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時の巡り手は何を思う  作者: narikori11
モノリス界編
4/17

紳獣の心を宿し者

今度は、マグネス界が、中心ではありません!

一行はどこえゆくのか・・・・

この世界には、魔法師は居らず、結界師ならいるというなんとも不思議な世界。

けれど、結界師には失敗する者が多く居る。

時には、次元の壁を壊してしまう者も居る。

壊すと何が悪いのかというと・・・・

このマグネス界のほかに、アカイア界、モノリス界、エニローズ界、コンシェン界、ウィスプオーブ界があり、どれも生き物が生きていける環境だ。

その次元の壁が壊れると、片方にモンスターが押し寄せ、運が悪かったら世界が一個潰れてしまうだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・


「全く、おまえは・・・・」

改めて紹介するが、今、ある結界師にお説教しているのは、エルフのアティモス。

マフラーが重要とか、父が敵とか、色々謎の多いエルフだ。

そして、今、そこに割り込もうとしているのが、半妖とエルフと人間の三人組。

半妖のナモロは、アティモスに恋しているのだが、気付かぬ降りをしている。

ちなみに何の半妖かは、不明である。

人間(白人)のアスタルテは、相棒の虎、バロンを乗りこなす、戦いの時は指揮にあたる。

ただし、暗い所で攻撃されると、パニックになる。


まず、来た理由を簡単に説明すると、アティモス達は国のお偉いさんに喧嘩を売ってしまい、身を隠すため、別の世界の入り口の場所を教えてもらおうとしたのだ。

そして、何で叱られてるかと言うと、シリットが、次元の壁を壊してしまったからだ。

かれこれ1時間説教された。

そして、ため息を付くと、結界に開いている人1人分通れる穴を通って行った。

だんだん縮んでゆく結界の穴を見て、ナモロは思わずその穴に飛び込んだ。

その穴は綺麗さっぱり消えてしまった・・・・


=====================


「既に手遅れということか・・・・」

アティモスが、結界の穴から出てきてみたら、辺りは焼け野原で、金属が混ざったまま固まっていた。

「貴女、死人では無いようですね。 久しぶりに会いましたよ。 彼以外の生きている人に会うなんて。」

ガスの臭いが漂う中、同じくらいの年齢の子から声をかけられた。

その子が、手招きをするので、付いていくと人が10人入っても空きがありそうなくらいの大きいバブルがあった。

そこには、ベットに横たわる子と、バブルの膜擦れ擦れまである大樹が生えていた。


そこに入ると息が楽になって、ガスの臭いも無くなった。

よく見ると道案内してくれた子は、目を包帯でまいていて、少年は、胴の部分を同じくほうたいで、グルグル巻きにされていた。

少年は、虚ろな眼をしながら、上半身を起こしていた。

「自己紹介が遅れましたね。 私はカロスバーナ。 あの子の名前はクリアヌ。 ここには私たち以外居ませんよ。」

クリアヌは、お辞儀をした。

「貴女達の言う、もんすたーとか言うものが、悪さして、この有様です。」(道案内中に情報交換をした)

