過去に渡り行く
省略します!
まことにすいません!
跳んだ時間・・・・想像以上の文明開化時!
コレが本当に滅びるのかって位・・・・
ただし、アティモスが飛んだのは、例のジャリョウの住む社だった。
多くある樹の中の、太い一本に、身を預けていた。
樹が沢山生えているのだが、吸血カタツムリにとっては、苦労したのだろう。
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うつらうつらしていたらしく、誰かが頬を突いてびっくりした。
それは紛れも無い男の子だったので、ナイフを抜くような事はしなかった。
その子は、興味津々な目でアティモスを見詰めていた。
その子、手の平の蝸牛を出して、
「コレ、なんて言う生き物?」
と、質問した。
あちらの世界(マグネス界)では、見ようとしなくても目に入る位、蝸牛好きな町があるので、虫には慣れていた。
アティモスは、答えた。
「蝸牛と言うんだ。」
すると、目を輝かせて、鞄からメモを取り出し、メモを取って、メモをしまって、違う虫を出して、聞いてを繰り返して・・・・
20回目でようやく、手持ちの虫が無くなったらしく、質問を止めた。
蝸牛以外の虫を放ってやると、
「僕、龍介。 また来て良い?」
と言った。
良い話し相手になりそうだと思って、うなずいた。
で、今頃気付く。
ナモロが居ない・・・・(ナモロ可哀想・・・・)
1日後・・・・・
約束道理、龍介は来た。
勿論、手や鞄にいっぱいの虫を詰め込んで。
初日と同じ事を繰り返す。
2日後も、3日後も・・・・・
5日後・・・・
龍介にある疑問が浮かんだ。
何故か、一番最初に聞いた蝸牛は、何度来てくれても、最初に質問することだった。
しかも、全く同じ蝸牛を。
アティモスは、聞いてみた。
「なんで、一番最初に蝸牛を聞くんだい?」
龍介は、言った。
「貴方が、まだ僕の事を覚え、信じてくれてるか確かめるため。」
「なんで、確かめるんだい?」
アティモスの質問に、今度は、少し間を空けていった。
「僕、今年で小6になるんだ。 でもね、皆、僕の事全部忘れてて、僕が虫の話をすると、そんなの嘘じゃない?とか、こいつ、虫なんか信じてるぜ。とか、からかわれるんだ。 だから・・・・」
「だから、一番好きな蝸牛を質問する。と。」
アティモスが、龍介の言葉を継ぎ、龍介は、頷いた。
アティモスは、少し微笑んで言った。
「質問する前に、胸を張りな。 僕はコレを信じてるんだって言う意見はいいが、突き通さなきゃ意味が無いだろう? 社会では、こういう知恵も必要なんだよ」
龍介は、涙を流しながら聞いた。
「貴方の生まれた場所はどんな場所だった?」
「父が母を殺すような、残酷な場所だった。 流血沙汰なんて、日常茶飯事だ。 おまけに、日常をまともに過ごせず、毎日を怯えて過ごし、父も母も無くしたある姉は、赤ん坊の弟を1人で養っていかなければならない場所。」
「何人も居るの?」
「掃いて捨てるほど居るよ」
龍介は、涙をぬぐって、
「明日来るね。」
と言って、帰っていった。
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龍介も疑問があった。
あんなに色んな事を知っているのに、なぜずっと、あの樹によりかかっているのだろうか。
この森を歩き回って知識を得たんだと思うけど、1日たっても、2日たっても、動いた様子は無い。
龍介は、真夜中に窓越しにあの人を観察することにした。
だが、眠くなって寝てしまった。
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起きたら、寝ているあの人の隣に、仰向けのリス・・・・・・
一瞬食べるのかと思った。
だが、起きたあの人は、リスを擽って起こした。
あの人は、立とうとしたが、立てないのか樹を頼りに座ってしまった。
あの人は、苦笑いすると、また眠ってしまった。
龍介はそっと近寄った。
尖った耳が気になったのだ。
つついてみたが、変化が無かったようで、触りまくっていた。
どんな構造になっているのか・・・・
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朝・・・・
アティモスが目を覚ますと、龍介は肩に頭を乗せて寝ていた。
さすがにびっくりしたらしく、固まったまま何もしなかった。
しばらくすると我に返り、言う事を聞かぬ身体で、何とか龍介と隙間を空け、龍介を寝かせ、鞄をおいて、丁度良いマントがあったので、布団代わりにかけてやった。
さてと、予想からすると、龍介が吸血カタツムリが生まれた元凶になる。
この子が死ななかったら吸血カタツムリは生まれることが無い。
時間軸が狂って、多分、龍介はあの時代に生きている3人目になるだろう。
後、おとぎ話の内容も、あの玉の様になったカリョウ・カンニュの記憶も皆から消え去り、また1人だけが知っている時間が出来る。
多分、龍介でさえも。
「・・・・えっ、寝てた? ・・・・作戦失敗、撤収撤収!」
龍介の言葉に正直「えっ」と思う部分がいくつかあった。
まず1つ、「寝てた?」の部分は、普通の人は寝たという自覚があるけど、さっきの子には無い。
あと、「作戦失敗」の部分は、なんか企んでたのかという様な反応を顔に出しそうになる。
最後に「撤収撤収!」の部分は、「作戦失敗」の言葉を確信に変えかけた。
龍介は足を止めた。
「そういえば、貴方の名前は?」
アティモスは、少し微笑んで、
「アティモス・リーナ・アカモート」
と答えた。
「アティモス・・・・か。 良い名前だなぁ~。」
アティモスは、驚いた顔をして、龍介を見た。
「そんな事言われたのは初めてだ。」
「そう? じゃ、また会おうね!」
龍介は帰った。
これから龍介を見かける事は無くなった。
今日、手紙が落ちている事が分かった。
飛行機型の手紙。
内容は、たった1文。
たった1文だったが、運命を変える1文だった。
アティモスは、よろめきながらも起き上がり、体の許す限り走った。
手紙の内容はこうだった。
『お願い、助けて。』