場に早めに入りリハーサルを行う為、朝8時台の電車に乗っていた。
ラッシュ時間帯なので車内は混雑している。東京の電車はあんなに長く車両があるのに本当にどの号車も混んでいる。
さすが、首都だわ。
私は身長が舞美より低いので天井にかかっている吊革に届かないので手すりを探す。
2人並んで席の前に立つ。
かなりぎゅうぎゅうだ。
スマホを出すのもやっとだ。
「今日の予定はさっきメールで華南に送信したから確認してね。」
「ありがとう、舞美。」
「それにしても華南さ、仕事で何があったのか分からないけどさ雨に濡れたまま公園に居たって言っていたけど、本当自分の身体の事もっと考えなよ~。それに前に言っていた男性が普通の人だったから良かったけど、華南は美人で可愛いんだから気を付けなよ。男の人は大体欲望の塊なんだから。今度会ったらその看病してくれたとなりの人に御礼言いたいわ。しかも連絡が繋がらなかったしさあの時は。本当に焦ったんだからね。心配だったんだから。それで翌朝私が自宅に帰ったら居たんだから。」
その通りです。本当にごめんなさい。
「心配かけてごめん。」
「まあ、何もされずしかも看病付きで朝食・夕食付きで布団まで無料で使ったんでしょう?それに華南はその人の料理がとても美味しかったと聞いて私少し悔しかったんだからね。」
「大丈夫だよ。舞美のご飯が一番だよ。」
「そう、そう言ってくれるなら嬉しいけど。」
少し照れたように返答する。
「そういえば、前に華南が言っていた男性がこの前、看病してくれた人だよね。名前は何て言うんだっけ?」
「高島俊明さんよ。確か経営学部経営学科の4年生だった気がする。」
「聞いたことは無いわね。でも経営学科だったら過去に授業被ったりした可能性もあるわね。経営学部の人でも経済の事は勉強が必要だから。その人の特徴は何か無いの?身長とか?
「身長は180㎝以上はあると思う。髪はぼさぼさな時が多くて前髪でどっちかの目が隠れている時がたまにある。でも話しやすくて良い人だよ。それに面倒見も良いし。あと高校3年生の妹が居るんだよね。すごい可愛いかった。妹とはメールもしているんだよね。」
「へえ、華南が家族以外の人とメールをしているなんて驚いたわ。そのお兄さんの方とはメルアド交換しなかったの?」
「交換したよ。」
「交換しただけ?せめて何か送ってあげなよ~。向こうも何か思っているかもしれないよ。」
「男性に何て送っていいか分からないし。変な内容の文章送って何か引かれたら嫌だし。」
「嫌われたくないとは思っているんだね、その人に対して。」
「う、うん。一応今のとこと大学での唯一の知り合いだし。」
「なるほどねえ、でも何か送ってみなよ。あんた小説家でしょう?それも恋愛小説を扱っている?本の中の主人公達が連絡とるような描写や心情表現の部分は書けてなんで自分の事になるとダメなのかね?例えば、”先日は看病してくれてありがとう。お礼をしたいから2人でどこかにお出かけしませんか?”とかさ言えばいいじゃん。」
「え、ええ、私と高島さんとお出かけ?どうなんだろ。それって。デートじゃん。」
「まあ、何でも良いから書いて早く送りなよ。最初が大事なんだよ。」
私達は新宿駅に着き埼京線に乗り換える。
「てかさ、華南はその高島さんの事どう思っている訳?」
「う~ん、良い人だとは思っている。話しを引き出すの上手だし。身長高いし、丁寧だし。今のところは評価高いかな。あっと筋肉質だけど痩せているんだよね。普通に良いなあと思っている程度かな。」
「その人は何かスポーツとかやっている?」
「本人からではなく妹さんから聞いたんだけど、空手を中学生くらいまで習っていたらしいよ。」
「成績の方はどうだったの?空手って型とか組み手とかあるらしいじゃん。」
「そうだね、型も組み手も何回か全国大会で優勝しているって言ってたよ。」
「全国大会優勝!?すごい人だね。その人。調べたら更に情報出てくるかもね。でも今は空手やっていないんでしょ?何でやめたの?」
「柔道といった他の武道を始めたらしいのよ。それが理由で空手を習うのはやめたらしい。柔道の方も体重が軽かったから成績は空手と比べると低いけど関東大会は常に出場するくらいのレベルだったらしいよ。」
「すごいわね。」
高島さんはまだまだ謎の部分が多い。
それに高島さんが恐らく私が幼い頃に会ったことがある少年だと思う。
私はあの時の彼が高島さんだと良いなという思いをのせてイベント会場の最寄り駅である大宮駅に着いた電車を降りた。
地下にホームがあるので熱気がすごかった。
今日のイベント会場でも熱気があふれるほど参加者が多いと良いなと私は思った。




