第20項「彼女の家が自分の家の隣の部屋だった件。」
本日長めです。
切ろうかと思ったんですけどこのままに
しました。
「起きてください。お兄ちゃん~。いつまで寝ているんですか。朝ご飯できていますよ。」
俺の耳元で優しくて甘い囁きの声が聞こえる。やばい誰だろ。
今にも俺の中の何かを簡単に奪っていきそうな声の持ち主は…
俺は高校生の時からラノベだけでなくアニメも好きだった。
アニメの内容も勿論好きだけど出てくる主人公達に声を当てている声優さんの声を聞くのも昔から好きである。
なので、例えアニメの内容が面白いと思わなくても好きな声優さんの声を聞き浸る為にそのアニメを観ることもあった。(現に今もそうだ。)
そして俺の掛け布団が誰かによってはぎとられた。まだ寝たい。
「おはようございます、お兄ちゃん。私の好きなお兄ちゃん、早く起きてください。
お兄ちゃんの事襲ってしまっても良いんですか?まあ、私は襲いたいですよ~。」
やべ~妹に襲われるのは不味い。眠い目をこすりながらそう思う。
この言い方だと俺が妹を襲うのは問題ないみたいな言い方だが、むしろその方が世の中的にもっと不味い。結論を言おう。どっちの場合でも不味い。
俺にそんな妹を襲うなんて度胸は無いけどな。
俺は目を覚め、布団から這い上がる。
聖奈の声を朝から聞くのは実家暮らしの時は当たり前だったけど、こうして一人暮らしの時に例え妹の声を聞くのでもけっこうドキドキする。
てか、聖奈の声ってこんなに透明度あったんだ。今になってそれを知る。
聖奈は制服では無く部屋着みたいな服にエプロンを身につけていた。
女性がエプロンを付ける姿は絵になる。
朝ご飯作ってくれたようでありがたかった。
一人暮らしの時は朝ご飯は野菜ジュースで済ませることが多いからだ。
「聖奈ちゃん、お皿置いておいたよ~。」
また別の女性の声がする。
俺ら兄妹以外にもこの家に誰か人が居たんだっけ。
誰だっけなと思って声の方に顔を向けると、
新前が居た。服は昨日公園で見た時の服だが、洗濯され乾いた服のようだ。
「おはようございます。高島さん。」
朝から笑顔が眩しい。
光の量が多くて俺は目を開けられない。
う、う、う。
「体調の方は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで。朝起きたらしっかり完治できていました。昨日は看病してくれてありがとうございました。このご恩は必ずいつか返します。」
顔色を見ても普段授業の時に見るようないつもの状態だった。
本当にあの時公園に放置していたらどうなっていたんだろと思うとぞっとする。
「まあ、公園に傘も差さずに雨水に濡れて座っていたら助けるしかないだろ~。新前、もう少し自分の身体に気をつかえよ~。御礼は別にいいよ。人として当然の事をしたまでだし。」
「お兄ちゃん~、早く洗面所に行って顔を洗って髪とかしてきてよ~。」
「おう。」
顔を洗って髪をとかし食卓に戻る。
「はい、今日はお兄ちゃんの為にとっておきの朝ご飯作ったからね~。」
俺は食卓に並んだ皿たちを見る。
ご飯、豆腐とわかめの味噌汁、ひじきの煮物、鮭の塩焼きだ。
これぞ日本の朝ご飯。
「あと、お兄ちゃんはこれでしょっ。」
そういって聖奈は野菜ジュースが入ったコップを渡してくれた。
さすが、妹。抜かりない。目覚めの一杯はこれに限る。
これがなければ俺の朝はやってこない。
本当に聖奈は人間的に出来た最高の妹だぜ。
兄貴が俺と言うのが何か申し訳なくなる。
「じゃあ、いただきます。」
俺たちは合掌して挨拶する。
俺は味噌汁をすする。
母さんには負けるけど、妹の味噌汁もかなりこだわっている。
出し汁の味が絶妙に美味い。具材のサイズも良き。
鮭の塩焼きの方は塩加減もちょうど良くしょっぱすぎない薄味だけど噛んだ先に塩の味がほんのりする。
ひじきの煮物も実家で食べていた味だ。
「どう、お兄ちゃん。少しは実家の味思い出せた?」
「ああ、美味いよ。朝から和食食えるのは良いわ。本当に日本人で良かったわ~。」
「華南さんも口に合う?」
「ええ、本当に美味しいわ。昨日高島さん、あお兄さんの方が作ったおかゆも美味しかったけど、今朝聖奈ちゃんが作った朝食も美味しいわ。」
