第二次聖都攻略戦(カルメン作戦)2ー②
「RPGを撃ち込め……」
外に居並ぶテクニカル部隊を満足そうに睥睨しながら、マーヴィがボソリと呻くように言った。
「ですが…施設をも破壊してしまいますが……」
副官が驚愕の表情をして翻意を促そうと説明しようとするのを、心底うざそうに遮るマーヴィ。
「フン…お前は同じを事を何度も私に言わせるのか?」
「ッ目標! 通信塔通用門!!」
これ以上、なにか言えば処刑される…本能でそう感じた副官は、テクニカル部隊に攻撃の号令をかけるしか出来なかった。
直後、爆風と轟音が暴力となって通用門を吹き飛ばし、例の門扉は見るも無残なズタボロになってしまった。次にやられたら、確実に跡形もなく無くなってしまうだろう。
それどころか、衝撃でなのか、通信塔を支えている梁や柱も崩れている。このままでは塔が自重に耐えきれず、自壊する可能性すらある。
「チキショーめ、奴らココ諸共吹っ飛ばす機ですぜ!」
床に伏せながらデカが喚いた。内部の通信要員は無事捕縛出来たようだ。その通信要員に向けてノラが叫ぶ。耳がキーンとして、自分の声の大きさが分からないためだ。
「くそ…外への外線はあるか?」
「あ…ありますぅ!」
通信要員とて、こんなところで死にたくはない。しかも味方の手に依ってというのはツラすぎるのだろう、すぐに教えてくれた。
「おい、もっと派手にやれ。我々に歯向かったことを後悔させてやるのだ」
今の爆破に不満だったのか、副官に再攻撃を打診仕掛けていたマーヴィに、通信塔からスピーカーの声が聞こえてきた。
<あー、あー、外にいる司令官に告ぐ! お前が今ふっ飛ばそうとしているのは、お前らにとっての生命線なのだぞ!>
「…!?」
チョット何言ってるのかわからない……副官を見やると、恨みがましそうにウンウン頷いている。
<もちろん我々はココを爆破するのが目的であり、そちらがそれを叶えてくれるのなら願ったり叶ったりだ。だが、そちらの無知と不利益が哀れなので、敢えて警告しておいてやる!>
確かに。冷静に考えれば、悪天候の中、危険を冒してまで潜入した奴らだ。何かの破壊工作を担っていると考えたほうが自然に思う。それがこの塔という事か。
「どういうことだ……!?」
詰問するように隣の副官を見ると、憤懣やるかたない為に顔をひきつらせて副官が答えた。
「ですから、説明しようとしてましたのに……!」
そうして説明しようとした副官の声を遮ったのは、例のスピーカー。副官のストレスは溜まる一方だ。
<それと、我々には友軍が存在する。お前らは我々をココに閉じ込めたつもりかもしれないが、閉じ込められたのは貴様らだぞ!>
黙って顔を見つめ合う副官とマーヴィ。
「…ブラフですね」
「ふん、同意見だな……!?」
シュパアッ
音が後から遅れて来た。そして目前の副官が頭から少量の血を流しながら、糸の切れた操り人形の様に崩れ落ちた。
紛うことなく、狙撃されたのだ。
とっさに地に伏せ、辺りを伺いながらマーヴィは目前で起きたことが信じられなかった。
「なん……だと……!?」
クソ…副官からあの塔の意味合いを聞き損ねた。そんな事を考えていると、近くのテクニカルの銃座に座っている隊員が同じく頭から血を吹き出して息絶えた。
ざわつく部隊。そしてもう別のテクニカル車の銃座の人間が、同様に頭を撃たれたのを見て、部隊は完全にパニックになった。
皆それぞれ、テクニカルから降りて遮蔽物に隠れようとアタフタしている。その間にも、運転手が一人、二人とヘッドショットで血の花を咲かせた。
「くそ…本当に連携して攻撃されているのか!?」
連携こそしていなかったが、タイミング良くドクズ&セキズ、イェディの狙撃班の攻撃が功を奏したのだが、当然ながらマーヴィはそんな事知らない。
「おい、誰か此処の施設の裏口や非常口を知っている奴は居るか!?」
車の陰に隠れながらマーヴィが怒鳴ると、何人かの反応があった。
「それと、テクニカル部隊は散開して、敵のスナイパー部隊を駆逐せよ! このままでは良いカモだ!!」
パニックに陥ってる己が部隊を見て忌々しそうにマーヴィは差配する。そうしてやっとオタついていた兵隊達が我に返ったかのように、行動し始めた。
「は、はい!」
「クソ……まさか、この俺様が罠にハマっただと……!?」
辺りに誰もいなくなったのを確認して、マーヴィがぐっと唇を噛んだ。
相手の部隊の司令官は何者だ……そういやあの声、どこかで聞いた気もするが……
俺がヤツより劣っているだと…!? 認めたくない、認めないぞ!
皆様…コメントくれてもええんやで…ああいや!
す、すみません! おねだりしてしまって! あたいの様な底辺が余計な口をはさみました! キャンキャン! 靴を! 靴を舐めさせていただきます!