第100項「2人目の長期契約」
遂に100項目です!!
人数分のパイプ椅子の上に座り机上にある契約書を見ながら男1人と女2人が狭い部屋に居た。
建物の前に着いた時はきっと俺の親父が経営している会社の会議室のように暗くて狭いことは無く近代的にちゃっかり間接照明とか設置されていて綺麗な部屋だと思って入ったその場所は物置小屋みたいなところだった。
華南さんとのビジネス契約を結んだGWのあの時を思い出している自分が居た。
この部屋にも机と椅子を囲って縦に横に多くの段ボール箱が積まれている。
箱にかかれているガムテープとかを見ると”ワンピース11着入荷”とか書かれていた。
ここは洋服屋かよ…。
段ボール箱が天井近くまで積み上がっているので部屋全体もとても暗く電気をつけても対して変わらない。
「じゃあ、契約書の記入をしましょうか…。その前にもう一度仕事の依頼内容と業務内容を説明させてもらうわね…。それから舞美ちゃんはアシスタントマネージャーがこの高島さんで良いか後で聞くから宜しくね?」
「ええ。分かりました…。」
なんか反応薄いなぁ…。俺が担当することが嫌なのかもしれない…。
俺の正面には舞美さんが居てその横に籠原さんが話しているというのが現在の状況であるんだが、舞美さんが未だに俺の足の指を強く踏んでいる…。
この人絶対Sだよ…。
俺は確信する…。
「さっきも話したんだけど、業務内容は、舞美さんの仕事のスケジュール調整や体調管理、仕事場までの送り迎えとか撮影現場での手伝いとかが主な内容です。仕事を取ってくるというのはいきなりお願いするのは酷だと思うからそこはしばらくの間やらなくても大丈夫ですよ。」
「なるほど。撮影の現場というのは、毎回その時に応じて異なるんですか?」
「そうね。この建物の撮影場で撮ることもあるけど、都内の公園とか、夏だと海辺とかで撮影することもあるわ。だけど、遠出して撮りにいくのは長期休暇が始まる1カ月くらい前が多いです。例を挙げるなら、8月に発売する雑誌は7月初旬から遅くても中旬には撮影するから、そのつもりで居てください…。」
「分かりました。」
「あと、あなたの連絡先を教えてください。あと舞美さんともう既に連絡先を交換していると思うので、それは良いですね…。え~と…。」
俺と舞美さんは顔を見合わせた。
“連絡交換したっけ?”というメッセージを俺に目で伝えている感じがした。
たぶんしていなかったと思う。
「えーと、連絡先も込みで名刺を渡す感じで良いですか?」
「あ、ありがとうございます。この四つ葉のクローバー柄可愛いですね?」
「あ、それはどうも…。」
舞美さんの方を見ると何を伝えているのか分からないけど、何か怒っている感じがした。
更に踏む力が強くなってくる気がする…。
「舞美ちゃんは高島さんが今後のあなたのお仕事のアシスタントマネージャーを担当することで良いかしら…。」
「はい…。よろしくお願いします。」
舞美さんは栗色の髪をなびかせて礼をしながら籠原さんの言葉に返事をした。
一応挨拶をしてくれたので、俺の足を踏んだことも不問にする事にしよう。
「じゃぁ契約書に記入する作業をするするわね?舞美ちゃん?高島さん?」
「はい!!」
2人で口を揃えて返事をする。
「それで、契約期間はとりあえず2年毎で良いかしら?更新時期が来たらその度に見直しを図る感じで…。高島さんも今日から2年後まではやってもらう事になるけどそれでよいかしら?」
「分かりました。それで大丈夫です。」
俺はそう返事をする。
「読モって本来ならメイク道具とか衣装とかは自分で準備するのが一般的なんだけど、この会社は会社側で用意するから大丈夫よ。あなたの給料は月に10万程度くらいは払えると思うわ。」
けっこう支払われる額少ないんだなぁと感じた。
華南さんとの契約の方が何倍以上ももらえているから、読モの世界って広告塔になって多数の雑誌社と契約を結ぶのは難しいと聞いたことがあるから、厳しい狭き門なんだなぁと感じた。
「もしかして少ないと思ったかもしれないけど、これでも他の人よりも高い額を払っている契約なのよ。まぁ支払う額だけの働きはしてもらうつもりだから宜しくね?」
