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時の巡り手は何を思う  作者: narikori11
新陽の森編
16/17

暫しの休憩 叶わぬ夢

(アティモス)「デザートでも作っておこうか。 マカロンと、エクレアと、モンブランと・・・・ あぁ       もう!! ありすぎて作れない!」

(ナモロ)  「ほっといていいですよ。 先に、物語どうぞ。」

ナモロが眼を開けると、まず硬直して、次に眼帯を着けさせられた。


「・・・・ いきなり眼帯を着けさせられても・・・・」

「お前・・・・ 眼を抉ったりしたか?」

「仲間が傷つくよりかは私が傷つくほうが精神的ダメージが小さいが、自分で眼を抉る趣味は無いぞ。」

「・・・・」


最後には、泣き出した。


「!? な、なんか悪いこと言ったか? えっ? どういうことで、こうなって・・・・ あれ?」

「お姉ちゃん! 薬膳茶淹れてきたよー! ってこれってどういうこと?」


その日のお昼ご飯時の私が居る部屋(二階)で・・・・


〈説明中〉


「言って良い?」


全員固唾を呑む。


「・・・・ アティモスの体の件もあるけど、私たちも相当精神擦り減っているからね! 頭が回らないのは、多分それが原因よ。 二日や三日ぐらい休まなきゃ身が持たないわ。 医師として言わせてもらうけど、このまんまだと皆倒れるからね!」


何も突っ込めません。


「休むのならアレキは、そうめん流しって言うものをしたい。」

「ひなげしは、カードゲームをアティモスと一緒にやりたいな!」

「ゼロもお嬢さんと一緒にカードゲームしたい!」


3人の話によって、休みに何をするのかという話題に変わった。 話題の一つ一つを紙に書き出していくと、以外とやることが無いのが判明。 なので、書き出したものを全て実行することに。


まず、全員でカードゲーム! ビリは、晩御飯を作る!(私じゃない奴が当たったら笑う)

豚の尻尾で遊ぶのだが・・・・ 一向に数字は愚かマークすら被らないまま29枚のカードの山ができる。


「次はアティモスだ。」


今、一番上にあるのはハートの4。

近くのカードを見えない様にカードの山の上に持って行き、ひっくり返す。

そこから見えたのは、赤のマークのカード。

アローがカードの山を叩く。


「よし!」


私はアローの肩をポンと叩いた。


「・・・・ まさか!」


アローがゆっくり手を上げるとそこに見えたのは、3の・・・・

ダイヤだった。


『ドンマイ』

「・・・・ やっちゃった。」


アロー、大借金。 復活率・・・・ 3%

結局、アローがビリになって今日の晩御飯を作ることになった。

今日の晩はどんなことになるのか?


さて、一時ぐらいに鬼百合とひなげしが虫かごと虫取り網を持ち、ついでに薬草を採ってくると言った菜の花も行ってしまった。

アローとアレキ、ゼロはそうめん流しの竹を取りに行った。

他の憎きアカモートを含む仲間たちは家事を行っていて、誰もアティモスの居る部屋を訪れない。

誰も居ないことを確認して、私は部屋にあった化粧台の鏡で眼帯を外した。

外した後すぐは、瞳がオレンジ色になっていること意外は普通の眼だったが、黒い涙が流れてきた時瞬きをしたら、白目は見るのも恐ろしい黒い色に染まっていた。 何もかも飲み込む絶望の様な色。

アティモスはそっと眼帯を着けて、何かを決心した。


窓が大きな音を立てる。

びっくりして窓を恐る恐る開けてみると、縦に半分に切られた竹がすごい勢いで窓から入ってきた。

私は避けきれず、その竹は眉間に見事に当たった。

二回で、誰かが倒れる音がしたのは言わずもがな。

慌てて菜の花とナモロが駆け込む。


「「どうした!」」

「・・・・ 一言、言ってって良いか?」

「「なんだ! またやらかしたんだろう!」」

「今回は、態とじゃな、い。」


で、気絶。

次にベットで起きた時は、アレキが怒られていた。  様子を見に来たひなげしに、どうやら、私も参加(?)できるようにアティモスの部屋からそうめんを流すような仕組みにしたかったらしいと、情報をもらった。 で、窓に竹突っ込んで、こうなったと。

私は窓から身を乗り出し、


「アレキ!」

「・・・・ !」

「ありがとう!」

「・・・・っ!!!」


アレキは頬を紅潮させ、口をパクパクさせている。

嫌な予感がする・・・・ (人間関係的な意味で)


しばらくしたら、鬼百合とひなげしが帰ってきた。

手には、ひなげしの手にはカブトムシ。 鬼百合の手には・・・・ カブトムシの幼虫。


「これ栄養ないよ!」

「鬼百合がね、たんぱくしつ? っていうのが、幼虫にいっぱいあって体に良いんだって!」

「うん、知ってるよ。 でもね、この幼虫生きてるんだ。 二人と一緒。 きっと、切られたら痛いだろうし、焼かれたら辛い。 食べるものに困ったときに食べよう。 そのとき意外はきっと可哀想。」