カロスバーナが自己紹介とこの状況を説明し終わると、クリアヌの目は、興味津々なキラキラした眼でアティモスをじっと見詰めていた。

「おっと、こっちの自己紹介が終わってなかったな。 私はアティモス。 色んな意味で謎が多いと皆に言われるから、特に不思議な事が起きてもビックリしないで欲しい。」

「よ・・・・よろしく。」

クリアヌは、最近あまり喋ってないらしく、つっかえながら喋った。

「この木・・・・この木の御蔭で生きていける。 無かったら・・・・居ない。」

そう言った後、木の葉の中から、炎に包まれた赤い鳥が出てきた。

そして、アティモスの肩に飼いならされた鷹のように乗った。


ピーピー鳴いているその鳥は、ただの鳥じゃないことは、重々承知していた。

ちなみに、不死鳥(フェニックスとも言う)らしい。

やれやれと、アティモスが首を振って、不死鳥に身体を変えた。


不死鳥にも名前が付いていて、シュナと言うらしい。

同じ生き物になると、会話も楽になった。

(木は、2人がね、魔力を使って育ててるんだ)(そのお礼に、水や、食料、酸素、寝床を与えてくれるんだよ 後、僕達を護ってくれるんだ)」

アティモスは、頷いた。

(どうしてこんな事になったのか知りたい?)(知りたい? じゃあ教えるよ)」

・・・・約5時間後・・・・

「(なるほどね)」


不死鳥の言葉を通訳してると、手間がかかるので、ここで、不死鳥語なしで書いてみる。

つい最近、不死鳥くらい赤いドラゴンが出て、暴れ始めた。

沢山の友達(不死鳥)が抵抗したんだが、口を縛ろうとしたら、噛み砕かれて、眼を狙ったら、丸焼きにされた。

内部から攻撃しようとわざと、飲み込まれた仲間も居たけど、皆帰ってこなかったよ。

皆、蘇ることも無く冷たい鳥(死んでしまった鳥)になってしまったよ。

人も沢山冷たい人になったしまったよ。

けど、2人はまだ暖かい人(生きている人)だったよ。

そのうえ、僕を保護して、食べ物も名前も寝床もくれたんだよ。

このバブルでこのモノリス界中を回ってみても、人っ子一人・・・・いや、ミジンコ一匹居なかった。

今でもまだ諦めまいと、僕は、暖かい生き物を探しているよ。

君には、カミサマの血が流れている。

この世界をもしかしたら変えれるかもしれない。

また、鳥たちが歌い、木々がざわめき、子供たちが笑う世界を作れるかもしれない。

全てを君に託すよ。

君に、この銀河にある暖かい生き物全ての加護を受けるよう・・・・


アティモスは、エルフに戻った。

あらかじめ説明はしていたので、クリアヌも、カロスバーナも驚かなかった。

木の精霊になり、粉を振り撒いた。

粉はあっという間に大きくなり、20本の大木が出来た。 

「まぁ、こんな事を繰り返すだけで少しは時間が稼げる。 後、なんか木が大きくなったね。」

 大樹は、20階建てのマンションくらいになっていた。

「喜んでる、友達がまた増えたって喜んでる。」

カロスバーナは言った。

「何でわかるんだ?」

「尖った耳の人がね、樹の幹の中でね、クルクル踊ってるんだよ。 嬉しいって踊ってるんだよ。」

アティモスは、口を鎖した。

エルフは、死んでしまうと、心の臓が種になり、樹が生える。

それが大樹になる。

多分、いや、確実にこの樹は。エルフから作られた物だろう。

アティモスは、作り笑いを浮かべた。


ナモロは、一瞬アティモスが居る場所を覗けたが、すぐにマグネス界に戻された。 

戻る前に、思った事がたった1つだけあった。

エルフは、死んだら、樹になる。

だが、その樹とも知らずに、人間は樹を伐採していく。(まぁ、そうじゃない樹もあるのだが・・・・)

その時、エルフは、本当の死を迎える。

つまり、残り何千年もある命を、皆の建物や、武器のため、身を削られているのだ。

そう思うと、何かが胸にこみ上げてきた。

「じゃぁ、アティモスも、樹になったら、皆のために身を削られ、命を奪われるのか?」

・・・・冗談じゃない・・・・

「この世界を救おうとした人として、称えるどころか、身体を捥ぎ取られなければいけないのか?」

・・・・『未来(かこ)』に生きていたとしても・・・・

仲間達の顔が、ぼんやり浮かび上がった。

皆に知らせようと口を開いたが、声が出なかった。

泣いていたのだ。

自分の頬に涙が伝って行くのを仲間たちは、不安げな顔で、見詰め、アスタルテが静かに今にも崩れそうな身体を抱いてくれた。


大樹は、木の葉を揺らし、新しい木々を迎え入れた。

それは、暗い空に光の欠片が降り注いだ頃だった。

「モグアイ、貴方は、今どこに居られるのですか? 私の恩人であり、私の恋人である貴方はどこに居られるのですか? ナモロ・・・・モグアイとよく似る私の戦友・・・・彼ならもしかすると・・・・」

