第16項「幕話 新前華南side④~高島さんの妹と話す~」
sideストーリーまだ続きます。
次でたぶん終わります。
私は高島さんと妹の聖奈ちゃんに言われ今日はここに泊まることになった。
男の人の家に泊まるなんて私はそんなこと今まで一度もない。少し緊張する。
頭が痛いので、しっかり歩けない。
私は、妹さんに連れられ自分がさっきまで寝ていた部屋に支えてもらいながら戻る。
部屋に入り、早速着替える。
見渡すと卓と座布団がある。
「新前さん、私、着替えるの手伝いましょうか。」
「せ、聖奈ちゃん、私の事は華南で良いよ。」
「さすがに呼び捨ては年齢的に私より何個も上の方なので、華南さんって呼びますね。」
「わかったわ。それで。」
「じゃあ、華南さんまずは着替えてください。いくらタオルで拭いたとはいえ、早く着替えた方が良いですよ。はい。枕元にあるこの服でも良いですけど。私のパジャマの方がサイズも合うと思うのでお貸ししますよ。」
「あ、ありがと。お言葉に甘えて借りるね。あの、反対側を向いてもらっても良いかな。さすがに今日初めて会った人に着替え姿を見せるのは恥ずかしいんだけど…」
「え、そんなに気になりますか。お兄ちゃんもいま料理中で、しばらくは来ないだろうし私は着替えている時に女性が居ても問題ない人なんで。まあ、でもそういう考えを持っている人は私の周りにも居るので後ろ向いていますね。あ、でも背中は拭いてあげますね。一人でやるのは難しいでしょうし。けっこう濡れているので。」
「わ、わかったわ。背中はお願いしようかなぁ。」
「じゃあ、華南さん後ろ向いてください。今拭くんで。」
「わ、分かったわ。」
私は、着ていた服を脱ぐ。
濡れた服が身体に張りついて気持ち悪い。
「華南さん、お肌きれいですね。すべすべで。つやつやで。何か美肌のコツとかあるんですか。」
「え、えええ、恥ずかしいよ。そんなに見ないでよ。聖奈ちゃんの方がきれいだよ。さっき玄関前で立っているのを見た時モデルさんかと思ったもん。しかも“愛しのお兄ちゃんに会いに来たんだ。”とか言っていたから少しお兄ちゃん気質なのかなあと思ったよ~。」
「モデルなんてやっていませんよ。私の家は遺伝的にみんな身長が大きいんですよ。お兄ちゃんもあの通り大きいし。てか、お兄ちゃんが玄関開けた時に私が言ったことなんで聞いていたんですか。恥ずかしいじゃないですか。」
聖奈ちゃんは顔を赤く染めて返事をする。
恥ずかしい姿が可愛い。
私の妹とはまた違った可愛さだ。
「はい、背中は終わりました。前は自分でやってください。私よりも胸ありますね。悔しいなあ。それでいつも大学とかでお兄ちゃんを誘惑とかしているのですか。」
「え、えええ。そんな私も普通だよ。てかそんなことを仮に私がしたとしても高島さん絶対反応しないと思うよ。」
「わかります。お兄ちゃん男子のはずなのにいつも私が迫っても離れろとかは言うし、上目遣いでなんか言っても反応薄いし。いつも何考えているのか妹の私でも分からないんですよね。」
「そうなんだね。少し他の人と変わっているんだよね。高島さんは。」
「さっきお兄ちゃんが華南さんを紹介した時に大学の授業のグループワークで一緒になった時に仲良くなったって言っていましたけど、大学のお兄ちゃんはどんな感じなんですか。」
「私も一緒の授業になるのは週に1度しかないから他の日はどうしているのか知らないけど、私と授業が同じの時は普通に話していたよ。自己紹介の時も出身都道府県とか誕生日とか聞いたりした。こっちがどうやって話をすすめようか考えている時に高島さんの方から話しかけてくれてありがたかったのよね。」
「お兄ちゃんらしい。そういえば、華南さんは出身どこなんですか。」
「私は北海道だよ。」
「えええ!?北海道から上京したんですか。凄いですね。思い切った決断ですよね。」
聖奈ちゃんはかなり驚いた表情だった。
