ルギーの気持ちと彗の気持ち
「あ、はは...た...ただい...ま?」
「...で?何しに行ってたんだ?」
「あ、あのですね...ちょっと夜風にあたりに...?」
「そうか、お前は夜風に当たりに行くのに荷物持って置き手紙を書いていくんだな」
「み、みたいですね...」
「本当は?」
「あの...さっそうと姿を消そうと...」
「俺に何も言わずに?」
「う...はい...」
「何か言うことは?」
「ぅ...ご、ごめんなさい!」
うぅ...ルギー、やっぱ怒ってる...よね?
「あぁ、怒ってる。」
え、なんで分か...!?
「顔に書いてある。」
そっとルギーの様子を伺うとやはり少し怒ってるような顔をしていた。
「あのな?...彗」
「はい...」
「さっき、怒ってるって言ったが、それよりもお前が何も言わずに出てったのが俺は淋しいんだよ。」
「淋し...?」
「あぁ、そうだ。お前と最初に会った時、正直ヘラヘラしてて何考えてんのか読めない奴だと思ってた。」
うん...。元の世界でも兄ちゃん以外の人は怖くて、その方が自分が傷つくこともないと思ってたから...。
「だけど、暫く一緒にいるうちにお前の本音とか譲れない事もあるんだなって知れて俺は嬉しかった。少なくとも俺はお前が心を開いてくれてるって思ってたんだが違かったのか...?」
「違わ...ない...」
「逆に俺が何も言わないでお前の前から消えたら、どう思う?」
ルギーがなんにも言わないで消えたら...?
「い...嫌だ...」
あぁ、そうか。ルギーもこんな感じだったんだな。
「な?俺もそうだ。だから、ここを出るにしても相談くらいして欲しかった。」
「ごめんなさい...。」
「そうだな...許しは...しねぇ」
「え...?」
そ、そりゃそうだよね...。
何も言わないで勝手に消えようとしたやつなんて、もう信頼も出来ないよな...。
「許さないから、これからは何でも俺に相談しろ。悩んでるなら話聞くから。こんなちいせぇのに、一人で溜め込むんじゃねぇよ。あと少しは甘えることを知れ。」
「...グスッ...うん...」
兄ちゃんの前で泣くのなんてルギーが初めてだ...。
「とりあえず、ほら」
するとルギーは両手を広げ
「胸くらいは貸せるから。」
おずおずと、ルギーの方へ近寄ると優しく抱きしめられた。
「お前はお前なりに考えてたのも知ってるから。」
ルギーにそう言われ、今まで自分一人で抱えてたことが溢れ出した。
「ズッ...グスッ...あ、のね...ルギー達に...迷惑...かけたくなくて...んぐっ...他の人達が...ルギーとかの...悪口...言ってるの聞いちゃって...それで...何とかしなきゃって...彗がいなくなったら...ルギー達も...責められないって思って...ふぇっ...」
「おう。でもやっぱなんにも言わないで出てくのはまずいよな?」
「うぇええ...ご、ごめんなさいぃいい...」
久々に号泣した。
ルギーは私が泣き疲れて眠るまで優しく頭を撫でてくれた。
兄ちゃんとは違うひんやりしたルギーの肌がとても心地よく感じた。