第119項「幼馴染の部屋であとから柚乃果さんも来て3人で話す」
ごめんなさい。久しぶりの更新です。
「お邪魔しま~す。丈瑠~。仕事終わった~。入るぞ~?」
俺は久しぶりに幼馴染家の玄関をくぐる。
「おう!高校時代まではけっこうトシもこの家や俺の部屋に出入りして居たけど、大学に入ってからそんなことが無かったから同じ空間に居るのが久しぶりに感じるな?」
階段をちょうど降りてやってきた丈瑠の声が聞こえる。
「そうだよな?なんだかんだ言って小学校時代とか毎日どっちかの自分の部屋で入り浸って居たし中学時代も部活以外の試験休みの時とかは一緒に勉強したりしたもんな?」
階段を上がり2階の丈瑠の部屋に入る。
「それなぁ。俺が全然勉強が出来なくてさ、いっつも丈瑠に勉強とか教えてもらって居た気がする。でも普通に遊んだ事もあったしなぁ。高校時代とか部活とかお互い入っていなかったから帰宅してずっと入り浸って居た時間が長いからな、この部屋の雰囲気も全く変わっていないな?」
俺は机周りが比較的に整理整頓されていて床の埃とかもなく男子にしては清潔感ある部屋を見渡す。
「ああ、この部屋の模様とかは変えていないよ。変わったのは俺らが高校生から大学生になってもう来年には卒業してしまう事だな?一言で表すなら歳をとったということだな。トシだけに?」
「丈瑠。それ面白いと思っている訳では無いよな?まさかと思うけど…。」
余りにもつまらなすぎて笑えない。
「そんな事は思っていないさ。冗談で言っただけだ。ただ、大学に入ってトシが大学近くで一人暮らしをするようになってから一緒に登下校する事は無くなって週に1度くらいしか会わなくなり少し寂しさを感じていたけど、こうやって仕事の方で実家の方に来てくれて俺らが過ごしていたこの場所でかつてのように話せるのはやっぱ良いもんだな?」
丈瑠が寂しさを感じていたのは別に意外では無かった。
ずっと一緒にこれからの人生を生きて行けるとも限らないのでもう少し俺が離れてしまっても大丈夫なようにしてほしいという気持ちも一瞬持ったが、社会に出ても結局住む家とか近所になるような運命になりそうな気もする。
それだけ長く一緒に居る時間も長く妹の聖奈よりも過ごしていた時間に関しては多い。
「そうだな。大学生になってからはほんのたまに会うくらいだもんな。それで、今日はなんで俺を仕事終わりに呼んだんだ?」
「トシがあの建物近くに向かって歩いていく姿が目に入って急いで階段を降りて玄関を開けたらトシがちょうど隣のビルの入り口に入っていくのが見えたら声をかけたんだ。」
わざわざ自分の部屋の窓から俺を見つけて声をかけるために階段を降りてまで俺に会いに来るとかどんだけ幼馴染である俺の事が好きなんだよ?
その好きな気持ちはもちろん嬉しいけどさ、宮なんとかさんとかの恋人にもっと熱い物は注げば良い気がするのに…。
「…。ていうのは今考えた理由で本当は俺に何か聞きたかったから声をかけたんじゃないの?」
「そ、そんなことないよ…。」
「バレバレだよ?丈瑠がウソをつくときは基本的に話す時に落ち着きを失い言葉を話す際にたどたどしくなりそして左手を首に当てるからなぁ?ばれないとでも思ったか?」
「ふんっ…。さすがだなぁ。俺についてどんなことも知っている奴だけあるな?」
「当たり前だ。俺だって18年間もお前と幼馴染やっているからな?高久丈瑠検定とかあったらほぼ100%で合格できる自信あるからな?余程変な問題で無ければ全問正解は間違いないだろうな?」
「まぁ。それに関してはお互い様だ。今回俺の部屋に来てもらったのはさっき玄関から声をかけた時に少しだけどトシの顔が疲れ気味に見えたからな?もしかして仕事のし過ぎで全く休めていないのかと思って。少し心配してな?」
「おれ、そんな顔をしていたかな?確かに最近はあんまり休めていないのは事実だけどな。」
「前にトシが休んだ日を当ててやろうか?華南さんと”にこたま”デートした時だろ?それ以降一度も休んでいないだろ?」
「まぁな。色々仕事が多くてな。好きでやっているからしょうがないし。この業界はまとまった休みが取れないのが当たり前な職種だから。あ、それとこの間のにこたまの奴は別にデートでは無いからな?ただのお出かけだ。」
「あ、そうだったね~。お出かけね。話変わるけどさ、前に大学で朝、登校の時に華南さんと舞美さんがトシの腕に絡みついていたけど、華南さんとはどうなの?何か進展した?」
「う~ん。丈瑠が思っているような進展は特に無いと思うけど?」
「そっか~。今は仕事とかで忙しい時期かもしれないけど夏休みとかに向けて早めにスケジュール調整してデートとか2回くらい行けたら彼女も喜ぶんじゃない?たぶん華南さん。絶対トシの事…。」
「どうだろうね?まぁ。前に出掛けた時に次も予定が合う日があったらどこかに行こうという話をしたから出掛けられたら良いのかなとは思っている。華南さんも仕事の方が大変そうだからなぁ。行き詰って居る時を見つけたら誘うかとは考えているかな。」
「意外と真剣に考えていて俺は嬉しいよ?」