「「あっ・・・・ そうだね。」」


結局そのカブトムシは、私の部屋に置いてある虫かごで飼われてる。 (育てると可愛く思えてくる。)

今、絶賛成長中。

夜、ちょっと虫かごを突こうとして虫かごに近づくと、ドアからノックの音が聞こえる。

どうぞのどの字も言えずに、行き成りドアが大きな音を立ててカロスバーナが現れる。


「アティモス!」

「!? な、なんだ!?」

「驚きすぎだよ。 ねぇ、ジェンガやろう!」

「あ、あぁ。」


カロスバーナに手を引かれながら2階を降りるとテーブルを囲んで皆が慎重にジェンガの棒を引いている。


「あれ、入る隙間ある?」

「・・・・ 無いね。」

「・・・・ 何か作ろうか。 おーい皆!」

『?』

「漉し餡と粒餡どっちが良い?」

『粒餡。』

「意見が、分かれない、だとっ!」


そんなことをいいながら、お饅頭を作り、テーブルにそっと置く。

皆、静かにジェンガをしている。 まるで私がそこに居ないように。

私が、居な・・・・


「ん! これ美味しい! やっぱ粒餡に限るな!」

「・・・・ スポンジ生地の饅頭だったら、カスタードクリームが食べたい。」

「アレキは、チョコ派。」

「ゼロは抹茶!」

「ひなげし、あれ渋いから苦手!」

「わたしは、イチゴもありかな。」

『えっ・・・・ それはちょっと・・・・』

「な、なによ!」


アスタルテ、饅頭にイチゴの餡は少し・・・・ もしかして、イチゴ大福のことを言っているのか?

で、アローの作った晩御飯だが、私の料理を見ているのか、ミディアムのステーキを作ってきた。

って言うか、肉はどっから採ってきた?

そんなことを思いながら、一日が終わった。


次の日、私が起きるとそうめん流しの装置ができていた。 私の部屋からそうめんを流すことはいいのだが・・・・ そうめん流しを楽しめないだろう。

・・・・ そうだ!


昼ごろ、装置に水を流し始めた。


「始めるぞ!」


下で皆が私が作っためんつゆを小さな容器に入れ、箸を構えて待っている。

一束分摘んで、装置に流す。

一番始めに居た、ひなげしが不思議なことに気付く。


「アティモス、これ色付いてる。 みどりいろだ。」

「おっ、当たりだ! 明日の晩御飯にひなげしの好きなモンブランをデザートにつけよう!」


皆のやる気が一気に上がる。


「アティモス、ピンク色!」

「ピンクは外れだ。」

「えぇー!」

「まぁ、美味しいからいいじゃないか。」

「うん。」


アスタルテがそうめんを啜る。


「当たらなかった! 緑色じゃない!」

「じゃぁ、鬼百合にはチーズケーキだな!」


まぁ、全員に当たるようにしているが・・・・

が、緑が一本足りず、クリアヌが取りそびれた。


「・・・・ 僕だけ、好きなもの・・・・」

「クリアヌ、君には残念賞として・・・・」

「・・・・」

「デザートに、イチゴの挟んだエクレアをデザートにあげよう。」

「!」


クリアヌの顔が安堵に包まれる。


夜には、菜の花の薬を作る手伝いをして、包帯を巻きなおしてもらう。


「足は結構治ってきたね。 でも小さい傷は治る気配が無いし、アレキに噛まれた後は塞がってもいない。 でも、ここからはもう出歩いていいと思うよ。」

「・・・・ わかった。」


菜の花は、何も言わず一人にしてくれた。


次の日、外出許可が出た私をカロスバーナ達が引っ張って、森の中に連れて行く。 森の中にいた、動物達が私たちを出迎えてくれた。 心配するように鳴いて、体を足に擦り付ける。 その中に居た猫を抱き上げると、頬を摺り寄せた。 頬を伝う『それ』を猫は舐めてくれた。 でも、次から次から両目から溢れてくる『それ』は、皆を困惑させてしまったらしい。 皆が、慌てている。 皆が、居る。 幸せだなぁ。


一気に話はとんで晩御飯はほぼ、ティータイムの様なメニュー。

アスタルテがマカロンを頬張っている。 ひなげしは、モンブランをちびちび食べている。

静かに私は、階段を上がっていく。


ドアを開けると、窓の向こうから星空が私を覗いている。

星空に隠し事は出来ない様だ。 彼らは罪を吐き出せようとしてる断罪人の様に私を責め立てる。 月明かりも無い。 今日は新月だ。

罪状を吐き出す罪人の様に、私は啜り泣きながら、しゃくり上げながら声を殺した。

眼帯の隙間から流れる黒い色の涙は、慰めるように頬を撫でる。

理不尽だ。 何で? 私だけ? ヤダ。 私だって生きたい。 なんで? なんで? だれか教えてよ! なんで、私だけ! 教えて!

