運命の出会い。
俺さ、最近思うんだよ。どーして男女格差が埋まらないのかなって。なんで女のが優遇されてるのかなって。いやー、気持ちは分かる。男の方がなんか、あれだろ?そう、なんかあれなんだよな?分かるぞ。分かる分かる。でもよー、ちょっとくらい俺にラッキースケベがあっても良いんじゃないかなぁ!?!?なんで更衣室が男女で別々なの!?一緒で良いよね!?いや、だって一緒の動物じゃん!ヒトっていう生き物じゃん!どーしてそう男女に壁を作りたがるのかね。俺はもう我慢ならねえ。真の男女平等社会はこのままでは一生訪れないね。だから俺がこの国を変える。更衣室を男女一緒にする。まあ、俺がそうやって国を変える頃にはきっと俺は女に興味が無くなる頃だろうな。あー、なんかどーでも良くなってきたわ。はー、どーせ俺なんて彼女出来ないし?友達も少ないし?生きてる価値なんて無いなー。なんて思ったりする訳ですけども。この生きてる価値の無い日々を死ぬのは怖いから、ただなんとなく生きるって人もお前らの中にはいるだろーね。俺みたいな。まあ、お互い頑張ろうぜ。人生何が起こるか分からないんだぜ。え?そんな事ないって?いや、あるんだよ。実際今、起こってるから。
『ここは、どこ?私は、誰?あなたは...誰?』
俺はその声に聞き覚えがあった。
凛として、透き通った声。
声だけで、声の持ち主の全てが表されている。
聞くだけで油断すると恋に落ちそうだ。
『そ、その声は麗奈か!?』
あぁ、だとするとこれは夢か。
あーあ、俺も心の底では麗奈の事が好きなのかなー。だから夢に出てきちまうのか。
なんてこった。玲音の彼女を俺は奪おうと、微塵でも思っているのか?そ、そんな。俺はそんな最低なやつに成り下がっちまったのか。
いつの間にか俺は最低になっていたのか。いや、まあ、いつも通りっちゃいつも通りだけどな。いや、そんな事ないから!!俺は結構自分で言うのも何だけど結構根はいい奴だか...
『ねぇ、私の声が、聞こえるの?』
んー、何か聞こえるけど、やっぱ夢なんだろうか。いや、確かに麗奈の声はするけど。
『あなたは、誰?』
『俺は五十嵐 湊人!』
あっれー!?なんか反射的に答えちゃったけど、良いよね!?良いんだよね!?まあ、夢だしなー、どーとでもなれー!!
『五十嵐 湊人...』
『え?お前と一緒のクラスだぞ?』
『学校...?私が...?』
あれ?こいつ...?分かって...無い?
『忘れた...のか?』
『分からない...』
やけにリアルな夢だな。こんなに鮮明に顔が見えて、話せるなんて。夢だとしても、こんな美少女の顔を拝めるのはなかなか無いからな、しっかりと目に焼き付けておこう。
『あぁ、そーか。何かあったのか?』
『分からない...』
俺の夢の中では、麗奈は記憶喪失なのか?え?もしかして、夢の中で話が展開していくラブコメとか?あ、でもそれって夢オチなんだよな。虚しすぎるだろぉぉぉおおおっ!
『名前、とか、分からねえのか?』
『涼森 霊奈...』
やっぱり霊奈か。でもいろいろおかしい点がありすぎる。まあ、夢だからツッコミすぎるのも良くねえかー。
『そか、よろしくな!』
まあ、こんな可愛い子と仲良くできるのなんざ夢くらいな事、楽しまなきゃ損だわな!
『...タスケ、テ...』
あぁ、やっぱり近くで見ればみるほど透き通った肌、やっぱり美し...
『え?今なんつった?』
いや、マジで大事な事聞き逃した気がする。俺の私利私欲のせいで。
『貴方しか、いない、の。』
『えぇ、と、何がだ?』
え、まじでこいつ何言ってんだ。
一言目聞き逃したからさらに意味わかんねえ...俺しかいないってどーいう事だよ。
てか、第一霊奈には玲音っつーイケメンの彼氏が。。
『みなとー!!!いつまで寝てるのー!!』
『まじかよ、もうこんな時間!?』
いつの間にか朝になっていたらしい。
はぁ、学校間に合うかな...遅刻だけは勘弁だけどなぁ。
それより、あの夢は...?
一体、なんのために...
っと、その前に早く支度しねぇと!!
本気で遅刻しちまうっての!!
ふぅ、なんとか間に合った...
めっちゃ疲れた...
昨日の夢。やけにリアルだったな。
今日も霊奈は学校来てないし、本当に何があったんだろうか。担任に直接聞いてみるしかねぇか。
『は?涼森霊奈がなぜ休んでるか?知るわけがないだろう。風邪でも引いてるんじゃないかね?』
『そ、そうですか。でも、風邪にしては長いような気もするんですけど。』
『とにかく、私は知らないからね。忙しいから、早くどこかへ行ってくれ。』
はぁー、どーしたらいいんだ。
今日の夜、寝たらもう一度夢で会えるんだろうか。会えたらもう少しヒントを得ることが出来るかもしれない。そう思い、夜を迎えた。
...がその夜、湊人が霊奈と会うことは無かった。