空を見上げ、呟いたのだが、ナモロは呼んだらすぐ来る訳は無い事くらい重々承知していたが、呼ばずにはいられなかった。

「貴方は、誰かが待っていると言ってっきり帰ってこない。10年待っても16年待っても来る様子すらない。もしかしたら・・・・いやいや、そんなはずは・・・・」 

そう言いながら、慣れた手つきで、クリアヌとカロスバーナを、寝かしつけようとしたが、大きな地響きが聞こえ、寝かしつけようとしても、なかなか眠れない状況になってしまった。

様子を見に出たアティモスは、何故か帰って来なかった。


ナモロ達は、なんかあっち(モノリス界)が大変と聞いて、旅支度をしておいた。

御信用の武器、水が入った革の袋、木の実と薬草が入っている小さなバック、干し肉、テント(役に立たないと思うが)ナモロは拳銃の替え弾を100個ほど、ゼロはノート2冊とボールペン、アローは詰め替え用の矢をナモロと同じく100本等々を持って、シリットの許可を取り、結界の壁を壊し、アティモスの元に向かった。(金銭的な口止めもしておいた。)


鉄は、もう冷えて固まり、有毒の臭いを漂わすガスも、もう出ていなかった。

「不死鳥位って、これ・・・・この赤竜・・・・バハムートその物だ・・・・」

地響きの原因は、赤いバハムートだった。

バハムート・・・・・・そういえばゼロも同じくらいの大きさの竜だったような・・・・

そうだ、ゼロが来れば・・・・でも結界の壁は閉じてしまっている・・・・

アティモスは、そんな事を思いながら、死と生の狭間に足を踏み入れた。

尾をアティモスのほうに振り、近くにあった鉄骨をあっさりと粉々にしてしまった。

粉々になっても鉄は鉄。

アティモスに当たった角ばった鉄の破片は、刺さるかかすって切り傷をつけるかのどちらかだった。

バハムートの尾を駆け上がり、生える鱗もナイフを突き刺しながら、硬くて滑りやすい竜の背中を登っていった。

甲高い鳴き声を上げ、バハムートは、尾でアティモスを振り払おうとした。

鋭い尾の先が、アティモスの、ふくらはぎを斬った。

痛みが走ったが、何とか登りきって、バハムートの目元にナイフを突き刺した。

目元に刺さったナイフしか、登るあてが無く、竜が暴れるのに振り回されている内に、尾がアティモスを掴み、空高くに投げた。

バハムートは、口を開けて待っていた。

さすがに、これは、時間の力を使っても勝ち目の無いと悟った。

だが、ふと見ると、ナモロとゼロが走ってくるのを見た。

ある記憶がふと蘇る。 見にくいが確かに、二人の記憶。

・・・・死んでしまった二人の受け入れたくない記憶。

「ナモロ、ゼロ、来るな!」

そう叫んだとき、口が閉じた。

アティモスは、食べられたのだ。

ナモロは目の前が真っ暗になった。

「アレキ、お前そんなことする奴じゃなかったろうに・・・・」

「皆さん、耳の尖ったアティモスって人知らない? 帰ってこないの。 樹は泣いてたよ。 あの人は死んでしまったって。 でもどうしてもそうとは思えないの。 ねぇ、知ってる?」

