竜と虎と神様と吸血蝸牛と・・・・
ごめんなさい、この作品に集中しすぎて・・・・;;
なので、お盆の外伝は、8月に投稿します。
本当にごめんなさい。
「大変だ大変だ! バロンとアレキが、喧嘩したんだ!」
ナモロの返事はこうだった。
「はい?」
アティモスに関しては、無言だった。(現在、寝たきり状態。)
「アティモスに用があるんだ。 輪をはめた人は、紳獣を扱えるから、神様と呼ぶ。 その神様には、ゼロ達は絶対服従なんだ。 だから・・・・」
「だから、アレキを鎮められる、私を呼んだわけか。」
アティモスが、言葉を繋いだ。
「そういうこと。 おはよう娘さん。 気がついて早々で悪いけど、ちょっといい?」
「何が起きたんだい? 紳獣様ともあろう人が。」
ナモロは、話について行けず目をパチクリさせていた。
「あぁ、ナモロ達は知らなかったんだな。」
ナモロは、首を上下に振った。
「紳獣を従えられるのは、神様だけ。 ゼロ達は神に絶対服従=紳獣は神に絶対服従。」
アティモスが説明を終えると、ナモロは「納得~」ってな感じで手を叩いた。
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その時、この事件の火の粉が飛んできた。
しかも、本物の火の粉がテントに降りかかり天幕が、燃え始める始末・・・・
アティモスが、あの魔法を持っていなかったらと思うと、震えが走った。
2人は無事脱出したが、アティモスの魔法の効果はすぐ切れ、その上にバロンが乗って押し倒したのだ。
アティモスは、喚いた。
その行動が、アレキを本気に怒らせた。
「あ~あ、やっちゃったね。」
「やっちゃったどころじゃないだろうに。 ほどほどにしろ。 ほどほどに。」
ゼロが言った事に、アティモスが突っ込む・・・・
「私じゃなきゃ、この状況で乗っかられてたら死んでたよ。」
アティモスがバロンの下から、ため息を付きながら言った。
「痛くないのかい、娘さん。」
ゼロが聞く。
「痛いは痛いさ。 しかもこんな時に甘えてくるバロンもどうかと思うけどねぇ。」
二人の頭は、アティモスの心配でいっぱいになっていたが、甘えていた事にほんの少しイラッと来たが、
すぐに頭に血が上ったアレキが、バロンに攻撃を仕掛けようとしてきたので、お説教所じゃなくなった。
ゼロ曰く、アレキの角笛吹けばいいとのことだったが、その直後、アレキに向かってアティモスを投げた。
考える暇も無く、落ちまいとアレキの角を掴むと、あっさり角が抜けてしまった。
ミシミシッ、とか、バキッ、とかの音は一切無く、むしろスポッと言う効果音を付けたいくらいだ。
「角笛」だから、この角を吹けばいいんじゃ・・・・
と思ったアティモスは、角を思いっきり吹いた。 太く響く音。
アレキが落ち着く。
が、大量の血を吸う蝸牛まぁ、ヒルに貝殻を付けたようなものが、飛び跳ねたり、角をたどって、アティモスに近づいていた。
「これってまずくないですか? こっち、満身創痍なのにこんな・・・・ もう、あんまりだ~!」
アティモスの叫びに駆けつけたのか、端にかえって来たのか、薬草調達していた仲間も結界から頭を出してた。
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アティモスは、絶賛混乱中だった。
角を逆さにしても登ってくるし、吹く状態に戻しても登ってくる。
しかも落下中で、下は、カリョウ・カンニュだらけだ。
この、マグネス界では、おとぎ話がいっぱいある。
ただ、残念な事に、どの話の主人公も決まった方法で死んでしまう。
それは・・・・吸血カタツムリに血を全て吸い取られ、ミイラになってしまいました。
という結末だった。
角は、カリョウ・カンニュだらけで、すでに、アティモスの腕に吸い付いてる奴も居た。
奴らが通ったあとは、決まって血が流れ出す。
それを餌に、またどんどんあいつらがやってきて・・・・ あっ・・・・ 無限ループだこれ・・・・
