第1項「彼女との出会い ~これ落としていましたよ~」
はじめまして。ヒマダナマコトです。
始めた書いた作品です。今後勉強しながら書いていきたいと思うのでよろしくお願いします。
「ジリジリジリジリジリジリ~」
自分の顔の側で目覚まし時計が部屋中に鳴り響く。
眠い目をこすって右目を開くとその時計の針は8:45を指していた。
うっすらと太陽の光がカーテンの隙間から漏れて差し込む。
まだ、春休みだし。二度寝しよう、俺はそう思った。
「ん!?ちょっと待てよ。今日から大学じゃね?」
約5秒くらいの時間で今日から大学が始まることを思い出した。
学期明けの学校というのは人間を苦しい気持ちにさせる。
そして日本では飛び込み事故が増える原因になる。
先進国でこんなに自殺する国ってなかなか無いと思うよ。
日本人は勤勉だと世界では言われるが、それだけの苦しみや辛さがあることで日本人=勤勉=凄いものを発明する民族という式が完成する。
それを日本人以外の人は知るはずもない。
そんなこと思っていたら、針は、もう50分を指している。
あれ、今日の1限ってたしか教養科目だっけ。
あ、やばい…
そう思った瞬間急いで布団を剥ぎ寝室を出る。
そして、急いでパジャマを脱ぎ狭い部屋の中を駆け足で移動する。
「今日は1限で終わりだから、朝食は後で食べよう。あ、でも野菜ジュースだけは今、飲もう。」
一人暮らし特有の普段から話す人が居ないので、自分がこれからやろうとする動作についていちいち口に出して言葉を使おうとする現象だ。
(一人暮らしをしている人はみんな毎日そんな感じなんじゃない?俺だけかね。)
そんなことを口にしながら急いでコップに野菜ジュースを注ぎ一気に流し込む。
うめえー。これぞ俺の目覚めの一杯。
目覚めの一杯は常温の水が良いという話を聞くが、自分は一人暮らしを始めてから約3年くらいたつ。
この寝起きにすぐ野菜ジュースを飲む習慣だけは毎日忠実に守っている。
最低限のダサくない服装に着替え家を後にする。
別に恋人がいる訳でもないので、髪の方はぼさぼさの状態で行くことにする。
前に髪をとかさないで外に出ようとしたら”男はしっかり髪を揃えなければモテないぞ”と親父に言われたが、その時既に年齢の割には髪が退化している人に言われても説得力の欠片も無いと思った気がする。
初っ端の授業に出席していないのは先生の印象的にも悪いものになってしまうのでそれは極力避けたいところだ。
てか昨日、目覚まし時計6:45にセットしたはずなんだけどな。おかしいな。
帰宅したら目覚まし時計確認しておこっと。
家から大学までには急な下り坂と上り坂がある。
俺が住んでいるアパートはかなり高い丘にありベランダからの景色も眺めが良い。
そして大学も住宅地に囲まれた丘の上に大学がある。
自宅と大学は同じ高さにあるが、この2地点を行き来する際の道がなぜか下がったり上ったりする道になっているのだ。
この上下運動が特に猛暑の夏は足腰に来る。
今は、まだ春だからそんなことはないけど。でも辛いことに変わりはない。
俺はダッシュで坂を駆け下りコンビニエンスストアを横目に見ながら交差点まで足を早く動かす。
そして、校門まである急な坂を駆け上る。
この坂も急な坂だ。
この坂の正式名称が何なのかは知らないが、学生の中では「遅刻坂」もしくは「地獄坂」と呼ばれる。
それだけ、毎日登下校する際に悩ませる…。いや、泣かせてくる坂なのだ。
校門に入ると校内にはあまり人が居ない。
この時点で左腕に付けた腕時計は8:55を指していた。
家からここまで5分で来れただけでも褒めてほしい。
キョリ的には短いが、高低差が半端ないんだよなあ。
急いで、履修している科目の教室に行く。
走って向かう時に何か柔らかい物にぶつかった感触がした。
「あ、ごめんなさい。」
自分の声では無い人の声が聞こえた気がした。
足元にはぶつかった人の手提げから落ちた物が散らばっていたので、一緒に拾う。
あ、これは絶対間に合わないな、
どうしよう…
ぶつかった人も慌てて、その場を去ってしまった。
どうやら向こうもかなり急いでいるようだった。
自分の靴の前には、可愛い手帳が落ちていた。
あと一歩踏み出したらそれを踏んでいたかもしれない。
あぶねーあぶねー。
手帳を拾い上げ、中を見る予定がかなりぎっしり詰まっていた。
自分も予定とかは全てスマホのカレンダーで管理しているから紙媒体で見るのはちょっと新鮮だった。
それにしても字綺麗だなあ…
あ、こんなことしている場合じゃないわ。
俺はさっきぶつかった人の元へ急いで向かう。
「すいませーん、これ落としていましたよ。」
さっきの人に声をかけると、
「あ、届けてくれてありがとうございます。」
丁寧にお辞儀をしてくれた。
「おそらく、さっきぶつかった時に落としてしまって拾いそびれたんだと思います。」
お辞儀をしてくれた彼女の顔を見ると、かなりの美しい顔を持っていた。しかも体型もモデル並みだった。
髪は黒髪セミロングに赤いメガネ。
こんな綺麗な女性、今までの自分の大学生活の中で見たことあったかな…
そんなことを思い出しながら立ち止まって考える。
彼女の方はお辞儀だけして少しだけ微笑んでその場を去っていった。
俺は久しぶりにかなり美人な女性を見たために、その場でとどまっていた。
「キーンコーンカーンコーンー」
結局1限の初回の授業は間に合うことができなかったのは言うまでもない。
少しづつ更新していきたいと思います。よろしくお願いします。