亜竜族王のベルドバドルとあうあうぴゃー
そしてついに王宮についてしまった。
なんだこの装飾...。
大理石みたいなスベッスベのフロア。
よく分からん彫刻が施された柱たち。
カーペットはシックな赤で、壁には国王らしき亜竜の絵画が飾られている。
城だ...。いやまぁ王宮の城なんだけど、改めて見ると城だ...としか出てこないほどだ。
少し歩くと、王宮に仕えてる亜竜達に案内され、王の待つフロアまで来た。
やっべ、緊張してきた...。
手汗が滴るんじゃないかってほど出てる気がする。
そんな状態の私を見てルギーは軽く頭を撫でてくれた。このイケメンが...。
深呼吸をして扉を叩く。
ーコンコンッ
ーギィイイ
重く低い音とともに高そうな扉がゆっくりと開く。
「今日は何用だ、ルギー」
逆光で王の顔はよく見えないが、私が思ったより随分と若いようだ。
「いや、驚かないで聞いてほしいんだが、」
と、ルギーは王ベルドバドルに一部始終を話した。
そして暫くすると王が口を開いた。
「とりあえず、お前の話だから信じるが、他の奴らだったら信じられない話だな。」
「俺だってこいつを見るまで信じられなかった」
すると、ルギーは私にベールと帽子を取るように促した。
ースルッ
ーパサッ
私がベールと帽子を取るとその場にいた王の護衛の亜竜達が息を呑んだ音が聞こえたような気がした。
「ほぅ...黒い髪か...。私も大昔の文献でしか読んだことないが、まさか本当にいるとは...。しかもその格好...」
そういえば、私が異世界に飛ばされた時に着ていた服は制服だった。
「その服はお前の世界の正装なのか?」
王に鋭い視線を向けられ...
「ぁ...」
「あ?」
「あうあうぴゃー...」
...まずい。緊張し過ぎて言葉が...
これはまずい。下手したら死刑とか有り得るかもしれない...
「その正装はあうあうぴゃーというのか?」
天然かよ。危ねぇ、思わず吹くところだった。
「ぁ...あ、すみません。あうあうぴゃーは何でもないです。」
「ほう?」
「えっと...これは私の世界の学生服です。」
「学生...?つまり今お前はいくつなんだ?」
「今は17ですね。」
「思ったより歳はとってるのだな」
いや、失礼だな。年頃の乙女になんてこと言うんだ。
「お前、17だったのか。俺はてっきりもっと子供かと思ってたぞ。」
ルギーまでなんやねん。確かにそりゃあんたらに比べたら背は半分よりちょいでかいかな?位だけどさ!
これから伸びるし!!毎日牛乳飲んでたし!
「で?お前は人族でもなく、どの種族にも当てはまらない。ではなんなのか...」
私だって知りたいわよ。
「少し調べさせてもらう」
「えっ」
「おい、こいつを診察室に連れていけ」
「ちょ、おいいきなりなんだ」
「ルギー、いくらお前だとしてもやはり何者か分からない者を国民の手前、野放しにする訳にはいかない。なに、少し調べるだけだ。」
焦ったように、ルギーが王に抗議したが、暫くすると諦めたようにこちらに親指を立てて
「行ってこい」
「なんてこった」
ルギーめ...後でダメージがあるか分からんが、鱗逆撫でてやる...!