ここで、アティモスは考えるのをやめた。
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もう、アティモスの身体は、見事に餌になっていた。
もう、小さな玉になって、誰が食うか競い合っているようだった。
「何事? まさか、あれって・・・・」
アスタルテが言った。
ナモロは、歯を食いしばり、目をウルウルさせながら頷いた。
さらに、もっと悪い状況に至ったときに、生存者を探し行っていた、クリアヌとカロスバーナと、不死鳥の
シュナが・・・・
「何でシュかこれ!」
「カロスバーナ、かんべる。」
「クリアヌもね。」
二人は少し漫才をしていたが、シュナは、真っ先に玉に首を突っ込んだ。
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1匹の殻があまりにも大きく、一目で実行犯が分かった。
アティモスを探すのには、身体を全て突っ込む必要があった。
見つけたときは、顔色が蒼白で、手当てする前よりも悪いような気がした。
皆に知らせようとしたが、ピーピーとしか言えず、何言っているのかサッパリ分からなかった。
「(大変、あのねあのね)」
思い出した、彼女以外、僕の言葉を通訳できないんだった。
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ナモロは、憎かった。
自分が憎かった。
ただ、あまりの憎さに、自分の身が、どういうことになっているのか気付かなかった。
落ち着いて気付いたが、飛んでいるのだ。
両足の踝に一つずつ、小さな火車が付いていた。
気付くか否や、玉に向かって飛んで行った。
玉から、奴らが、飛び移ってきた。
ナモロは素早く避け、玉の中に飛び込んだ。
そこにはシュナが居て、考えあぐねていた。
ナモロは、奴らに捕まって、身動きが取れなくなった。
ナモロは、シュナに、アティモスの手をこちらに渡してくれと、ジェスチャーした。
シュナは、羽を広げた。
そうだった、シュナは羽だから掴めないんだ。
1時間後、諦めかけたナモロは、このままアティモスと、逝ってしまおうかと思った。
このまま身をゆだね、あの時の様に・・・・
その時、冷たい手が、頬に触れた。
手の先には、深紅のマフラーが目立つ蒼白な顔があった。
「馬鹿、お前が居ちゃ死ねないじゃないか。」
「・・・・そうするために、ここに居るんだ。」
嘘を付いた。
腕の輪が輝き、2人と1匹を光が包んだ。
角は、持ち主の所へ帰った。
今度は、奴らが、ジュワジュワ溶け始めた。
正直、気味の悪い光景だった。
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外から見ると、太陽になり掛けたのが、溶けてマグマの塊になっちゃいました(1部を可愛くしています)
・・・・と言うような感じ・・・・
「◎△◇×!」
「アロー、何言ってるのか分かんない。」
何度何度繰り返しても、サッパリ、アスタルテに伝わらなかった。
ちなみに、アローが言いたかった事は、
「あっ、あれ、姉ちゃんが居るんだよね? ・・・・急がなきゃ!」
だった。
ただ、1番不思議だったのは、バロンが飛び跳ねて喜んだ行動を取ったり、アレキやゼロが嬉しそうに笑みを浮かべている事だった。
もうその頃には、アティモスの意識が回復していたのだが、外からは見えないので、その行動にイラッと来たこともあった。
まぁ、その後、2人の顔が一瞬だけ曇った。
その一瞬が、周りの空気をさらに、悪くした。
しかも、互いが、集まろうとしたとき、まさかの全員落とし穴に落ちるなんて。
「「いや、こんなでかい落とし穴普通ないでしょうが!」」
つっこまれた~(;;)
ゴニョゴニョ言う声が聞こえ、皆同時に起きたが、アローは、飛び起きなかった。
「起きないのですか?」
「ん ・・・・あと15分 ・・・・」
