その行方は
森にある洞窟の地下深くにある部屋に二人はいた
一人は肩口まで伸ばされた黒い髪に幼い可愛らしい顔立ちをしている、赤い染みによって斑になっている衣服を身に纏い、少女の小さな手には不相応な黒い大剣が握られていた
もう一人は腰まである至る所がはねている白いボサボサの髪に眠たそうな表情をして一糸纏わぬ姿、つまり全裸だった
そんな二人は距離をあけつつ向かい合っていた
◇マツハ◇
そういえば、目の前にいる少女は一体何なのだろうか
ここに来て私をその手に持っている大きな剣で殴り飛ばし私の椅子を破壊した少女、名前は確かエイスだったかな?、長年ここで寝ていた私でもわかる、この子は危ない人だと
それに聞いたことがあったはず、危ない人は面倒事を持ってくるらしいと、するべきことは決まった
私は溜まった思考と共に息を吐く、隣でバラバラになった元椅子からふかふかな部分を引き抜き床に敷きそこに横になる、そして一言
「おやすみ」
そう言って瞼を下ろした
「いや!おかしいよね!」
危ない少女エイスが大きな声を出す、うるさい
「え、あ、ごめん」
どうやら口に出てたらしい
「って、そうじゃなくて!ボクは斬りかかった敵だよ?!何でそのまま寝ようとするのさ」
「何で、って、言われても、めんどくさい、から?」
うつ伏せで見上げるようにしてエイスからの質問を返す
「うぐっ、その上目遣いはずるいよ、同性で敵のボクでもクラってくるよ」
エイスは手をあてて赤らんだ顔隠した
「って、ほんとにそんな理由なの?そんな理由で自分を攻撃した敵を目の前にして寝られるの?」
若干頬を赤らめたまま真剣な表情で問いかけてくる
「うん、そうだよ?」
「そっか、なら僕も君と戦う意味はないね」
「そう、なんだ」
「そうなんだよ」
そう言ってエイスは私のそばに腰を下ろした
「えっとマツハって呼んでいいかな?マツハ、ボクはね、このダンジョンを攻略しに来たんだ。攻略に来たのであって戦いに来たわけじゃないからね、マツハと戦わなくていいならボクは助かるんだよ」
傷一つ付けられないからね。と苦笑いを浮かべた
「ねえマツハ、キミはここに居続けて退屈しないかい?」
「なん、で?」
「ボクは攻略が終わったら帰らないといけないからね、マツハが望むなら連れ出してあげようと思って」
エイスは立ち上がり部屋の中心に向かって歩きながら言葉を続ける
「なんならボクが運んで上げてもいいよ?」
そう言いながら地面から綺麗で大きな宝石を引き抜く
「目的のダンジョンコアはこうして手に入ったからね、ほら」
と、手にした宝石をこちらに見せ付けてくる
「何、それ?」
そう訊ねる
「え、知らない?ダンジョンボスなのに?」
心底不思議そうに聞いてくる
「えっと、ダンジョンコアって何かと言うとダンジョンの最奥でのみ取れる魔石なんだけど、ダンジョンの最奥でしか取れないから希少価値もあるしダンジョンを踏破した証明にもなるんだよ」
エイスは説明してダンジョンコアを消した
「え、」
消えた事に驚き声が出る
「ん?、あぁこれはアイテムボックスってスキルだよ。手荷物なくなるから便利なんだ」
エイスはすぐに種明かしをしてくれる
「へぇ...」
持たなくていいのは楽そうだなと思った
「じゃあ行こうか、ちょっと失礼するね?」
そう言ってエイスはマツハの背中と脚に手をまわし持ち上げる
俗にいうお姫様抱っこだ
「わぁ、マツハって軽いね」
「そう?」
「うん、中身があるのか心配なくらいかな」
「そう」
「まぁ重たいよりは楽だからありがたいけどね」
マツハとエイスはいくつかの会話かわしながら扉に向かって歩いて行った
「あー、両手塞がってるね」
扉の前に立ったエイス
「えいっ」
扉を蹴り飛ばす
蹴られた扉は勢いをつけて開いた
開かれた扉の先には
黒い竜が眠っていた
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