カロスバーナがバブルから出てナモロ達に聞いた。

ナモロは、アレキを指差した。

ゼロが、

「この子、視力無いんだと思うよ。」

といったので、言葉で説明しようとしたのだが、ポロポロ涙を流しながら泣き始めた。

通訳する人が居ないのに、どうして通じたのか、さっぱり分からなかった。

すると訳を説明し始めた。


==========================


「ジャリョウ・・・・神様に仕える獣6頭のうちの1頭。 最近、近未来化が進み、私とクリアヌを除くと、ジャリョウを信じなくなって行った。 皆は、私たちを奴隷のように扱って、私は視力を失い、(眼の包帯を取った だが、眼を開かずに)クリアヌは、腹を撃たれた。 視力を失い、大怪我を負っても、何故か私たちは、ジャリョウや、樹に宿る耳の尖った人を見ることが出来た。 皆、私たちのことを心配し、手当ても視力を少しだけ良くもしてくれた。 けど、ジャリョウの社は壊され、耳の尖った人たちの宿る樹は、1つ残らず切り倒され、解体された。 ただ、耳の尖った人は、たった1つ種を残してくれた。 それが、この大樹。 ジャリョウは、怒り狂い、私たちとこの大樹以外を皆殺しにしてしまった。 大樹は結界を張り、私たちを、溶けた鉄から護ってくれた。 次第にジャリョウは、我を忘れ、戦いたい一心で、地球上全ての生き物を絶滅させた。・・・・そして今、大樹の仲間さえも殺してしまった。 もう、ジャリョウは、紳獣ではない。 ジャリョウは、邪神と化してしまった。」

ゆっくりとカロスバーナは、眼を開いた。

その眼には、体操座りした、真っ赤な髪の角の生えた泣きじゃくる少年が居た。

「見えた? ジャリョウが、私の眼を治すために、自分の心の1欠片を私の眼に埋めてくれたの。その欠片のジャリョウの心よ。 見えるなら、貴方方は、ジャリョウの心を取り戻し、アティモスを助ける事が出来るかも。」

「どうやるのですか?」

「見えた人が、私の眼球に触ればいいのよ。 眼球取るって訳じゃあないから、安心して。」

それでも触るのが怖く、皆、息を呑んだ。

誰がやるかで揉め合った。

結局じゃんけんで決める事になり、ナモロが負けた。

ナモロは後ろをそっと振り返り、

「もう少しだから耐えて居ろよ、アティモス。」


===========================


「うぅ・・・・・・耐えろと・・・・無理な話だ、ナモロ。」

人の体内で言う所の胃だろうか。

酸っぱい臭いが漂い、そこには、無数の死体が骨になって浮いていた。

刺さった鉄は、無理やり引き抜き、浮かんでいたビルの1面に横たわっていた。

「洞窟で殺されかけたと思えば、マフラーの件で苦しい眼に会うし、そのまた次は、竜の胃の中か・・・・全く・・・・私はトラブルメイカーなのかも知れないな。」

「見つけた・・・・暖かい人・・・・」

声が響き、アティモスは、警戒心に刺激され、体中が痛いのにもかまわず飛び起きた。

ナイフを抜いて、警戒するアティモスに、声の主は言った。

「アレキ・・・・殺すつもり無い・・・・ナイフしまって・・・・」

ナイフをゆっくり終うと、真っ赤な髪に、丸く丸まった角、泣いたあとの顔の白い服を着た人を見つけた。

そのとき、酸っぱい臭いは消え去り、変わりに景色が真っ黒に塗りつぶされた。

「アレキ、暖かい人、いっぱい殺してしまった。 皆、アレキの事、邪神と思っている。 あいつに、油断しなかったら、こんな事、起こらなかった。」

「あいつらって?」

「黒い、英雄。」

アティモスは、問いかけようとしたが、闇に吸い込まれるように、気が遠くなっていった。

「ごめん、暖かい人。 暖かい人少し休んで。 アレキ、暴れたから、こんなことになってしまった。 暖かい人さえも、傷つけて、しまった・・・・・・ こんな、アレキ、生きてていい?」

アティモスは、声を絞り出しながら言った。

「あなた自身は、生きちゃいけないと思うだろうけど、死ぬと悲しむ人が居るじゃないか。 だから生きてていいんだよ。 自分だけの道を歩んでいいんだよ。」

「ありがとう、ありがとう。」

アティモスは、その場に崩れるように横になった。

冷たいはずの闇は、暖かく、アレキの存在が、安心感を呼び寄せた。

そのせいか、アティモスは眠った。

眠ったということは、ただ眠りに付いたってだけ・・・・だよね?

次回、モノリス界、アレキがどうなるかお楽しみに^0^

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