「15分もすっぺたもない! アティモスをどうするんだ!」
「ん? @;△^◎☆□・・・・」
「だめだこりゃ・・・・」
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一方玉の中・・・・・・・・・・
熱帯球中だった。
シュナ・・・・まだまだ序の口
ナモロ・・・・脱水症になりそう
アティモス・・・・また気を失ってる
こんな感じ・・・・
「暑い・・・・ シュナ、よく平気で居られるな。」
「(僕は不死鳥だからね)」
「ごめん、分かんない。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ、なんで虎と竜の喧嘩から、アティモス救出戦、今度は暑さの我慢大会かなんかをやんなきゃいけないんだ。」
「(全くだ~)」
「分かんない。」
・・・・・・・・・・・・・
「ごめん、ギブアップ。」
「(えっ、まだまだ序の口だけど)」
「何言ってるのか分かんないけど、イラつく事を言ってるのだけは分かる。」
「(ごめんなさい)」
「生存率、どれくらい?」
「ナモロなら、100%中20%。 シュナは、100%中100%。 んで、多分私は、100%中1~2%位だな。」
「へぇ~・・・・・ ・・・・・・・・って起きてた!?」
「シュナがナモロにごめんなさいって言ったときから。」
「~♪」
「誤魔化すんじゃない!」
「(すいませんでした!)」
「覚悟しているか?」
ナモロが頷く。
その瞬間、シュナは球の外にに出された。
「(作戦失敗・・・・)」
シュナははそう呟いた。
・・・・・・・・・・
「熱くないぞコレ。」
「そうだな。」
むしろ、暖かいような・・・・
「「「「感じた」」」」
声がそこらじゅうから聞こえて、「誰だ!」とも言い返せなかった。
その声は、落下中のシュナにも、落とし穴から這い出ようとしている一行にも聞こえてきた。
「「「「こやつ、我らの脈を感じた」」」」
「あ~も~うるさい!」
「「「「うるさくて当たり前だ」」」」
「何でだ?」
「「「「我らは無数のカリョウ・カンニュの心」」」」
「何で私たちなんだ?」
「「「「だって、呼び出したのはお前だろう」」」」
「・・・・何で血を吸う?」
「「「「吸血蝸牛だから」」」」(あたりまえだろw)
「違う、なぜ血を吸う生き物になったのか」
「「「「時間は」」」」
「十分ある。」(無いよね?)
「「「「じゃあ聞かせようか」」」」
その頃は我らもただの蝸牛だった。
森は崩され、林は愚か、木の一本見つけるのにも一苦労した。
我らは絶滅に危していた。
歌も忘れ、自然の恩も忘れ果てた人は、我らをこの世から無くし、自分たちだけの世を作ろうとした。
そんな時ある少年が居た。
虫好きの少年だ。
少年だけは、共存を望んだ。
虫や動物が、人間と共存する、過去にあった夢のような事を望んだ。
それがために、親からも、友からも、全ての同類から虐待を受け、笑顔を見せる事もできなくなった。
動く事、喋ることも。
生きる事も。
とんだ世界になった物だよ。
そのために、正しい事を望んだのに、しかも実の子でさえも、恐れ、殺すなんて。
のんびりしている私でも、我慢できなかった。
私はコンクリートを食べれるこの口を使って、復讐を成し遂げた。
だんだん口は、血を飲むための物へ変化し、血以外のものは身体が受け付けなくなった。
他のあの子みたいな子の血を吸うわけにはいかないと、祠の主に角に封じてくれと頼んだ。
封じられた私は、精霊が、人間に樹を刈られようとも育て続ける様子や、エルフなる者が、森を護り切ってその後に樹が生えるのを見届けた。
「「「「そして、今だ」」」」
「護ろうとしたせいで、角に閉じこもっていたのか? じゃあ、変えようか。 その残酷な過去を。」
「「「「お前達・・・・そうか、お前達も辛かったんだな」」」」
アティモスは、微笑んだ。
ナモロも頷く
「じゃあ行こうか。」
「過去へ!」
8月まで待っててください^0^!