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第127項「期末考査明け1発目の連日勤務~with華南②~」

「ご乗車ありがとうございました~。おおみや~大宮です…」


俺らは、電車を降りその屋根の上から覗かせている球体からの日差しを受け汗が頬を伝っているのを感じる。


正直言ってまだ、試験が終わったと言え7月の中旬なのにこの暑さなのかよ~。

これから本格的に始まる夏期休暇中の暑さに耐える事ができるのかとても心配だ…。


“大宮駅”と書かれた駅名標を見ながらふと前にテレビで見た事を思い出す。


大宮駅は“東北の玄関口”であるか否かという番組の内容でこれが果たして当てはまる駅と呼べるかいうのは色々意見が割れると思う。


ただ、多くの人は“北の玄関口”言えば東北本線と常磐線と言う長距離路線を2つも抱える上野駅であると言う人は多いだろう。


でも大宮駅は東北地方だけではなく群馬、長野、新潟等を含めた各方面に向かう路線の分岐駅として仁王立ちしていて新幹線を含め都内の駅と同じ種類の鉄道路線が乗り入れている事から東北の玄関口と言うだけではなく上信越の玄関口でもあると思うのだ。


番組が主張する事は間違いではないが、上野駅と区別する為にも上信越方面の玄関口でもあることを付け加えて欲しいと思う。


埼玉愛がとにかく強い俺は大宮駅は今や上野駅よりも東日本、北海道方面においての玄関口と言っても良いと思う。(彼の個人的な考えです!)


