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第114項「雨に濡られながら帰宅」

大学入学共通テストを受験した高校3年生と浪人生の方お疲れ様でした。


勉強や仕事の合間にでも読んでみてください。

「じゃぁ。今日の仕事はこれで終わりだからね~。お疲れ様~。じゃあ~ね。舞美ちゃん。高島さん。」


舞美さんを担当したカメラを撮影する20代後半の女性はすごいニコニコした笑顔で、しかも手まで振って俺らをエントランスホールまで送ってくれた。


「高島さん。あの女性の手に早くも墜落しましたね…。」


「舞美さん。なかなか言い方酷いなぁ。墜落という表現はどうなんだろ。」


「じゃぁ”高島さん沈没”ですか?」


「なんだ、その日本沈没みたいな言い方!意地でも敵の手に墜ちたみたいな言い方をしたいんだな。」


「だって。私が仕事をしている時に先輩があんな美人な大人の女性に話しかけられているのを見て少し嫉妬しましたもん。高島さんがまた美人な人を惹きつけているって思って。」


嫉妬していないで仕事に集中しろ!


引き付けるって俺は台風の目かよ。別に何も吸収していないし。

むしろあの女性に俺のエネルギーが吸い込まれた気さえある。


「ただ舞美さんが撮影されている時や次の服に着替えている時にあの人に絡まれただけだから…。誤解するなよ?」


実際舞美さんがなかなか更衣室から撮影場所に戻ってこないので、あの女性にずっと話しかけられていた。


待っている間に彼女との会話の際に向こうが10話したら俺は時々相槌を打つくらいで1返すくらいのペースでほぼ一方的に彼女の方が話していた気がした。


今の20代の女性ってあんなに男性に対して積極的に話しかけてくるものだとは思わなかった…。


でも舞美さんや華南さんだって20代か…。


うん。人によるな。


「でも私としてはあの会話をうっすら聞いていくつか事情聴取をしたいんですけど?大きな問題なので?良いですか?」


「なんだ?俺が舞美さんに伝える事は次の仕事についての連絡以外伝える事は全く無い。」


「じゃぁ、その連絡事項から先に聞きましょう。」


自分の聞きたい事から話始めるのかと思ったからこっちの話から聞こうとするその姿勢は褒めよう。


「次の仕事は本来なら土曜日なんだが、向こうさんの事情で日曜日に変更になったから覚えておいてくれ。」


「そうなんですね…。日程変更がすぐに入るとは思いませんでした。メモしておきますね。」


「俺もだ。その日は9:00まで寝ていたかったのだが、しょうがない。次の仕事の内容は8月号として発売される”夏に気になっているあの人との2度目のデートではこれを着たい”という記事らしいから、都内にあるいくつかの公園で紹介する服を来て外で撮影だそうだ。」


「おおお!!それは楽しみですね。しかもデートを意識して撮影を行うなんてドキドキしますね。」


「そうか?」

男の俺には分からんなぁ。


「ええ。楽しみですね。今日は屋内で撮影をやってみて普通に屋内だけでも充分に楽しかったですけど更に外でも撮影できる機会が思っていたよりもすぐに来るとは思いませんでした。」


「そうだな。俺も意外と早い展開で少し驚いている。まぁそれだけ、舞美さんがあの会社の人達にも少しずつではあるかもしれないが認知されている事なのかなと思う。」


「当然ですよ。情報共有ありがとうございました。じゃあ、私の話の本題に入っても良いですか?」


「な、なんだ…。」


すると、空の上から滴が俺の手にこぼれ落ちてきた。


「え、今日って雨降るなんて言っていましたっけ?」


「昨日の夜に今日の仕事の内容を伝えた際に雨が午後降るかもしれないから、折り畳み傘を携帯するのを忘れるなよ?と言ったはずだが…?」


「言われてないですけど…?アシスタントマネージャー失格ですよ?」


「一応伝えたんだけどなぁ。それに一度言っても絶対忘れると思ってメールの方にも昨日の晩に送ったんだけどな?」


「本当ですか?今確認してみます…。あ…。ホントだ…。すいません。私が把握しきれていなかったのが原因なので高島さんは何も悪く無いです。さっきの発言は失言でした。すいません。」


「まぁ。分かってくれれば別に良いけどさ。俺は舞美さんがやっている読モの仕事とか服装に関してとか余り分からないから的確なアドバイスとかは申し訳ないが出来ないけど、事務的な事とか精神面や健康面とかに気を付けてできるだけ支えて行くつもりではある。でも、いつだって舞美さんの事を見れる訳では無いから1日1回はメールの確認はしてほしい。」


「はい。すいません。それはごめんなさい。以後気を付けます。」


「よろしい。それで、バックの中には折り畳み傘とか入っていないのか?」


「あ、はい。高島さんは持っているのですか?バックとか持っていなくて手ぶらなのに?」


「俺の上着の内ポケットの中に折り畳み傘は入っている?ほら、さっきより更に雨足が強くなってきたぞ?早く入れよ?」


「え、でも高島さんが濡れてしまいますよ?」


「おまえなぁ。俺が何を言いたいか分からないのか?舞美さんはまだ仕事に関してはスタート地点に立ったばかりだけどなこんな時に雨に濡れて風邪を引きましたじゃ話にならんだろ?自分の身体を冷やす事は絶対してはならないことだ?それに女の子なんだし?」


