美少女の人生(下)
──午後18時。部活動も終わった。とても充実した一日だったように思う。
帰りは他の部活の子と一緒に帰った。紗矢香の家はそれほど遠くはなく、歩いて15分もすれば俺は家に着いた。
友達と別れて、家の鍵を開ける。どうやら紗矢香は一人暮らしらしいのだ。いや、どこかの誰かさんとは大違いでしっかりしているな……。
日常の何気ないひとつひとつの行動が、とても楽しかった。今まで感じたことがない。
新鮮で、楽しくて、充実した世界。
これが本当に悪魔の仕業なのだろうか。……いや、でもやはりどうでもいい。
これが現実だということさえ分かればそれでいいのだ。
就寝の準備を済ませた後、俺は寝る前に日記をつけてみようと思った。どうやら、紗矢香の人格は、こういうことをしたがるらしい。でも、悪くないかもしれないと思う俺もいた。
15分ほどして、俺は書き終わった。少し不慣れで恥ずかしかったが、なんだかとても気分がいい。
このまま寝てしまうのも惜しい気がしたが、寝たら寝たであのイケメンの人生になっているはずだ。
俺は、これからの人生に胸を踊らせながら、静かに目を閉じた。
1月30日(月) 雨
今日から望月 紗矢香の人生が始まった。
色々なことが新鮮だった。女の子の友達がいた。部活に入っていた。男に変な目で見られた。
戸惑うことも多かったが、なかなか楽しかった。女の子の人生というのも悪くないものだ。
イケメン、美少女。どちらの人生も楽しみで仕方がない。
そういえば2度目の月曜日だったけど、あんまり苦じゃなかったな。楽しいからだろうか。
……あまり何を書けばいいのか分からないな。
とりあえず、これくらいにして今日は寝ようか。
……また、2日後。