どうやらこういうものらしい。
「はい。了解しました。」
「じゃぁ、この契約書に高島さんの名前と住所、携帯番号に㊞の所に印鑑を押してね。」
俺は契約の紙の上部に”株式会社KAGOHARA”と書かれていることに気づきこの会社の正式名称を今になって知る。
「書けたね?じゃあこれ控え用紙だから。あと、さっきあなたは他の顧客も抱えていると聞いたけど、舞美ちゃんの仕事はいつに入れた方が良いとかある?」
「そうですね。月曜日・水曜日・金曜日以外で出来ればお願いしたいです。」
「分かったわ。となると、火曜日と、木曜日と土日のどっちかという感じで良いかしら?」
「はい。そうしてもらえると助かります。あとは舞美さん次第ですが…。」
「舞美ちゃんはそれでよい?」
「はい。それでお願いします…。」
「よし。これで取引成立ね。これから本格的に頑張っていきましょうね?高島さん、舞美ちゃん?」
「はいっ!」
揃えて返事をした。
「じゃあもう今日は帰っていいわよ? お疲れさま~。」
「はい。ありがとうございました。」
俺と舞美さんはお礼を言って建物を背中に俺たちは駅まで歩いて行く。
「でもまさか、私の仕事のアシスタントマネージャーを担当する事になる人がまさか高島さんだったとは想像できませんでしたね…。」
舞美さんは笑いながらそう言った。
「そもそも俺は籠原さんにこの仕事を依頼された時に舞美さんの名前を聞いた時には驚いたよ。まさか舞美さんが読モの仕事をしているなんて…。」
「あれ~伝えていませんでしたっけ?私が今日の朝のランニングの際に着ていたスポーツウェアも撮影で使った衣装をそのまま頂いた物だったんですよ?」
「え、そうだったんだ。全然分からなかったわ…。」
「高島さんはずっと眠い顔で私のランニングウェア姿ガン見していましたのに…。ずっと見られて恥ずかしかったんですよ?」
朝からあんな刺激的なものをまじまじと見せつけられたら、しょうがない。
オシャレに鈍感で何も服の事なんて分からない俺でも朝の時の服装は”似合っている”ことは理解できた。
「はいはい。俺が悪かったから勘弁して…。」
「まぁ。もう朝の事なんで良いですけど…。でも気になっている男性にずっと凝視されるのあながち悪くないかも…。(小声)」
なんか文章の語尾ごちゃごちゃ言っていて聞きづらかったが気のせいだろう。
「それにしても舞美さんはいつから読モをやり始めたんだ?」
「高島さんに華南の仕事を引き継いだ後くらいに始めました。自分も何かやってみたかったので…。」
「自分が挑戦したい事としてなんで”読モ”を選択したの?」
「一つは自分もけっこうオシャレをする事が好きだからというのと、新しい服を先に着ることができますし。あとはアルバイトだけでは生活できないので他の手段での稼ぎ口が欲しかったのというのもありますね。私自身けっこう可愛い事を自覚しているので、長く維持できなくても短期間でも行けたら良いなと思ったのも一つの理由であるかもしれません。」
まぁ、確かに。
舞美さんは俺らが通っている大学の中でもギャルっぽいけど可愛い系の美人であることは間違いないと思う。
大学のキャンパスを以前歩いている姿を見た時には華南さんとはまた別のオーラが放たれているのが分かる。
いや、そう考えるとこの新前双子姉妹は色んな意味で個性というかオーラを放っている人たちで俺はそんな2人の仕事面を支えていることは決して他言はするものかと思う。
華南さんが家に居る時はジャージとかで過ごしているのを比べて舞美さんは家でもそれなりにオシャレを楽しんでいるのはここ数カ月で俺も知っていることだ。
ただ、まさか本人の口から自分が可愛いことを自覚していることまで聞かされるとは思わなかったが…。
まぁ実際問題、大学でもこの人のファンは多いと丈瑠から聞いたことがある。
それだけ美人であることを周りの人にも広く浸透されているのだと思う。
「なるほど、まぁ確かに大学とかでも可愛さは際立っているもんな?でも自分が好きで興味あることに挑戦しようと思う気持ちは大事だと思うから、仕事面はサポートできるように頑張るよ?」