「ふ~。大宮駅着いたなぁ。え~と、今の時刻は12:30か…。華南さんが父さんの仕事場に集合する時間って午後だったよね?」


丈瑠が華南さんに確認しているのを聞きそれに頷く彼女の姿を見ながら俺はこんなに毎週大宮駅の方まで来るのであれば回数券を購入した方がお得な気がしてきた。


これは検討の余地があるな…。


「彩乃は昼ごはんはどうしたい?」


「私は久しぶりにナポリタンが食べたいなぁ。うどんでも良いけど?」


多くの人はうどんというと香川県や福岡県のイメージが強いかもしれないけど、埼玉県も実はうどんの消費量が比較的多い県で知られている。


「トシはなに食べたい?」


「そりゃあ、大宮にわざわざ来たんだからやっぱナポリタンだろ?」


「そうだよな?高校時代に今日みたいな試験明けの日とかの昼食に大体ナポリタンが出される店に食べに行っていたよな?華南さんもそれでも良い?」


「はい。私もこの地に何度かは来ていますが、大宮に有名なグルメがあることは知らなかったので是非一度食べてみたいです!!」


「よし?トシどこの店に行くか?やっぱナポリタンといえばというあの店にするか?」


「大宮のナポリタンで一番手ごろな価格で美味しいお店と言えばあそこだよな?」

俺らは中央改札を抜けまめの木を横目に捉えながら正午を過ぎた大宮駅のコンコースを歩く。


「せんぱい?なんで大宮ではナポリタンが有名な名物なんですか?」


「ああその説明をしていなかったね? それはね…。」


「大宮は鉄道車両を製造したり修繕したりする工場が明治時代から存在していたことからその職員の人達が昼食時に食べていたと言う話があるからなのよ?華南さん?」


俺が解説しようと思ったら横から宮山が横から入って答える。

俺に聞いていたんだからそこは知っていたとしても黙ってろよなぁ。


「そうだったんですね?彩乃さん。凄い歴史があるグルメなんですね…。」


20分程歩いて高校時代から通っている店に着いた。


「いやぁこのお店に彩乃とは大学に入ってから何回かは来たけど、トシとはなんだかんだ大学入って初めてかもしれないな?高校時代は何十回も一緒に来ているけどなぁ。」


店の前で丈瑠はそう言う。


「俺もこの店に2人以上の人来たこと自体がかなり久しぶりだわ。それに前に来たのも1年位前くらいだし…。」


「よし入るか…。」

丈瑠の声で俺らは少し薄暗いけど良い雰囲気をまとっている店内に入る。


「いつもは凄い混んでいるのに今日はそこまで混んでいないね?丈瑠…。」


「そもそも高校生とかはまだ期末試験すら始まってないし大学生だってちょうど試験が開始したぐらいだろうからあんまり混んでいない理由も頷けるけどな…」


「確かに、そう考えると丈瑠の言う通りだね。」


俺と華南さんは黙って恋人っぽくお互いを名前呼びをしている2人を見る。


さっき2限の試験時間に丈瑠が言っていたように彩乃と恋人らしくしていることが見ていて良く分かった。

それにあの喧嘩の後になってからお互い惹かれあっていることが今見ていても分かる。


今まで俺は華南さんを含め同年代の女性の名前を呼び捨てで呼ぶことに抵抗があったが、だいぶ慣れてきたので俺も華南さんの事を呼び捨てで呼んでみようかなと思うきっかけとなった瞬間だった。


「この店はナポリタン以外にもオムライスと言った洋食料理や和食系のメニューも揃っているから自分が食べたいものを注文して良いと思うよ。でも俺はこの店で一番の人気メニューであるナポリタンにするわ。」


「俺もそれにする。他のメニューも美味いけど一番の美味はナポリタンだと思うし。」

結局4人ともナポリタンを頼む事になり注文を待っている間4人での会話となる。


「そういえばさ、華南さんが有名な作家さんであることは分かったけどさ、高島は華南さんの横をずっと側について歩いていたけど何をしているの?」


「実はトシの家はな。彼のお爺さんの代からボディーガードの専門会社を経営していて彼も大学生をやりながらいつか会社を引き継ぐ為に大学2年生くらいから本格的に始めたんだよな?」


「ああ、俺の口から説明するのがあれだと思って代わりに説明してくれたんだろうけど、ここからは自分で説明する。そう、丈瑠が今、言った通り俺はボディーガードの仕事をやってていて4月に入ってから有名な作家さんである華南さん自らボディーガードをつけたいと申してきたので契約を結んでビジネスパートナーとして華南さんの仕事面を支えている訳。」


「なるほど、そういうことね。それでこれから華南さんが丈瑠の父である健さんに会うから高島もその道中を監視とサポートする為に一緒に行動しているのね…。やっと納得したわ。でも、高島が住んでいる家が丈瑠の家とそこまで近くて幼馴染だったというのが驚きだわね。あんまり一緒に普段から居るような性格では無いように感じたもん。」


ナポリタン4人分が机に運ばれ麺をフォークに絡ませ口に運ぶ。


「これ、具だくさんで美味しいですね?食べ応えあります。確かに一度食べたらまた食べたい気もします。」


華南さんは美味しそうにナポリタンをフォークに絡ませて黙々と食べていく。


「そういえばだけど、高島ってさ何学部なの?」

宮山が急に聞いてきた。


「経営学部だね。宮山は?」


「丈瑠と同じ経営学部なのね…。あ、私は文学部英文学科なんだよ。」


「英文学科って英語がペラペラなのか?」


「ペラペラと言うほどでは無いかな…。」

この人、俺の事を散々、もやし呼びしていたが、普通に話す分には嫌な人では無い気もしてきた。


仲良くできる関係まで行けるかは分からないけど…。


「彩乃は4年間アメリカに2年間中国に住んでいたことがあるから本人は遠慮がちに言っている節があるけど英語も中国語もかなりレベル高めに話せるんだよ?」


丈瑠が彼女の経歴を自慢する。


「まじで?すげーな。それ。」

外国語を話せるだけでもすごいのに、国外に計6年も住んでいたという人は初めて聞いた。


「ごちそうさまでした。」

華南さんが一言言った後に俺の方をじ~と見て何か言いたげそうな顔をしている。


もしかして嫉妬?そんなわけないか…。別に華南さんと付き合っている訳でもないし…。


それともただ単にナポリタンが美味しすぎてその感動を俺に共有したいだけなのか…。


俺に向けている顔が何を意味しているのか俺には分からない…。




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