表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方が好きDeath  作者: コマロン
2/6

1話 主人公って何だ。

『ちょっとー!みなとー!遅刻するんですけどー!』


全く。朝からうるさいやつだ。

こいつは、俺の幼馴染、姫野(ひめの) 凛花(りんか)だ。あ、お前ら今、なんだ、やっぱり主人公だなぁ。とか思っただろ。断じてそんなことは無い。確かに、学校でもそこそこ有名な美人なんだけど。そんな奴が俺を好きなわけねぇだろ!!第一、そんな美人に彼氏がいないわけねぇだろ。全く、どいつもこいつも。主人公が誰でもハーレム築けると思うなよ!?そんなのは、ごく一部のイケメ...おっと、話が逸れた。

とりあえず、凛花とは、そんな関係ではない。


『わあってるよー!今行くから待ってろー!』


俺はそんな返事を軽く返し、学校の支度を済ませ、凛花の待っている玄関に急いで向かった。


『あー、今日も学校かぁー。めんどくせえなぁ。』


『もー。また、みなとそんな事ばっかり言ってー。こんな美人が迎えに来てあげてるんだから、もっと感謝しなさいよねー!』


こいつは、自分で自分を美女と言ってしまうような残念な奴だ。


『大体、お前彼氏に何か言われねえのかよー?俺と登校しちゃってよー...』


『んー、それなら別に心配ないよー!みなと私がいないと、遅刻ばっかりだから!彼氏に許可貰ってるもんー!』


こいつー、余計な事しやがって...


『はぁ、なら別にいいんだけどよ...』


いつか彼氏に怒られないといいがな。


『あ!ねぇねぇみなと!今日だよね!転校生が来るの!』


『あー、確かそーだったな。』


美人って噂があったっけなぁ。


『へぇー、美人なのかなぁー。ねぇ、みなと!その子の事好きになっちゃだめだよ!私がいるんだから!』


何言ってんだよ、こいつ...


『なる訳ねぇだろ!大体お前彼氏いるだろーが。そーいう発言やめろ。誤解を招く。』


『えへへーっ!』


凛花は、確かに可愛いく、こういう性格だ。モテないわけがない。面倒見も良く、誰からも慕われるような、いわゆる、人気者だ。

そんな奴が、俺みたいな平凡な奴と毎朝登校かー。いつか誰かに後ろから撃たれそうだ。防弾チョッキ買っておくか。


『みなとー!遅刻するー!走ってー!』


え?なんで俺の手を握ってるの!?


『学校まで、ダーッシュ!』


『ま、まて!凛花!!は、速いって!!』


帰宅部男子舐めんなよ!!走るのくそ遅えっつの!!そんな俺の気持ちを凛花が知るはずもなく、陸上部持ち前の、足の速さで、俺を引きずって学校まで登校した。


『よぉ、湊人ー!今日も凛花ちゃんも仲良く登校かー?』


こいつは、俺のクラスメート、鈴木(すずき) 玲音(れおん)なかなかイケメンで、周りからの信頼も厚い。俺とは正反対だな。


『あぁ、散々だったよ。帰宅部なのに、走らさせるし。死ぬかと思ったわ。』


『えぇー!みなと、私と登校するの、楽しくないの!?』


おい凛花、その顔するのはやめろ。ふいに抱きしめたくなるから。いや、絶対しないけどね!?なんせ、チキンですし。平凡ですし。


『楽しくない訳じゃねぇよー?ただ、走るのはやめて欲しいかな。』


凛花は頰を膨らませながら、だったらみなとが早く起きて!と、痛いところを突かれてしまった。


『でもよー、湊人。お前、凛花ちゃんが湊人の家に迎えに行くようになってから、遅刻減ったよなー。』


『でしょでしょー!私えらぁーい!これからも、迎えに行くね!』


そう言いながら凛花は、笑顔でこちらへと視線を向ける。

やめろ、凛花。割とマジで可愛いから。今にも好きになりそうだから。抱きしめていい?ねぇ、いいよね?まあ、しませんけどね。チキンだし。


『はーい、お前らー、席につけー。』


『もうこんな時間か。後でな、湊人、凛花ちゃん!』


俺と、凛花は返事を軽く済ませ、各々の席へと着席した。


『えー、もう知っている奴もいるだろうが、今日はこのクラスに転校生が来ている。今からその子の紹介をするから、暖かく迎えてあげるように。』


クラスが少しざわざわし始める。まあ、当然か。転校生が来るのだ、そりゃ気になるよな。


『それじゃ、こちらに来なさい。』


教室の扉が、ガラガラと開く。

その瞬間教室は静寂に包まれた。

そこには、言葉では表せないほどの美人な、女性が立っていた。顔立ち、スタイル、何を取っても完璧な女性がそこにはいたのだ。クラスがさらにどよめきだす。そりゃそーか。あんなに可愛い子なんて、テレビでしか見たこと無いからな。


『じゃあ、自己紹介を。』


クラス中が彼女を見つめる。


『はい、私の名前は涼森(すずもり) 霊奈(れいな)です。よろしくお願いします。』


その瞬間、教室が拍手、歓声で包まれた。

もう大声で告白してるやつもいやがる。まあ、気持ちも分からんでもないな。


『はい、静かにー。えぇ、じゃあ、席は...』


教室が再び静まり返る。

ここで俺は考えた。もしかして、ここで、俺の隣に霊奈が来て、俺のラブコメが再スタートする、とかあるんじゃねぇのか!?おいおい、ワンチャンあるぞこれ!!さあ、来い来い!!俺の隣へ!主人公補正っ!!ここで霊奈を俺の隣へっ!!!頼む神様...っ!

担任が次の言葉を発した。

俺は手と手を合わせ祈り続ける。


『じゃあ、霊奈さんの席は...』


頼む。俺の人生がここで決まるかもしれな...


『玲音の隣に座ってくれ。』


俺は頭が真っ白になり。ただ、この言葉を放った。


『は、はぁぁぁああああああっ!?!?』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