私のベール、取らないで!?
ベルドバドルはルギーと幼馴染みの仲ということもあり、結果が出るまでルギーと一緒にいるということを条件に、王宮の一部屋に検査結果が出るまで滞在する許可を出した。
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「はぁああ...つっかれた...」
「お疲れ」
「診察多いよぉ...」
診察は結局計5回行われ、ついでに職業適性と魔力適性なども調べてもらった。
結果は明日に出るらしい。
「おい、これから俺は訓練に行ってくるが、お前はどうする?」
王国軍の訓練か...見ておきたいな。
「訓練見る!見たい!!」
「よし、じゃあ連れてくから、端っこの方で見てろ。まだ王宮全員がお前の存在を知ってる訳じゃないから、くれぐれもバレるなよ。」
「承知!!」
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ーキンッ
「ハッ!」
ーガチャッガチャッ
「フンッ!」
ーザンッ
「クッ!」
はぁああ...すご...。
亜竜族が大剣を振るい戦闘訓練しているさまはまさに圧巻だ。
亜竜族は武器に大剣を使う。
これは代々伝わる亜竜族特有の戦い方らしい。
私は邪魔にならないかつバレないように端っこの方で見学しているが、遠巻きからでもルギーは隊長というだけあってズバ抜けて強いことが見て取れる。
剣の振り方だろうか。無駄な動きがないとはこのことを言うのだな、と思った。
「おい」
他の騎士達もルギーに比べたら少し劣るが、強いな。流石王国軍騎士と言うだけある。
「お前だよ、おい!」
私も強くならねば。この世界で強くなっておいて損は無い。
ーグイッ
「おいってば!」
ービクゥッ
「は、はい!!」
び、びっくりした。何だいきなり。
「お前、見たところここの王宮の者ではないな?」
なぜバレたし。
「王宮にこんなチビはいない。お前、何処から入った?」
チビってよう。私は日本人女性の平均身長ぐらいだわ!!お前らがデカイんじゃい!!!
「え、えっと...ちょっと色々とありまして...」
「...?とりあえず、ベールを取れ。」
ーグイッ
ーパサッ
「え、いや、ちょっ!?」
いきなりベール取ってくる!?
まずい!いくら帽子で髪を隠していても顔は隠しきれない...!
「は...?」
やばいガン見されてる!何処でもいいからここは離れないと!!
あぁぁぁ、最悪だ!ルギーに怒られる!
なんとか声を振り絞って、
「し、失礼しましたぁあ!!」
全力で弾かれたように私は走り出した。
こんな全力は初めてかもしれない。
私のベールを取った亜竜はポカンとして、追ってくることは無かった。
焦ったー...と、とりあえず部屋に戻っておこう...。