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第101項「初めて舞美と帰路に着く」

「でも自分が好きで興味あることに挑戦しようと思う気持ちは大事だと思うから、仕事面はサポートできるように頑張るよ?」


「はい。ありがとうございます。これから双子姉妹の妹の方の仕事もあって更に負担がかかってしまって大変かもしれないませんが、よろしくお願いします。」


「頑張るのはお互いさまなぁ。」


「でも高島さんに申したいことがあるんですけど、良いですか?


「なんだ?いきなりもう私の担当替えたいですとか変な質問は勘弁してくれよ?」


「は?高島さん何言っているんですか?そうじゃなくて、さっきあの部屋で契約書を書く前に少しはるなさんと話した時間あったじゃないですか?あの時の言動に1つ、いや、2つ3つほど申したいことがあるんですよ?」


「え、俺はあの時の会話で別に違和感というか疑問が生まれるような話の内容では無かったと思うけど?」


「とりあえず、私の言い分を聞いてくださいよ?」


「ええ?とっとと帰ろうぜ?」


「駅に向かって歩きながら話しますから、良いから後輩の話を聞いてくださいよ?」


「分かったよ~。聞く。」


俺はこれから舞美さんからの言葉に耳を傾けることにする。

全員の女性に当てはまるか分からないが、特に女性は話すことが好きな人が多いので、俺は聞き役に回ることにする。


「高島さんが部屋に入って私がその部屋に入ってきたことに驚いてぽろっと朝、マンションの外の通路の所で言われたことを話してしまった私に非はもちろんあるんですけど、その後にはるなさんに私達の関係を追及されて隣人同士であることを先に言ったのは私ですけど、あの後に何度も”断じて違う”と何回も言わなくてもいいじゃないですか?」


舞美さんは頬をぷくーと膨らませて俺に強く言い始めた。


「最初に”断じて違う”といった意味は普通にただの隣人で舞美さんがあの時言った通りたまに朝挨拶をする程度くらいの関係だという意味で決して”はるなさん”が思っているほどの深い関係ではないという事を伝える為に言ったんだけだ。」


「それで?」

なんかお怒りの様子。怒らせるとこの人姉の華南さんよりめんどくさいタイプだな…。


「次に言った”断じて違う”の意味は、俺らがただの隣人であるという事を強調して言おうとした際に普段家で話している時のような感じで舞美さんを下の名前で読んだことに更に籠原さんは不信感を抱いたんだと思ってその言葉を拾って更に追及してきたからそう答えただけだわ。」


俺は説明するのに既に疲れてつつある。

少しずつ池袋のデパートの建物群が見えてきた。


「そうですか?隣人であって深い関係では無いとは言ったけど、実際は少し特殊な関係で、しかも双子姉妹に囲まれて過ごしていてハーレムみたいで俺はラッキーな状態なんだよなとか心の中で一瞬でも思ったりしませんでしたか?てか思ったりしたことないんですか?」


「う~ん、特殊な関係という事に間違いは無いけど、ハーレムな状態で幸せという気持ちにはならないし、実際、舞美さんが思うハーレムな状態というのが俺には良く分からんけど…。」


ハーレムって普通男1人居付き女10人とかそういう状況の事を言うんじゃないの?

俺が参考にしている教科書、いや、ラノベの主人公達はそう描かれていた気がする。


「普通綺麗な美人双子姉妹に囲まれて生活していたら男性としては嬉しいでしょ?まぁ、高島さんて普通の男性とは少し考えとか違うからこれを振った私が間違いなのかもしれませんけど…。」


なんか少しがっかりしたような素振りを見せる。


「それに私達が隣人同士であることに大きく否定された気持ちになりましたよ”断じて違う”とか言われると。高島さんは普段華南と大学の登下校や仕事、更にはこの間はプライベートまで一緒に過ごしていたから私の存在をすっかり忘れていたのかもしれませんけど、華南と比べると全然相手にされていないんだなぁと感じて悲しかったんですよ?」


表情が少し暗くなっているのが舞美さんの顔を見ていて分かる気もするが、夕方の都会を照らす太陽の影によってそう見えているだけなのかもしれない。


「舞美さんがそう思っていたのなら、それは舞美さんの気持ちというかそう感じていたことに気づいていなかったのは謝る。でも籠原さんに何度も追及された時にとても仲が良い隣人であることを全力で否定して()()()()()の関係と言ったのは、読モである舞美さんと一般人の俺との距離が近くに住んでいたら、変に疑われる可能性があるからね。その理由は、会社の社長では無いにしろその会社のトップの母親である籠原さんは会社が保有している最大の武器の1つである舞美さんを大事にしようと思っているから、たぶん何か危険を感じて俺にかなりしつこく深く聞いてきたんじゃない?」


