第133項「花火大会編②」
暗闇に映る非日常の和装に身を包む華南さんを活字だけですが、妄想してくれると楽しみが向上すると思います。
健さんに駅近くまで送ってもらい俺と華南さんは車の窓から既に花火大会の会場に向かって歩いている観客を見て話をしながら、健さんの到着の合図を聞き降りる準備をする。
「さぁ、駅のロータリー前に着いたぞ?トシ!先に華南さんが乗っている扉の方まで行って降りる手助けをしてやれ?」
「了解です。」
急いで先に自分が降り周囲を警戒し反対側に回る。
「は、華南さん。降りれそうですか?」
車の扉を外から開け、日頃と比べてより身動きが難しい浴衣であるのと足にはたまにしか履かないと言っていたサンダルを履いているので車を降りる際によろける可能性があるので手を差し伸べる。
「先輩の手を貸してもらっても良いですか?上下浴衣姿で足には普段履くことが無いサンダルなのでうまく車から地面に降りたことが無かったので、補助の手があったので助かりました先輩。」
「うん。確かに浴衣を着て車に乗り降りするってこと非日常の経験だもんな…。」
「健さん。ここまで送ってもらってしまってありがとうございました~。」
2人で運転手を勤めてくれた健さんにお礼を言う。
「大丈夫だ!それでトシ!お祭り会場で周囲の男性が華南さんの美貌に釘付けになることは想像ができるからそこから何か問題とかが発生しても冷静に対処しろよ?まぁ、大丈夫だろうけどさ。しっかり普段行っている華南さんに忠誠する心を守り彼女を守りながらエスコートして少しは夏の風物詩をお前も感じてこいよ?」
「はい。ありがとうございます。せ、先輩って私に忠誠心とか持っていたんですか?」
この質問をどう返事するか悩んだ一瞬の間で困っている俺を見て”耳を貸せ。”と言ってきたので、再び車内に身体の半分を入れて何かを言おうとしている健さんが居る運転席に近づいて耳を貸す。
「な、何ですか…?健さん…?」
「前回のデートから1カ月以上経過しているんだからそこから次の段階まで良い感じで進展できるようにがんばれよ?あとはお前自身の気持ちだからな?」
「あ、はい。」
耳元に小声で助言なのか応援なのか分から無いけど、華南さんの事をもっと知りたいと言う気持ちはここ最近生まれてきている自覚があったので、その後押しをしてくれた健さんに感謝して俺は車を離れ華南さんの元に戻る。
「先輩はこの花火大会に、来たことあるんですよね?」
浴衣に身を包み手をつないだ高校生くらいから自分と同じような歳の大学生っぽいカップルまで多くの若者が手をつないで歩いていく姿が目に入る。
「ああ。俺が高校生くらいまでは丈瑠と聖奈と3人で一緒に花火を見に来たんだよね。」
俺らは会場に向かっている人の流れの波に乗って進んでいく。
「丈瑠さんと聖奈ちゃんってあまり一緒に居るのを見たこと無いですけど、実際2人の仲はどうなんですか?良いんですか?」
「最後に高校生3年生の時に今日のように3人で花火を見に出掛けた時は兄妹である俺より聖奈は丈瑠と一緒に楽しんでいた気がする。今も昔ほど関わりを持っているかは分からないけど別に仲が悪いという事は無いと思うよ…。」
あの美男子と美少女は頻繁に俺を話題にして話をしているとか前に自称恋愛マスターの幼馴染が言っていたし…。
「兄妹間より幼馴染同士の方が仲が良いのを見て先輩は聖奈ちゃんかもしくは丈瑠さんに嫉妬とか感じたりしなかったんですか?」
確かに当時の俺はあの時2人の光景を見てどう思ったんだろう…。
なぜ美男子・美少女とモブの俺が一緒に居るのかという疑問は確かにあった。
「う~ん、あまり嫉妬心は無かったけど、2人が仲良さそうに花火を楽しんでいて俺はこの場に同伴する意味があるのかは何回も思った気がする…。」
「その気持ちは何を見て感じてその時思ったんですか?」
「けっこう今日深く切り込んでくるね?華南さん…。」
「だって、正直な話をすると先輩の周りって私とは違って陽キャというか容姿も性格も学力もハイスペックの人が男女問わず多いじゃないですか?先輩も普段は何か力を隠しているハイスペック男子だとは思っていますけど、先輩が花火を幼馴染の3人で見に行った際に何か自分への情けなさを感じててその場に一緒にいる意味が見出せなくて何か強い気持ちを抱きながら葛藤をしたのかなと今の話とそれを話す先輩の表情を見ながら聞いて思ったんです。」
「華南さんって人がその時にどう思っているかもしくは思っていたかを予測するが得意なのかなぁ…。推測して見破ってくるところが恐ろしいんだけど?」
「私はペンと紙を武器にして人の感情描写を繊細に描く事を職業にしていますからね?それに、もし先輩がその時に感じていたことをまだ引きずっていたらそれを克服してほしいと思いますし私で良ければ手伝わせてほしいんですよ?アシスタントマネージャーの悩みを聞くのは小説家である私の仕事でもあると自負しているので…?」
「普通、アシスタントマネージャーである俺が小説家である華南さんの悩みや要望を聞くのが正しい構図なんだけどな…。不甲斐ないアシマネで申し訳無い…。」
「人間の悩みはその人が人間であれば悩みは自然と生まれる物ですよ?」
「なんかよくわからない名言だな…。その人が人間であればっていう仮定を置くとしてその人が人間以外の生物の場合は悩みは聞かないのかと言う突っ込みもしたいところだな,,,。」
「揚げ足を取らないでくださいよ~~。でも私も自分で何を言っているのかこんがらってきました。ハハハ。」
「どっちかというと迷う方の迷言な気もしてきたな…。これを言われた俺はどのように返事をするのかという問題に大きく迷ってしまうという意味でだけど…。」
「まぁ、今の言葉が上手く決まらなかったのは私の表現の下手さが露呈しましたけど、先輩が持っている悩みはいつでも私に打ち明けて欲しいんですよ?先輩のことについてもっと知りたいですし、その悩みが解決できる手助けができてそれが解決できるのであれば私も嬉しいですもん。」
「そっか…。まぁ、そのうち整理がついたら話してみるかもしれない…。」
「はい。整理がついたらちゃんと話してくださいよ?そのまま放置とかは一番良くないですからね?」
「分かっているよ~。絶対話すよ。」
本当は俺の方が親身に作家さんである彼女の不安や悩みを聞く立場に居なければおかしいんだけどな…。
アシスタントマネージャー=アシマネ




