第123項「屋外での撮影②~自販機前での会話~」
長めです。
アクセス数伸びて嬉しいです。
ありがとうございます。
俺は、アシスタントマネージャーが待機する人数にしては狭すぎる待機部屋を出て、公園の中にある自動販売機で飲み物を買いに外に出る。
空を見ると太陽が大きく頭上に現れている。
その下では雑誌の記事として掲載する為に指定された服に包まれた顔面偏差値が高い男女を被写体として三脚を複数台立てて撮影するカメラスタッフがまだ初夏ではあるが汗を浮かべながら指示出しをしている。
そんな姿を視界に入れながら俺は自販機のボタンを押す。
横のベンチに座り缶のアイスコーヒーを開いて喉に注ぐ。
俺が好きなのは野菜ジュースであるのは御存知だとは思うがその次に好きなのがコーヒーである。
特にこの暑さの中で仕事の合間に飲むアイスコーヒーほど美味い飲み物は無いと思っている。
人によってはビールと言う人も居るかもしれないけどな…。
「舞美ちゃん~~。もう少し隣の男性の方に寄って~~。そうそう。その位置よ~~。良いね~~」
俺は同じ年齢だと思っているフレンドリーな女性カメラスタッフの指示に耳を傾けて舞美さんの隣に立つ男を見る。
男の方は丈瑠のような少しチャラメな外見だけどスタッフさんとかの態度を見ると誠実そうにも見える。
ただ、現場ではそうアピールしているだけで別の場では違う態度なのかもしれない。
あくまで想像の話だけどね…。
この撮影は夏休みデートをイメージしたカットを撮っているらしい。
俺は飲み終わった缶を自販機の横のゴミ箱に入れて舞美さんの飲み物を確保しておく。
俺は自販機に表示されている飲み物の選択肢を見て指が止まった。
舞美さんは果たしてどんな飲み物が好きなのだろうか…。
コーヒー?ジュース?炭酸?
まだ、夏本番の暑さでは無いけど、湿度は高くて蒸し蒸ししているから熱中症対策としてスポーツ飲料とかが望ましいのだろうか…。
俺が自動販売機とにらめっこしていると後ろから声がかかった。
「おっは~~。お疲れ~~。高島くん!!」
「お、お疲れ様です。撮影は終了したんですか?」
後ろを振り返ると舞美さんでは無くてさっきカメラを操作していた俺と同じ歳に見えるフレンドリーで少し変な女性が居た。
「うん、終わったよ~~。昼休みだね~~。カメラ回している時から思っていたんだけどさ、自販機の前でずっと立ち尽くしていたけどさ、どうしたの?」
「えとですね…」
「草食系男子は女性では無くて自動販売機が好きななの?」
「え?」
この人前回屋内のスタジオで撮影した時にも思ったけど、ちょくちょく爆弾と言うか地雷と言うか変なゴミ落としてくるよなぁ…。
「冗談だよ!!アシスタントマネージャーの待機室が空調が利かなくて余りにも暑くて何か飲もうと思ってこの自販機に向かったんでしょ?」
「一度目はすぐにアイスコーヒーを購入して飲んでいたけど、二度目に自販機の前に立ったのは撮影がそろそろ終わると思って舞美ちゃんに冷たい飲み物を買おうと思ったんでしょ?」
「だけど、彼女が何が好きなのか分からなくて悩んでしまい自動販売機に告白をしたんでしょ?」
返事する間もなくマシンガンのように言葉が続く。
「はぁ…。自動販売機には恋もしていないし告白もしてないですけど?」
自動販売機に恋するってなに?自分で言っていて不思議な気持ちになってきた…。
「じゃあ、誰になら恋しているの?例えばいつも一緒に居るモデルで美人な舞美ちゃんとか?」
確かにあの人は通っている大学で見かける女子大学生や今まで知り合った女性の中ではかなりの美貌を持っている一人であることは間違い無いと思う。
俺は誰とは言わないが、自分がやっている趣味に理解があって出来ればその人も同じ趣味が好きと言いた趣味に限らず価値観が類似している人とお近づきになりたい気持ちは少し抱いているのを最近感じている。
「そ、それは。何を言っているのかよく分かりませんね」
「あ、ハハハ。その変な質問振ってくるなっいう“嫌な顔”良いね~~!!」
俺の背中を叩きながら豪快に笑う。
「でも実際のところは“舞美が昼休みの間に何の飲み物を買えば良いかな!?”と思ったんだよね?だけど自販機は別に人でもないし的確なアドバイスがもらえる訳でもないのに話しかけていたんでしょ?もしかして君、人間の友達少ない?」
ことごとく棘を刺してくるな…。
実際友達少ないのは事実なんだけどさ…。
「そうですね! 多くは無いと思います」
「そうなんだ…。実は私もなのよ~~!高校生の時の人間関係に大きく悩まされてね~。その気持ちで高い月謝を払ってまで大学に行くのは両親にも迷惑かなと思ってまずは一度社会に出て働いて居るのよ~。みんなそれぞれで悩みとかはあるものよね~!!」
