イケメンの人生
端的に言おう。俺はモテていた。
学校に着いた時から、まず感じる視線が違う。
今までの俺ならそもそも向けられる視線がない。仮に少し向けられたとすれば、それは俺を罵倒するためか、俺を踏み台にして自身を安心させるためだ。
だが、どうだ。今の俺に向けられる視線は尊敬や羨望のものばかりだ。
こんな視線を浴びたことは人生初ではなかろうか。いや、間違いなく初だな。
俺は清々しい気分に浸りながら、教室の中へ足を踏み入れる。
「おはよう!」
「ちっす」
「おはよーっ!」
次々と挨拶が飛んでくる。おいおい……イケメンってのはこんな世界に住んでるのか?最高じゃないか……。この世界を知らずに死んでいく、元の俺みたいなやつが可哀想で仕方が無い。
──学校が終わった。夢のような8時間だった。
授業では当てられてもスラスラ答えれるし、休み時間は積極的に話しかけられる。昼は一緒に食べようと誘われるし、昼休みは外で遊ぼうと誘われる。もちろんその場でも俺は大活躍だ。体育ではサッカーだったのだが、ハットトリックを決めてやった。
このどれも、俺は味わったことのない感覚だった……最高だ、最高すぎる。
ああ、部活すらやりたくなってきた。まあ、今更って話ではあるのだが。
今日、1月30日のことは一生忘れないだろう。楽しい日だった。
今日寝ると、きっと明日は美少女の姿になっているのだろう。月曜日が2回続くのは少しなんとも言いにくいが、こんな月曜日なら悪くないかもしれない。
その美少女もこんな人生だったらいいな。少なくとも、美少女なのだから容姿には困らないだろう……。
俺は、美少女の人生に少し期待を抱きながら、寝床についたのだ……。