「良かった。口にあって~。」
いや、妹の料理に対する技術がまた進化した気がする。
すごいなこいつ、勉強できて料理できるとかスペック高すぎ。
いつでも嫁げるなあ。
「ごちそうさまでした~。」
いやマジ美味だった。
しばらくは外食先とかで味噌汁とか食えないわ。
妹の味噌汁がうますぎて。
「朝ご飯は作ってくれたから食器は俺が片づけるよ~。」
「分かったわ。よろしく~。」
俺は食べ終わった食器を回収し水につける。
放置しておくと落ちなくなるものから先に洗っていく。
一通り洗って作業も終わった。
普段は1人分しか洗わないから思ったより時間かかってしまったが、複数人で同じ釜の飯を食うのも悪くないと思った。
「じゃあ、私そろそろ失礼するね~。昨日から看病してもらったり泊めってもらったり朝ごはん迄頂いたりして本当にありがとうございました。」
「おう、気を付けて帰れよ~。」
「まあ、気を付けて帰ると言ってもすぐそこなんでしょ?華南さん?」
俺は聖奈が言っている意味が良く分からなかった。
俺と聖奈は玄関を出た。新前を送る。
「私の家ここだから。」
彼女は左隣の部屋を指さして言った。
「え、新前の家ってここなの?てか隣じゃん?俺初耳なんだけど?」
「ハハハ~、フフフ~」
聖奈と新前は笑っている。俺だけ状況が良く分からなかった。
「私も昨日気づいたんだけど、高島さんが私をおぶって高島さんの家に入って部屋の布団に転がされて居る時にインターホンが鳴って聖奈ちゃんと高島さんの声が聞こえてその時に目が覚めたんだよ。その時に部屋の周囲を見た天井や壁の模様が自分の家と同じで、リビングで3人で話したときも私の家と間取りがほぼ同じだったからもしかして高島さんの家の近くもしくは同じアパートに住んでいるかもしれないなと思った。今朝起きた時に自分が居る場所をGPSではかったら私の家の隣って表示されていたの~。纏めると私の家と高島さんの家は隣同士だったみたい~。」
「ま・じ・か・そんな偶然ある?てかさっき聖奈さ、”まあ、気を付けて帰ると言ってもすぐそこなんでしょ?華南さん?”って言っていたけどなんで家主である俺よりなんで先に知っているの?」
「私も華南さんを看病している時に直接この家が私の家と間取りや壁、天井の模様が同じで、この家の住所を聞かれたの、その時華南さん自分がどこにいるのか分かっていなかったから、それで教えたらかなり近くに住んでいることが分かったわけ。」
「はやく言えよ~、そういう大事な情報は~。なんで教えてくれなかったんだよ~。聖奈~。」
「え、だってお兄ちゃんの困惑した顔見たかったし~。まあ見れたから私は大満足だけど、フフフ。」
何がフフフだよ。
人の事玩具扱いしやがって。
「まあ、そういう訳だから、これから隣人同士仲良くしてくださいね~」
「はあ~」
俺は溜息をついた。
神様なんでこんなことになるのでしょうか。
俺は何か悪いことしましたでしょうか。
「まあ、良かったじゃん。お兄ちゃん友達いないから。家の近くに知っている人が居るのは心強いよ~」
「そうだよ~、あ…そうだ。聖奈ちゃんメールアドレス交換しても良いかな?」
「良いですよ。はいこれ私のメールアドレスです。お兄ちゃんはどうせ私以外の女性からメールアドレス貰ったこと無いんだから華南さんのメルアド貰っておけば?」
「おう、そうだな、俺も良いか?」
俺もスマホのメールアドレスを見せる。
「あ、良いですけど。」
なぜ一瞬止まった。その間はなに?
俺の事もしかして嫌いなのか。そうか俺が悪かった。
女性陣のフリック操作はめちゃんこ早かった。
ちなみに俺はこんな高等技術は取得していない。
「たまにメールするね。聖奈ちゃん。」
「俺は?」
「…気が向いたらします。」
これは絶対その場をしのぐためにメルアド交換しただけで完結する奴だな。
「冗談ですよ、ちゃんとしますよ~じゃあ、私はこれで。じゃあね、高島先輩~」
何この一時的に可愛い声で上目遣い使うやつ。
まさか俺と新前の家がここまで近いと思っていなかった。
やっと連絡先の交換しましたね。
私も朝ご飯は和食が良いですね。
かなりの回数書いているんですけど、
実際はまだそこまで月日進んでいないんですよね。




