第122項「屋外での撮影①」
いつもよりは短い
「じゃあ、舞美ちゃ~ん。撮影行きま~すよ~~!!」
「はい。今日もよろしくお願いしま~す」
前回は、屋内にあるスタジオで夏に着たい服特集で撮影を行ったが、今回は8月号の特集として組まれる“この夏に、気になっているあの人との2度目のデートで着たい服特集”という名前で発売されるらしい。
その撮影を実施するために俺は舞美さんの読モの撮影に同行する為に海が良く見える海浜公園みたいな場所に来ていた。
梅雨に時期に入ってここ何週間かは日差しを見る事は全くなく曇天で雨がずっと続いていたが、久しぶりに朝から晴れている日が撮影日と重なり良かったと思う。
俺は、他の読モのアシスタントマネージャーのように待機スペースで被写体に写る読モの人を見る。
今は、1人だけの単体での撮影を行っていて、このあと男性も合わせてデートしている感を醸し出す感じで撮っていく感じらしい。
「良いよ~~。舞美ちゃん。今日も可愛く決まっているよ~~」
この声を発しているカメラ機器を操作している人の方を見ると前回建物のスタジオで舞美さんを撮影していた自分と同じくらいの年齢の変なフレンドリー女性の姿が見える。
かなり絡まれたので、今回の撮影では事務的なこと以外は極力話しかけられないようにしたいという気持ちが強い。
「舞美ちゃんの撮影は一旦終了ね~~。しばらく休んでいて良いよ。この後男性も合流してデートしている感を収めたいからまた時間になったら呼ぶから~~」
どうやら、舞美さんの撮影は一区切りついたみたいだ。
舞美さんがアシスタントマネージャーがいる待機スペースに向かって普段より少しテンション高めでこちらに向かってくる。
同じ場所に居た他の読モアシスタントマネージャーであると思われる男性も女性も舞美さんの姿に視線を注いでいるのがなんとなく分かる。
舞美さん本人はあまりそういう視線に気が付いていないようだが、本当は気づいているのかもしれない。
「高島さ~ん!!他の美人な女性の読モの人ばかり見ていないで私だけを見てくださいよ?それで前回の建物の中で撮影した時とは服のデザインは違いますけど色とかは別なのですが、似合っていますか?」
「う~ん。こういう外での撮影がすぐに来るとは想像していなかったけど、読モの人ってこうやって外で撮影しているのがまず分かった」
正直ここだけの話。
カメラ操作とかは力がある男性がやっているイメージを持っていたから、前回も思ったけど女性の読モだったら女性のカメラ担当者や女性の服のコーディネーターの人が付いているやるとは思っていなかった。
「まぁ、もちろん、そういう感想を持つのは自然なことなんでしょうけど、そういう回答は求めていないですよ。今日来ている服装が私に似合っているのか、そうではないのか、可愛いのか可愛くないのかとか、そういう感想を言ってほしいんですよ?分かりますか?高島さん!!」
口を膨らませて少し拗ねて感想を求めている姿を周りの男性のアシスタントマネージャーさんは少し鼻の先を伸ばして見ているのが分かってしまう。
舞美さんってはるなさんが前に行っていた通り他の女性の読モの人と比べてみるともちろんその人達も美人で可愛いのだが、舞美さんほどの破壊力と言うものは客観的に俯瞰して見ても足りない気もする。
「そうだな。着ている赤っぽい服も似合っていると思うぞ!」
「でもそれは高島さんがよく言う俯瞰して見た時の話ですよね?高島さん自身は私の今の服装を見てこの色では無くて別の色の方が好みとか無いんですか?」
「え、でも今回の撮影ってあくまで特集として撮影している訳じゃん?仮に俺が好みの柄とか色とか言う利点は今この場である?」
「う~ん。この特集においては既に用意されている服をいかにその条件に合うように着こなすことが私達の仕事ではありますけど、でも先輩がどういう好みなのかは正直言うと気になります」
めっちゃ上目づかいで聞いてくる。
俺の好みを知ってなんか利益になるのか?
俺は黙って考える。
「仕事では無くて個人としてプライベートとして先輩が女性に求める服装の色とか柄とか教えて欲しいです!!」
言わないでこの場を切り抜けようと思ったけど、それもかなわなそうなので提案をする。
「分かった。言う。だけど今は言わない。この時間帯の仕事にしっかり集中して全力で相手に求められている事に取り組めていたなと俺が判断出来たら仕事が終わった帰りとかに言っても良い」
「わ、分かりました。今この場でさっと言ってもらえないは少し残念ですけど、自分の仕事時間の休憩とはいえ完全に今日の内容が終わったわけでもなく個人的なことを聞くのも今先輩に言われて納得したので帰りに教えてください!」
「物分かりが早くて助かる。たぶんそろそろ舞美さんも呼ばれるんじゃない?」
「舞美ちゃん。次撮影入るよ~~!」
外からスタッフさんの声が聞こえる。
「じゃあ、行ってきます!先輩、さっきの約束絶対忘れないでくださいよ?忘れたりとぼけたりしたらただでは済まされませんからね?」
なんか危険な空気を感じたが、送り出す。
「おう!約束は絶対破らないと自負しているからな。次の撮影もがんばれよ?」
そういって俺は舞美さんの後ろ姿を見ながら声をかけた。
それにしてもこのアシスタントマネージャー待機室暑いなぁと思って周囲を見渡したら、他の男女のアシスタントマネージャーが拍手を俺に送っていてびっくりした。
俺なんか拍手に値することした?




