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第27項「団欒」

主人公の家族全員が出てくる団らん回です。【2022年9月25日改訂】

俺と親父と祖父の3人は食事を終わった後、引き続きお酒を飲み交わしていた。

母さんは日本酒と焼酎、それに簡単なおつまみみたいなものも用意してくれた。


俺は酒だけでは楽しめないのでおつまみがあるのはありがたい。


母さんはお酒を一杯くらいしか飲めないので杯を交わすのは最初だけだ。


「とりあえず、かんぱ~い。」


聖奈以外の成人者は注がれた日本酒を飲む。


美味い。


普段は仕事があったりするのと一人暮らしでお酒を買うほどのお金はないのでもしかしたら、アルコールを飲むのは今年この家でお正月の時に飲んで以来かもしれない。


「それで、どうなの?大学は?」

母さんから口を開いた。


「もう単位は3年生の時に全て取得したから1週間に1回授業を受けるために学校に行く

くらいかな。」


「じゃあ、卒業は確実にできる訳ね。大学に行かない日は何しているの?」

「ほとんど仕事かなあ。仕事も大学も無い日は家じゅう掃除したり料理したりする感じかな?」


「今の感じだとあんた全然遊んでいないわね。ちゃんと大学楽しんでいる?大学と言うのはもちろん勉強する場所でもあると思うけど、あんたもう少し遊んでも良いと思うよ。誰か友達とか居ないの?」


「たまに大学で丈瑠に会うくらいかなあ。これからの時代何かとお金かかるし仕事だって急に失うことも考えられるから大学生の若い今のうちから稼げるだけ稼いだ方が良いと思って。歳取ったら病気になったりして働けなくなったりするかもしれないだろ。その時にお金が無ければ生活は出来ないよ?そういった事態の時でも生活できるように俺は働いて居るんだよ。」


「まあ、あんたが言っていることも間違いではないけどさ、全然恋人とか連れてこないし。それはあんただけでなく聖奈もだよね。あんたたち2人とも美男美女なんだから誰かに告白されたりしたりしないの」


母さんはリビングで寝転がっている聖奈にもあわせて聞く。

「私は告白自体は何度もされているけど全部断っているわ」


「ふ~ん。聖奈に告白してきた男子は可愛そうだな。全員玉砕かい」


玉砕とか言い方w


「俺も無い。てかそういう恋愛関係の話しはたぶん聖奈が遺伝的に全部吸い取っちゃたんじゃない。俺はその返事に答えることができるほど告白はされたことは一度も無いから言うこと何も無いよ」


「でもお兄ちゃん、前に私がお兄ちゃんが住んでいる家に行った時に知らない女性連れ込んでいなかったけ」


こいつ余計な爆弾を落としやがって。


「え、なにそれ、俊明がそんなことする不良に育てた覚えは無いぞ、ちょっと説明しろ」


親父が食い気味に説明を求めてきた。

良く聞けよ。親父。


「連れ込んだんじゃなくて公園で雨に濡れた女性が居たからその人の家まで送ろうと思って声をかけたけど返事が無くて顔を見たらかなり苦しそうな表情をしていたから、とりあえず家に連れて看病しようと思って家に帰ってすぐに聖奈が突撃してきたわけだよ」


母さんと父さんはなるほど、と頷いた。


「てか、聖奈あんたあの日お兄ちゃんの家に行っていたなら連絡しなさいよ」


「ええ、電話で連絡しなかった?お父さんに。あれ、電話したよね?」


「ああ、電話受けた気がするけど、悠梨さんに伝えていないかも。」


おい、おい。報連相しっかりしろよー、

親父。社会人の常識だぞ。俺は正確に言うとまだ社会人ではないが、大人の手前だ。


「でもその看病していた女の人は大学の授業で知り合った一つ下の後輩なんだよね。それにかなりの美人だった。肌も雪のように白くてその人メガネかけているんだけど、その姿も絵になるんだよね。そんな美人がなんでお兄ちゃんと知り合いなのか未だに疑問だもん」


「今度この家に連れてきてよ。私も見てみたいわ」


母さんがテンション高めで返答する。


「いや、ただの知り合いだから難しいと思うよ」


俺はそう答える。


「でも、お兄ちゃんの家と華南さんの家隣同士だったから頑張れば行けるかもよ」


いや、無理だろ。

それにあの人小説家だし。

(↑ここだけの話)


相当スケジュールが忙しいって前に言っていたし。


このことは公にされていないから黙っておかないと。

でもなんであの時食堂で俺には正体明かしてくれたんだろ。


「まあ、無理だろ。俺とあいつは授業が1週間に一度同じで家は隣同士ではあるが、聖奈があの時俺の家に突撃した時以来一度も会っていないしな。あいつも忙しいんだろ(原稿で)」


「え、そうなの?でもメールで話した時前に大学の帰り道で話しかけたけど気づいてもらえなくてショックだったんだけどって来たんだけど。お兄ちゃんどういうこと?」


「え、そんなこと無かったはずだよ。まあそれがいつの事だか分からんけど仕事の事でも考えていて周りの声聞こえなかったんだろ。てか、あいつとやり取りしているのか?聖奈は」


「すぐには返信来ないけど一応会話続いているよ」


俺もあの時交換したはずなんだけど、一度もメール来ていない気がする。


俺嫌われているのかな?

まあ、メール返信作業減るから良いけど。


「それで、その女性の名前は何て言うの」


「新前華南さんという人で北海道出身なんだよね?それでこの春から編入生としてお兄ちゃんが通っている大学に通っているらしいよ」


「し、新前?どこかで聞いたことがある名前じゃな。あれどこだっけな」


祖父が反応した。

今まで祖父が会話に参加することが無かったのに。聞き専だったのに。


「おじいちゃん知っているの?」

俺と聖奈は聞く。


「ああ、昔わしが鉄道会社で働いて居た時の同期に新前という奴が居た気がする。最近までは連絡を取っていたのじゃが、その後音信不通になってしまって。どうしているかの~。」


長い顎髭をさすりながら懐かしそうに話す。


そうおじいさんは昔鉄道会社で働いていて鉄道公安官として仕事をしていたのだが、今の鉄道会社に変わってその仕事をやめた。

その後に現在我々が住んでいるところに来てボディーガードの仕事を始めた。


そして何年か経ち自分で独立して小さい会社を設立させた。

それがこの家の1階にある事務所兼仕事場である株式会社「ストロングガード」である。


今は親父が2代目として引き継いでいる。

どうやらおじいさんは新前という名字の人と知り合いっぽそうだ。


でも後輩の新前と同じ家系の人かどうか分からないのでいつか聞いてみたいところだ。


「トシはその新前さんのことどう思っているの?」


母さんからの追撃が来る。


「普通に優しい感じの後輩だと思うよ」

「それだけ?もっと何か無いの?」


「無い」

「いや、情報量少ないなあ。もし新前さんがトシのこと好きだったらどうするの?」


「絶対そんなラノベの主人公みたいなことは起きないから大丈夫」

「まあ、とりあえず今夜はこれでいいわ。あとは聖奈から聞くわ」


それで良いよ。俺は頷く。


こうして久しぶりの杯をかざした家族のだんらんは幕を閉じた。

お酒はほどほどにして楽しみましょう。

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