あれ、この人俺が舞美さんのアシスタントマネージャーになってから初めて屋内のスタジオで撮影した時に少子高齢化の話をしていた時に大学に通っていたとか言ってなかったけ…。
どっちが本当の話なんだ…。ぶっちゃけどっちでも良いけど…。
「そうだったんですね!前回初めて建物のスタジオで撮影するってなった時も俺に話しかけてくれた際にテンション高い感じでフレンドリーに話しかけてきていたのでなんかその話を聞いて少し意外でした」
「あれはね~~。ここだけの話半分はああいうキャラを自ら作っているというか演じていてもう半分は容姿端麗で少しギャルっぽさがあるけど美顔である舞美ちゃんと高島さんが話しかけている姿を見て少し心があったまったというか…。なんと言うか」
心温まる要素なんかあったかな…。あの時…。
「はぁ~」
「舞美ちゃんが目を輝かせて話している高島さんがどういう方なのかと異性だけど話しかけてみようと思ってフレンドリーに接して見たの!なんか他の男性より誠実そうに見えたからね?ここの部分ポイント高いよ?」
「そうですかね…。もしかしたら誠実だけが売りなのかもしれませんね」
「わたし、そんなこと言っていないよ~~。まだ、私は見つけられていないけどきっと君には良いところあると思うよ~!君は私が言うのは変かもしれないけどもっと自分に自信を持った方が良いね!」
「それは俺自身も感じています~」
おれは硬貨を入れてどれを舞美さんの昼休み用の飲み物として買おうか考える。
そして選ぼうと思った時にポチっと押されてしまって選択された飲み物が勢いよく下に転がる音がする。
「若い君にアドバイスした料金としてこの炭酸!ごちそうになるわね!!」
なんか嬉しそうな顔をして転がった炭酸を拾い上げ蓋を開けて飲み始める。
若いと言ってもあなたとそんなに歳は変わらないと思いますけど…。
プシュッっと炭酸ガスが抜ける音が心地よい。
「まぁ、大した額ではないですし舞美さんがいつも撮影仕事の方でお世話になっているのとさっき仕事の方を見て女性がやるのには重労働だと感じたので別に良いですよ~!!」
「そっかあ。君は器が大きくて良い物件として将来高く取引されるようになるかもね!?」
「何言ってるか全然わからないんですけど」
俺は再び硬貨を口に入れて無難に冷たいお茶の部分を指で追う。
「あ、言い忘れていたけど、暑い中撮影を頑張った舞美ちゃんにはスポーツドリンクが良いんじゃない?嫌いな人は居ないだろうし!水分も塩分も上手に摂取できるしね!!」
「わ、わかりました。」
言われるがままそのアドバイスに従ってスポドリを表示するボタンを押すとすぐに出てきた。
「あと、もう1つ言い忘れていたけど、きっと舞美ちゃん、君に恋してい…。」
俺の耳元で何かを言う声が聞こえる。
「居た居た~~。先輩こんなところで何しているんですか~~~。探しましたよ~~!アシスタントマネージャーの待機室には居ないですし~~。心配しましたよ~!」
このフレンドリーカメラウーマンの声に被る様に舞美さんの声が聞こえる。
「悪い!暑い撮影の中で舞美さんに何を飲んでもらうのが一番なのかを考えていたら舞美さんが好きな飲み物を知らないなと感じて自販機の前で考えごとをしてた…。」
「わ、私の健康面を考えてくれていたのはとてもアシスタントマネージャーとしてありがたい話ですけど、どこかに行くドッキリはやめてくださいよ~。心臓に悪いです!バツとして今度なんかおごってくださいよ~!」
「給料が入ったらな」
「ええ~、急に現実的な話を突きつけないでくださいよ~。心配した代わりに今日の帰りになんかおごってくださいよ~」
「今日は無理だから、さっき舞美さんが俺に教えて欲しい事を言うので勘弁してくれ!」
俺は舞美さんの顔を見ながら願う。
「わ、わかりました。あんまり顔を見ないでください。恥ずかしいですから。いま周りに誰も居ないのでここで教えてください!」
「うん、分かった。俺が好きな服装の色は…暖色系の色だな」
「な、なるほど、せ、先輩は派手な色よりも落ち着いた色見やデザインの方が好きなんですね?」
舞美さんよ?落ち着け!そしてゆっくり咀嚼しろ!
「まぁ。そうだな。あんまり派手なのは正直言うと苦手…かな」
「その情報が聞けたので今回のおごりの件は特別に不問にしまっしゅ」
「お前、今、噛んだな!!少し可愛さがあるな!!ハハハ~。」
思わず笑っちゃた。
「もう~~!!からかわないでくださいよ!ただ噛んでしまっただけですから!」
「はいはい。昼休みも限られているから待機室戻ろうぜ~!」
「うん~~。先輩のば~か~」
背中を叩きながら俺に言う舞美さんを見ながらさっきあの自販機の間で話していたカメラ操作の女性は舞美が会話に入ってきた瞬間に最後に何を言おうとしていたのか気になってしょうがない。