「確かに、それは考えられるかもしれません。あの人、いやあの会社はかなりスキャンダルに対して、敏感でその予兆が見え隠れしていたらその時点でもみ消しますからね。ていうことは、高島さんは私の為に全力で否定をしたという事ですか?ただの隣人で、仲も深くなく恋人とかそう言う関係でも無いと言い切る様に返事をしたということですね?」


「ああ。そうだ。俺だって別にあそこまで言う必要無かったかもなぁとは思っていたけど、もし会社の規定に既に反しているような場合だったら最初の舞美さんの読モのスタート時点で影響したら嫌だし、人の夢を壊したくないじゃん?それにあの会社の中では評価高いって社長代理自らがさっき言っていたし今後のキャリアアップとかに響いたらもったいないじゃん?だからあの場ではそれらが嘘であってもできるだけ隠ぺいした方がよいんじゃないのかと思ってああ返事したわけだ。」


「あ…。なんかごめんなさい。高島さんがあの一瞬の間でそこまで予想をして私の夢の為に言ってくれたんですね…。なんか高島さんを責めるような言い方をしてしまってすいません。」


「いや、こっちももっと良い言い方あったなぁと後悔しているから別に良いよ。」


「はい。すいません。でもこれだけは許せないですよ?」


「え?なんとなく良い感じに終わる流れだと思ったんだけど?」


「これだけは言わせてくださいよ?2回目に高島さんが”断じて違う”を言った後に”はるなさん”が”こんな鮮やかで綺麗な髪を持っていて容姿もそこらの周りに居る女の子よりも可愛いと思うのに。高島さん。好みのタイプとまでは行かなくても舞美ちゃんの今の服装とかでも顔とかでも見て可愛いとか思わないの?”の返事で”世間的には充分可愛いんじゃないですか?”ってあの返しは酷いですよ?」


「はぁ?じゃあどう返事するのが模範的なんだよ?あそこで黙ってスルーして次の会話に進むのは失礼だと思って何でもいいから何か言わないと思って()()()()()充分可愛いと言った事のどこに間違いがあるの?むしろあの振りに何とか答えてくれたんだから褒めて欲しいくらいだわ?まぁもう自分で褒めるけど…。」


「いや、自分で自分を褒めるって…。あ、あそこは高島さんが私に思っていることを素直に言えばそれで済んだんですよ?私はその自分の意見を棚に上げて客観的な意見を言った事に対してイラっとしたんですからね?」


「なに?俺に可愛いと言ってもらえなくて俺の足を会議の最後まで踏み続けていたのか?お前は小さい子供か?なんで俺がいちいち言わなきゃならんのじゃ?そんなに自分に言ってほしいんだったら誰か彼氏でも見つけてそいつに言ってもらえば良いじゃん?大体、籠原さんも俺にあの質問を振るなよと思ったし…。」


「いや、小さい子供でもないし恋人居なくても男性は女性に”おまえ可愛いな”とか言うもんですよ?」


俺が空き時間に読んでいるラノベにはそんなようなことを言っている物語の主人公は居なかった気がするけど…。


「はぁ?夢見すぎだろ?この国の男性は草食系だからその夢は叶わないだろうな?それに最後の契約書の記入までずっと足の指踏み続けるなよ?あれ、普通に痛かったんだけど、しかもヒールのかかとのところに足押し当てるのはやめろよなぁ?」


ヒールのかかとの部分で踏まれたりスーツケースの車の部分で轢かれたりすると本当に痛い。


「せっかくこんな可愛い後輩が踏んでもらっているのにそんな言い方しなくても良いじゃないですか?本当は踏んでもらって幸せだったんじゃないですか?」


「…な訳ないだろ…。俺はM気質なんかは無いわ。むしろさっきの時間で舞美さんがかなりS気質があることがよ~く分かったわ。」


「今少し間が開きましたよね?本当は後輩に踏んでもらって嬉しかったとか?正直に言っていいんですよ?」


「いや、()()()それは無い。」


「もう先輩のばーか…。先輩の事を好きになった女性は一生大変な苦労をしそうですね?」


「安心しろ?俺に恋人はできることはほとんど無い。それに基本的に好かれていることに気づかないだろうし…。」


「この鈍感男め…。でもどうすれば先輩に私の気持ちを振り向いてもらえるかな…。(小声)」


後ろから舞美さんが何か言った言葉が聞こえた気もしたが、雑踏の方が騒がしい池袋駅周辺の音にもまれたことでその声は俺の耳には入らなかった。


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