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第115項「健さんのアニメ制作所に赴く①」

読んでくれてありがとうございます。

「ご乗車ありがとうございました。おおみや~、おおみやです。車内にお忘れ物なさいませんようにご注意ください。11番線に停車中の列車は…」


北関東…いや、東日本の玄関口と言っても過言ではない大宮駅に俺と華南さんはやってきた。


電車の到着と共に我々の頭上では多くの放送が飛び交う。

ホームの多さと列車の本数が多い駅であるので忙しく列車が入っては出ての繰り返し作業だ。


この駅は俺が高校時代に登下校の際に毎日利用していた東日本内でも屈指の大きな駅として挙げられるだろう。


「やっと着きましたね?大宮駅…。」

華南さんはホームに足をつけてそう言った。


「ああ、そうだな。途中で浦和過ぎて信号トラブルとかで少し遅れての到着だと分かってさと美さんとの集合時間に間にあうか心配だったが、すぐに運転再開して良かったぜ。」


「遅れてしまうと申し訳ないですもんね?それで、さと美さんとは何時にまめの木に集合なんでしたっけ?先輩?」


豆の木というのは大宮駅の中央コンコースの所にある多くの埼玉県人なら知っている大宮駅を利用して集合場所として使われているシンボルみたいなものである。


東京駅での銀の鈴前や渋谷駅近くのハチ公前みたいな感じを思い浮かべてくれば分かるだろう。


「ああ。そうだ。華南さんよ?まめの木って実は正式名称があるって知っているか?」


「え、そうなんですか?まめの木は愛称という訳ですか?」


「そうだよ。“まめの木”の正式名称はな、『行きかう・線』というのが本当の名前なんだよ?」


「そうなんですか?『行きかう・線』ってどういう意味なんですか?」


「“交通機関や人間の相互関係と、無限の発展を象徴したモニュメント”である事が木の根元にあるプレートのところに書いてあるんだよ。」


「へぇ~。でもその情報必要でしたか?」


「う~ん、今考えるとぶっちゃけいうとどうでも良かったかもしれない…。ごめん。」


「いや、そんなに落ちこまなくても大丈夫ですよ?先輩がそれだけこの街を駅が好きであることが話している時の顔の表情を見て分かったので。ちょっと普段と違う先輩の姿を見ることが出来たので私は嬉しかったですよ?」


「本当、良い奴だな?」


「はい。」

エスカレーターを上がりながら一つ下の段にいる華南さんの顔が眩しい。


「それで、話を戻すが、15:30に集合だって昨日貰ったメールには書いてあったからギリギリ間に合うな…。」


「先週よりは早めの集合時刻の設定でしたね?」


華南さんは半袖まではいかないが少し短めの袖の服を着ていて今日も美しさを出している。


「そうだよなぁ。仕事の内容としてはアニメ化に向けての話し合いを先週同様進めていくんだって?話し合いの際に華南さんは既に知っている人だと思うけど、華南さんが書いている作品の絵を担当してくださっている小山ゆのかさんって言う人も同席するんだって。」


「え、本当?久しぶりにゆのさんに会えるのは嬉しい~。楽しみだわ~~。」


「ゆのさんという人はどういう人なの?」


「あの人は、私より1つ歳が上でさいたま市の大宮に住んでいる女性イラストレータさんだよ?」


「え、俺と同い年なのかぁ…。」


「あ、そうですね。ゆのさんは私が初めて北海道以外で知り合った年齢も近くて仲良くさせてもらっている友人なんだけど、見た目はすごく大人っぽい女性なんだよ?でも話してみるとすごいアニメとか漫画、ラノベとか詳しくてさ?たぶん先輩とも絶対話の馬が合うと思いますよ?」