「まあ、東京に出てやりたい事があったからね。聖奈ちゃんはいま、高校3年生って言っていたよね。
もうどこの大学に行くとか決めているの?」
「一応国立狙っていますね。自慢では無いですが、お兄ちゃんよりも勉強面では強いので。でもお兄ちゃんは私が持っていないもの全部持っているんですよ。」
「国立狙いか。受験科目多いからかなり大変だね。学力強いのは良いなあ。私国語くらいしか出来ないから国立は絶対無理な選択肢だわ~。」
私は身体全体を拭き、布団に潜り込む。
「高島さん、体格良いから運動神経とか良さそうだと最初会った時に思ったんだよね。」
「お兄ちゃんは高校に入学する前まで空手をやっていたんですよ。」
「え、そうなんだ。あ、なんか自己紹介の時に言っていた気がする。」
「すごいね。レベルとしてはどのくらいだったの。」
「全国大会優勝経験もありますね。空手って型と組手の2つに分かれるんですけど、お兄ちゃんは両方で優勝していて地元では有名な人でした。」
「両方で優勝するとかすごいなぁ…。」
「余談なんですけどエピソードがあって、学校で暴力振るうとかというのは一度もなく普段は温厚な性格なんですけど、一回私が3人くらいの男性にナンパされている時にお兄ちゃんに対してその3人組が襲い掛かったことがあったんですけど返り討ちにして、警察の人から“もう少し抑えて正当防衛して下さいね。”と言われたことがあったんです。」
「警察にまで手加減するように言われるとか…。」
高島さんって敵に回すと大変な事になるんだな…。
「それで襲った3人は完全に意識を失い病院に搬送されましたね。お兄ちゃんは大事だと思っている物を見知らぬ誰かから奪われそうになったりすると怒るんですよ。あのとき私もお兄ちゃんの怒る姿を見てちょっと怖かったですね。でも私を守りながら闘ってくれたのは嬉しかった記憶があります。」
「え、すごい。妹を助ける高島さんのその瞬間見てみたかったな。そんなにエピソードあったんのかあ。そんなに強かったのになんで空手辞めたの?」
「空手以外の武道を習い始めたからですよ。始めたのは柔道でした。お兄ちゃんは高校入学時は今ほど身長や体重は無くて痩せていました。そこで体重を増やしながら身長も少しずつ伸ばして強靭な体格になったんです。それでも痩せてみえるのは高島家の遺伝だと思います。」
「柔道の方も始めたんだ。柔道の成果はどうだったの?」
「始めた時は、すぐに上達しなかったんですけど、身長や体重が増えた途端、急に成長してたちまち
関東大会出場くらいまでの選手になりました。お兄ちゃんは空手の方が好きみたいですけど...」
聖奈ちゃんのお兄ちゃん想いである理由が分かった気がする。
「なるほどね。すごいなあ。話変わるんだけどさ、この家ってさ、住所ってどこかわかる?
私の自宅と家のつくりが同じ気がするんだよね。」
「ここは、東京都○○○市○○○町○○丁目ヤマドリマンション301号室ですよ。」
「え、えええ~もしかしてだけどさ、私、今聖奈ちゃんが言っていたマンションの302号室に住んでいるんだよね。」
「え、本当ですか、となりの部屋じゃないですか。お兄ちゃんはこのこと知っているんですか。」
「たぶん知らないと思う。いや、さっきリビングルーム行った時も部屋の作り似ているなあと
思っちゃって。もしかして私の家に高島さんが来ているのかと思っちゃったから聞いた。」
「私もびっくりです。まあ、お兄ちゃんは鈍感なので何も知らないと思います。まあいつ気づくか待ってみたらどうですか。」
「そうね。そうしようっか。」
「コンコン、入って良いか~」
部屋の扉を叩き高島さんの声が聞こえる。
話題の高島さんが来たようだ。
女性陣だけの言葉のキャッチボール回でした。
俊明の大学入学前のエピソード回でもありました。
評価してもらえるとやる気が上がります。