心が叫びだす。

下にいる、仲間たちの幸せな空気を乱さないために、口を開いたら突き出そうな言葉たちをまだ収めている。

涙の色は、もっと黒くなっていった。 悲しみにを染まって、青色に光を反射する。 心が縮んでいきそうだ。

小さな声で呟いた。


「たすけて・・・・」


心が縮んで、縮んで、息苦しくなった。 傷が痛んで、床に倒れた。 何も分からない。 苦しくて、痛くて、辛くて・・・・ 痛い。 居たい。

おい、待て待て・・・・ 普通、泣いただけでこうなるか?

冷静な反応が頭に浮かぶ。

しかも、今回って安全回だってどっかの誰かが言ってなかったっけ? (誰が心身の損傷を保障すると言った)

って言うか、真っ暗なのだが!?

皆・・・・ ってデザート食べてるんか。

でもまぁ、いつかこんな風に独りぼっちになるんだがな。 でも、こう、もうちょっと良い最後ってのを迎えられないのかねぇ・・・・

そんなことを思っていると一筋の光が差し込み、そこに向かって歩く。

そこから、風が吹き込み草原が揺れる。 向こうでふわふわの白い毛の羊と一緒に皆が踊っている。


「ねぇ、一緒に遊ぼう!」


手が差し出される。


「もう戦う必要も、対立する必要なくなったんだ。」


金髪の男の子が背伸びしながら言う。

私は、恐る恐る手を差し出す。

彼の橙色の髪が揺れて、私は幸せの中に飛び込んだ。


=========================


「おい! 起きろ!」


起きてるじゃないか。 一緒に遊んでるだろう。

羊に体を預けて、笑いながら私は言う。

そうだよな?


「っ・・・・」


彼は黙りこくった。 向こうでは皆が追いかけっこしている。

良いじゃないか。 戦わずに、対立もせず、皆一緒。 とても幸せだ。

星空が静かに見守っていて、一つ星が流れていった。

ほら、願い事したらどうだ? 私は願うものはもう無い。 だから、君の願いが叶うようにしたぞ。 言ってごらん。 


「俺は・・・・」


「さぁ、言ってごらん。」

「・・・・ 君が、そんなに、自分を傷つけないように、傷つかないように、星にも言い聞かせたいさ。」


窓から落ちて、今、ベットの上、夢の中で微笑む彼女の手を硬く握った。

皆とデザートを一緒に食べても、あの未来かこには殺される。 ずっと、不安に怯えている。

この彼女には、ココにしか安息の場所は無い。 嘘の空間、幻想、儚く消える夢の世界に彼女は身をおいて、楽しく踊っている。

なぜ彼女が、こんな重荷を背負わせれて居るのかは分からない。 でも、この彼女を救えるのは自分だけだと言い聞かせて、自分を鼓舞した。


「少し、休んだらどうだ? 俺が皆と遊んでおくから。」

「分かった。 少し休む。 体力無くなったら言えよ。」

「・・・・ 分かった。」


ドアを開けると、ひなげしが立っていた。


「行くんでしょ。 アティモスと似ているから、皆の足止めぐらいにはなる。」

「・・・・ 頼んだ。」


ひなげしが階段を下りて、皆と話している隙に裏口から出る。

星が浮かび、遠くに街の明かりが見える。

誰か来ないか注意深く気配を探る。

蛙の鳴く音が響いて耳に届く。

草原を駆けるウサギ。 ネズミを狩るフクロウ。 木々のざわめき。 風の音。

一つ奇妙な音。 錆付いた機械の動く音。

奴らが来た。 彼女を苦しめた。 少女たちを苦しめた。 この世界を苦しめた奴らが来た。

銃を取りだす。 少し心もとないハンドガン二丁両手に持って、奴らを出迎えよう。

苦しめた元凶共に一泡吹かせて、未来を変えに。

建物の中から大きな笑い声が上がる。 そしてその時、大きな樹がチェーンソーの音と共に大きく傾いて、倒れた。


君は、こんな気持ちだったのか。

一人仲間の笑い声に背中を叩かれ、耳をそむけ、ただ、これは皆のためだ。 私が諦めては、皆が死んでしまう。 だから、まだ生きて、生きて、帰りたい。

敵に飛び込み、かすり傷を付けながらも風のように走り、カマイタチの様に喉を切り裂いていく、彼女の姿が浮かんだ。

気付かれないよう、息を潜め。 気配を隠し、敵意も隠し。 味方に知られないように影で戦い続ける。

そりゃ、あんなに傷だらけになろう。


「だが、少しぐらい頼ったって良いと俺は思うんだけどな。」


高い音とチェーンソーの回転する音。 目の前に大きな人型の機械が立っている。

銃を構える。 弱点に狙いを定める。

チェーンソーが鈍い音を立てて何かを切っていく。

何も感じなかった。 こんな憎い、憎い相手を見て痛みも焦りも緊張もどこかに行ってしまった。

あるのは、怒り。

強い怒りが、身を焦がしていく。 唸り声を上げながら相手を睨む。


その月夜。 平穏だった何かが拳銃の発砲音と共に、吹き飛んでいった。

(アティモス)「おい、ナモロ、まさか・・・・」

(ナモロ)  「何でも無い、何でも無いから、筆者に対して、哀の装備でレイピアを押し付けるんじゃな       い!」

(ひなげし) 「次回はバトルシーンからです!」

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