第113項「舞美さんを被写体として収める女性がかなりフレンドリー」
ラブコメ感が出ているのかがとても心配
「はい!撮影行きま~す。舞美ちゃん。足元にあるばみってある印の所に立ち姿で撮り始めるよ~?」
「はい。よろしくお願いします」
舞美さんはほぼ同世代に近い20代中盤くらいの女性カメラ担当者に指示されながらそれに耳を傾けて言われたテープの場所に立つ。
いま舞美さんが着ている服装はこれから本格的に夏を迎える7月から8月の暑い日が続く際に男子大学生とデートに出掛ける際の服のコーディネートとして参考にしてほしい服を着てもらっているらしい。
「舞美ちゃん。とても似合っていて可愛いと思いませんか?」
隣でカメラ機器を操作しながらそのカメラ担当者の女性は俺に振ってきた。
「そうですね。俺には服に関してはあまり知識を持っていないので舞美さんに良いアドバイスをかける事が出来ないので、彼女の仕事面を支えていけるのか心配ですね」
「じゃあ、高島さんは何の知識ならあるんですか?やっぱ男の子だからみんな大好き性の知識の方ですか?」
何言ってるのこの人…?俺の聞き間違いか…。
「は!?」
この人なんか突然俺に話しかけてきて、ほぼ初めて話した女性のカメラスタッフの人にさらっとこんなことを聞かれるとは思わなかったし。
思わず固まっちゃったよ。
お堅い人というよりはフレンドリーな方が話しかけられる側としても良いと思うけど…
でもフレンドリーすぎだろ。
なんかびっくりというか一見常識がある様に見える若い女性なのにこんなことを仕事中に俺に振ってくるとか…。
「あれ、男子大学生が持っている知識って授業の内容よりそっちの方が点数取れるんじゃないの?」
その理論だと大学でそういう授業しか受けていないみたいに聞こえるからまじでやめて。
勉強に日々励んでいる全国の大学生にまず謝ろうか…?
いまここで謝れば代表して俺が許すからさ。
「いや、どうなんですかね…?」
とりあえず触れたくないので適当にスルーする。
「え、だって、私が大学時代の周りにいた男性とかそういう話しかしてなかったよ?」
自慢げに語るな。
あなたの大学生時代に周りに居た人がだいぶ変だっただけなのでは。
そして俺に話しかける為に口を動かすんじゃなくて、舞美さんの仕事のために次に指示出すとか無いの?
無かったらカメラの機器早く次の操作してくれ…。
「あの~。高島さんにそういう話を振っても全然乗りませんよ、彼は興味ないんですよ」
あ、遂に舞美さんがこっちに来て話し始めたよ?
さっき撮っていた服とはまた別の奴だし。
「いまの男子大学生ってそういうもんなの?あら~。みんな草食系男子ということ!?」
「まぁ…。そういう事ですよ。これからは草食の時代なんですよ」
誇らしげに語るな。
つ~かどういう時代だよ。草食の時代って…。
草食の時代を迎えるなら過去に肉食の時代があったのかもしれない…。
なんで俺勝手にそういう設定にして納得しようとしているんだろ…。
「そんな人が増えたら日本人どんどん減って超高齢社会になってしまうわよ?」
もう既にそういう社会になりつつあるだろ…。
「そうですよね~」
そこは納得するなよ。会話切り上げるようにしろよ。
てか舞美さん撮影を再開するように言う為にこのフレンドリーカメラマンの人に声をかけに来たんじゃないの?