「ほう~。その話を聞いたら少し楽しみになってきたなぁ。それに大宮周辺に住んでいるというところもすごい親近感湧くなぁ…。」


俺らは駅の中央改札を抜けて豆の木の周りにいる人だかりを見ると大きく手を振っている女性が居た。


「さと美さん、あそこに居ますね? 先輩…。」


「そうだな。あの人近くで見るとそんなに目立つ人では無いのに離れて見ると服装とか両手で振る所とか良い大人が何をやっているんだろ?」


「見ているこっちが恥ずかしくなってしまいますよね…。」


「ああ。そうだな…。」

俺らは、さと美さんが立っているところまで近づく。


「お疲れ様~。ごめんね。集合時刻が先週よりも早くて?」


「いえいえ、大丈夫ですよ?それで健さんのアニメ制作会社の事務所ってどこにあるんですか?」


「トシ君も知っている場所だよ?」


「俺が知っている場所ってむしろこのあたりだと色々選択肢に挙がるので逆に難しい問題ですね。」


「じゃぁ。電車乗るよ?」


「え、大宮駅の近くにあるんじゃないんですか?」


「まさか、そんなわけない無いじゃない?」


「おいおい、まさかあそこですか?」


「さぁ。それは行ってからのお楽しみだよ?」

さと美さんは楽しそうに笑って答える。


「高島さんはもう見当がついているんですか?」


「う~ん。予想していた事が当たっているか分からないけど、ここから電車に乗り換えるという事はもう行く先はあそこしかないなと推測している段階だけどね…。」


「なるほど、私には良く分からないですけど、お2人の後ろについて行きますね?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

30分後…。


俺は自分の実家の隣にある丈瑠の家の前に来ていた。


まさか、健さんのアニメ制作所ってここだったのか…。


「ここって高島さんの両親が経営している株式会社ストロングガードの横の建物ですよね?」


「そうだよ。さと美さん、まさか、丈瑠の家の横にある2階建ての別棟が仕事部屋ですか?」


「さすがだね?いつからこの場所に来るって気づいたの?」


「最初、俺らが大宮駅の改札を降りてからすぐに電車に乗ったので、その時点で健さんのアニメ制作所が大宮にあるのではなくて俺らの実家の所にあるのではないのかと推測した訳です。」


「さすが、ばりばりのボディーガードのスペシャリストだわね?そして予測能力が昔から長けているわよね?」


「私の負けだわ。そうここが健さんの仕事をする場所なのよ?」


「先輩、よく当てられましたね? すごいです!」


「まぁ、勘だったけど自分が馴染みがある場所だから俺は少し安心したよ。」


「さぁ。中に入って?」


「はい。お邪魔しま~す。」


すると仕事の方の建物ではなく暮らしている家の方の扉が開いた。


「おお、俊明じゃん? どしたの?」


この声は普段は大学でしか会う事が無い丈瑠の声であろう。


「仕事で健さんの仕事部屋に用があって来たんだよ?」


「なるほどなぁ~。これから毎回仕事の時はこっちに来るのか?」


「う~ん。毎週来るかどうか分からないけど、月に何回かは来ることになると思う。」


「そっか。大学以外でトシと話せるのは嬉しいわ。」


俺と話せてそんなに嬉しいか?


「おう。そうだな…。」


「あ、華南さん。ご無沙汰~。」


そうだった。丈瑠は華南さんとも親しい間柄なんだった。


「はい。丈瑠さんも先週の英語の授業以来ですね?」


「そうだな。トシよ?もしできたらで良いんだけどさ、あとで時間とかあったりするか?」


「分からんな。」


「そっか。仕事終わったら俺の部屋に来てくれよ?」


「分かった。時間があれば伺うわ。」


「それと親父の仕事部屋に俺たちの中学校・高校時代知り合いだった奴が居るからあとで話しかけてみなって?」


「お、おう…。誰だか分からんけど、了解した。」


俺らの中・高の時の知り合いって誰の事だ…?


こうして俺らは健さんの仕事部屋にお邪魔した。





まめの木の正式名称は私自身も最近知りました。


今後もちょっとずつ埼玉小ネタ挟むかもしれません。

 


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