「それで、あの俺らが中学・高校時代に同じ学校だった小山柚乃果って中学時代は一緒のクラスだった事とか本人と話して思い出したけどさ高校も一緒だったっけ?」
「え~~?トシ覚えてないの?俺らと一緒の高校だったよ?彼女は普通科だから同じクラスになることは無かったけどさ?」
「全然覚えてないけど?」
「おいおい?って言いたいけどトシと柚乃果ってそこまですごい仲が良かった訳でもなかったもんな?中学2年生、3年生とクラス同じだったはずなのにな?」
「丈瑠も同じクラスだっただろ?それに俺とは3年間同じだったろ?」お前みたいなコミュ力お化けみたいな奴はすぐに親しくなれるんだろうけどさ?俺みたいな奴がクラスが仮に2年間も同じだった女子でも必ずしも仲が良くなるとは限らないんだよ?」
「ほう~~。そういうものなのか?でもさすがに同じ高校に居る事は分かっていたよね?」
「さっき話したときに本人が俺と同じ高校に通っていたことを喋ってた時に初めて丈瑠以外に同じ中学からあの高校に進んだ人を知った…。」
「それは聞き捨てならないわね?」
丈瑠以外の女性の声が聞こえたので2人してどこから声が聞こえたのか2人で見渡す。
部屋の扉の方からいまちょうど話題に上がっていた小山柚乃果が仁王立ちしていた。
「中学3年生の時にどこの高校に公立受験するかという話をしたでしょ?覚えていないとは言わせないわよ?」
「うわ?どく…。間違えた。小山か…。」
「いま私の事毒娘と言いそうになったでしょ?もうばれているのよ?あんたが一人一人に名前ではなくあだ名でそう呼んでいる事は知っているんだからね?」
「え、そうなの?柚乃果?」
「そうよ。丈瑠は高島と18年以上も幼馴染なのにそんなことも知らなかったの?たぶん高島俊明検定とかあったら即不合格になるくらいの基本問題だよ?まぁ、合格したところでこの鈍感男子の事を知ったところで大した称号を得たとしても私は必要ないけどね?」
「そうなのか?トシ?」
「どうだろうね?それについてはノーコメントで。因みに丈瑠は普通に良い奴だから良い人にはそんな変なコードネームみたいなものはつけていないけどな?」
「じゃあ私は悪い人であんたにとって敵になるからコードネームで呼んでいるの?」
「うん。そうだけど?だって中学時代からさっき会議が始まる時のようにめっちゃ俺に毒を吐いていたじゃん?あの時に極力この人と距離を取ろうと思ったんだもん?」
「トシ。余り好きではないのは俺には分からんけどそこまで直接柚乃果の本人の前で言う必要も無かったんじゃないのか?」
「幼馴染と話している時くらいは本音をこぼすくらい許して欲しかったんだけどな?」
「まぁ。確かに日頃の弱音を漏らすくらいは別に構わないけどさ、内容がな…。」
「そうだ?高島に1つ聞きたかったんだけどさ?新島先生。いや、ここでは華南ちゃんとはどういう関係なの?もしかして恋人?」
「トシが話をするのが面倒という顔をしているから代理で俺が説明しようか?」
うんと頷く俺。
「トシの家は代々ボディーガードを専門とした会社を経営していて彼も今は大学生をやりながらその仕事の方も両立していて華南さんが作家として活動する際の家から仕事までの往復や身辺周りなどの世話を仕事して行っているんだよね?いくらこれが仕事だとしても俺も最初聞いた時はほぼ恋人みたいなものだなとは俺も思ったんだけどな?」
「へぇ。高島の家ってボディーガードをやっているんだ?だから高校時代に校門近くで丈瑠が不良に絡まれて居る所を助けてその相手を壊滅させたあの瞬間を見て超人並みの強さを感じたのは親も関係したわけなのね?今になって高島の恐ろしさを納得したよ?」
「そういえばそんなことあったよな?本当、あの時に空手の試合以外でのトシの強さを間近で見て改めてトシを相手に回すと悲惨な事になる事が学校中に浸透したもんな?」
授業が終わって一緒に帰ろうと思っていた時に複数の不良によって巻き込まれた奴ね…。
「丈瑠がぼんやり歩いて居なければあの力を使うことも無かったのになぁ…。まぁ、特に大きな怪我とか無くて良かったけどさぁ?」
「本当、さっき高島とは話したけどあの時にいつも丈瑠が告白される度についていく番犬のイメージが学校全体を通して少し改善されるようになったのよね?」
また掘り出さなくて良いから。その番犬という呼び方。
「そうだったね?番犬という言い方を誰がつけたのか分からないけど俺の横にいつも居るトシの事をそう呼ぶ人けっこう多かったよね?誰が名付け親なんだろ?」
丈瑠の目の前にいるその毒娘がつけたんじゃないのかな俺は思っている。
「あ、そうだ。俺健さんにちょっと呼ばれているからそろそろ青の仕事部屋に戻るな?」
「おう。そうか。また、ゆっくり話そうぜ?しっかりあれだしておけよ?」
「分かっている?じゃあな?丈瑠?」
「私には何か言う事無いの?」
「あ、ごめん。ど、間違えた小山?」
俺はわざと間違えて急いで階段を駆け下りて「お邪魔しました~。」と一言申して玄関の扉を開けると空はもう夕陽が見えなくなりつつあった。