「じゃあそんなに草食系男子が増えたら子供の数が更に減ってしまうわよ?この間新聞読んだら今年生まれた赤ちゃんは80万人を切ったって言う記事を見たのよね」
仕事中に話す内容では全く無いけど、新聞を読むことで世の中の情報を仕入れる当たりこの人が一見すると典型的な常識人である事に錯覚しそうになった自分が居た。
あぶねーあぶねー。
「私も見ました。それだけここ数年は草食系男子が増えているんですよ?だから、子供の数が増えないんじゃないですかね?」
それも1%の可能性くらいはあるかもしれないけど世の中が不景気で雇用の安定性が無くて自分の国民年金を支払うので手が一杯だから他人の分まで養うことができないと新聞だかで読んだ覚えがある。
「だったら、女性がみんな肉食系になれば良いんじゃないの?」
「確かにそれは言えますね。女性は肉食系になりましょうという法律を政府が出せば日本の少子化も止められるのかもしれませんね」
この2人いつまで日本の超少子高齢化社会について真剣に話しているの…?
もしかして俺が原因なの…?
「あの、俺が言うのは変かもしれませんが、仕事再開した方が良いと思いますが」
「ああ、そうだったね。うっかり話し込んでしまったわね…。何の話からこういう話になってしまったんだっけ?」
あんたが、男子大学生が持っている知識とはこうだと語り始めたのが根本的なスタート地点だろ。
話し始めてからそんなに時間経っていないんだから思い出してくれよ~。
「あ、再開する前に最後に高島さんに聞いても良いかなぁ?」
「な、なんですか」
「君っていま好きな人とか居るの?」
ド直球な質問を振ってきたな…。
しかもすごい顔を近づけて聞いてきたなぁ。
なに大学生の草食系男子に好きな人が居る時は顔を近づけて聞くのが最近のセオリーなの?
この肉食系女性が居れば少子高齢化も少しはましになるんじゃね?
ほぼ初対面の男子にこんなに頬の熱が感じるくらいに目との距離を近くにして聞く質問なのか…。
「え、え、い・な・いですけど…。そ、それが何か?」
「いや、舞美ちゃんと仲が良さそうだったから既に繋がっているのかなぁと思って。色んな意味で」
俺、この人苦手だわ。もう突っ込むのも嫌だ。
いちいち言葉に含みを持たせるの大人の人本当嫌いになりそう…。
「高島さ~~ん。なんでそんなに間があるんですか?あとでゆっくり事情聴取させてもらいますよ」
ほら~。こうやって家路に向かう時くらい落ち着いて帰りたいのに…。
また、事情聴取されるの?
もうこの間の華南さんと出掛けた次の日くらいに丈瑠に既にされたからもう間に合っているんだけど…。
事情聴取の内容は少し違うと思うけど…。
でも待てよ…。
俺がこう迷っているという事はもしかして自分の周りの中で顔には出していないけど俺の内面上では気になっている人が居るのか…。
「あ、舞美ちゃんの仕事は今日はこれでおしまいよ?まだ、始まったばかりだからね?最初からいきなり仕事が増えるのは身体に大きな負担になるからね?」
この会社緩いな…。
はやりの働き方改革の影響か…?
「じゃぁ舞美ちゃんは着替えてきて」
「はい。ご指導ありがとうございました~。失礼します」
舞美さんは隣にある更衣室に行くため部屋を出ていった。
「ねぇねぇ?高島さん。もっと大人女子の私と舞美ちゃんがこの部屋に戻ってくるまで話そうよ?」
ええ、もうこの人どんだけフレンドリーなの…。
自称陰キャ男子、いや自称も何もそれが事実なんだけどさ。
俺には自分より少し歳が上の女性と話すなんて緊張しかない…。
それにさっき顔を近づけて来た時なんて彼女から何か良い化粧水と香水の匂いが俺の鼻孔をくすぐったし。
この人、やっぱり苦手だわ。
事情聴取を受けるのはとても嫌だけど舞美さんよ。この人の会話を切り上げたいから早くこの部屋に戻ってきてくれと願い続けたが、結局すごい話しかけられたことは言うまでもない。
明日は月曜日で普段なら更新しないのですが、更新できそうなので公開します。
【2022年6月29日一部改訂】