「そ、そうですね…。高島さんが私の事を思ってそこまで言ってくれるとは思いませんでした。じゃあ、先輩の傘にお邪魔して良いですか?」


「ああ。これが仕事だからな?舞美さんが体調を崩してしまったら俺の仕事だけでなく舞美さんの仕事も無くなってしまうだろ?」


「せっかく少しアシスタントマネージャーに言われた一言に感動していたのに急に現実に戻さないでくださいよ?」


「何を言っているんだ?現実を見てその中でどう自分を磨くかが勝負だろ?」


「そうですね。先輩の言う通りですね?失礼します。」


「ああ。」


今思ったけどさ、一つの傘に男女2人が密着している状態の事ってなんていうんだっけ…。

俺はこれはあくまで仕事の一環であると自分にそう言い聞かせて歩き始める。


「ねぇ?先輩?男女2人が雨が降る空の日に一つの傘の下で天からの水滴を割けて歩く状態の事をなんていうんでしたっけ?私思い出せないんですよ?」


この人の上にもある傘とって雨で髪とか濡らして良いかな?

俺が今思った事についてわざわざ口に出してこの話題について触れる必要ある?


「知らないな。その状態の事を現す言葉があるなんて俺は知らないな…。」


「先輩、知らないんですか?こういうのは恋人同士一つの狭い熱い空間に一緒になって歩くことを相合傘って言うんですよ?」


「ふ~ん。」


「先輩、なんかそっけないですね?こんな美人で読モの後輩と歩いていて何か感じる事無いんですか?」


「今さしている傘が思ったよりも小さいくて2人とも肩が濡れている感じだから帰ったらすぐにシャワーを浴びてさっぱりした方がよいんじゃね?とは思った。」


「先輩、それも大事ですけど、それ以外に思う事無いんですか?」


無くね?コメンテーターじゃないんだから俺にこれ以上求めるなよ?


「もっと後輩の濡れている髪の毛とか服とか見て思う事かないんですか?本当に男子大学生何ですか?」


「もうあと半年近くで卒業だけどな…。あと、舞美さん、左側の肩濡れているみたいだから、はい。これ。タオル。傘は俺が持つから空いた手で少しでも拭いた方が良いよ?」


「あ、ありがとうございました。先輩って本当女の子の気持ちに全く気づかない鈍感草食系男子(ボーイ)ですね?こりゃ多くの女性を泣かせてあとで痛い目を見ても知りませんよ?」


「俺にそんな事件性が高いことは天地がひっくり返ってもこの先起こらないから、その心配は無い。」


「そうですかね?知りませんよ?それで、傘を差す前に聞こうと思ったんですけど、先輩ってさっきカメラ操作をしてくれた若い女性に”君っていま好きな人とか居るの?”って聞かれた際にすぐには答えず一瞬間があったような返事をしていたように見えたんですけど、どうなんですか?」


もうその話良くない?


「もう追及されないで済むと思ったのにとか感じましたか?甘いですね。女の子はみんな人の恋愛には興味を持ってしまうものなんですよ?」


「ふ~ん。」


めんどくさい生き物だな…。


「それで気になっているのはズバリ誰ですか?」


「別にそんな人いないわ。」


「本当かなぁ?高島さんの周りにいる女性って私も含めて美人な人多いですよね?」


そこ自分を美人って言うところが無駄にプライド高いよな…。


「まず、華南と比べたら私の方が美人だけど、あとは先輩の妹さんであるえ~と名前はちょっと出てこないですけど…。本当に先輩の妹とは思えないくらいの可愛さですよね?」


出て来なくて良いよ。聖奈な。覚えておけよ?

俺の周りに居る人って俺と聖奈が姉妹であることに驚く人多いよな…。

俺も兄妹で似ているところがほぼ無いのは分かっているけどさ…。


「それに大学の中だったら、先輩の唯一の友人である高久丈瑠の恋人である宮山彩梨さんとか、先輩ってハーレムでも構築する予定なんですか?」


宮山は別に仲良くないし。


それに舞美さんNGワードを普通に歩いている時に言い始めたし。

この人がメディア媒体に載るモデルだと知っているからなおさら微妙な気持ちになる。


「構築する予定も無いし、そんなことは意識していないわ。」


「じゃあ。初めての高島さんの恋人として私を買って恋人になるとかどうですか?」


「え?これから読モの仕事を頑張っていく期待の新人の人とそういう関係になるのは色々まずいと思うので、遠慮させていただくわ。」


「まぁ。冗談ですよ。私も高島さんの立場だったらそんなことを言われたら引きますからね?でも高島さんが求める恋人にしても良いという一覧表には入れておいてくださいよ?」


「そんなことを考える余裕は余りないし仕事に集中するのに必死だからなぁ。」


「先輩らしい仕事人間が言う模範的な回答ですね…。もう先輩にそういう話をただ振ってもしょうがないのでこれからは外堀から攻めていくことにしますね?」


「何言っているのか分からんな。早く帰ろうぜ。さっきより雨が強くなってきているし…。」


「はいはい。そうですね。」


俺らは梅雨の始まりを感じながら新宿駅の改札口を目指した。







相合傘は華南&俊明でも後でやるので華南さんの方が好きな方はしばらくお待ちください。

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