薬局の助手と患者
モノリス編その後になります!
アカイア界はもう、敵が機械化&クローン化しちゃって・・・・
不気味な空間から出たら、空中に放り出された。
『えっ・・・・ えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』
まさかの展開に皆慌て始める。
ゼロとアティモス以外は。
声が震え、風がもの凄いスピードで横を通り過ぎていく。
時計台の鐘の音が響く音がする。
風が来なくなった。
「全く、あっちゃんは状況を読みすぎなんだから。」
冷静さを取り戻したナノハナは落下地点の近くにある小さな小屋向けて大声で言った。
「お~い! 終、クッション用意!」
小屋から白い髪の白い獣耳の半妖が出て来た。
そして一時慌てると、家一つ分立てられる程大きい面積のクッションを引きずり出してきた。
アティモスが大きく息を吐いたかと思うと、落ちるスピードが速くなった。
「おい! ゼロ、びっくりしないのか? まぁ、お前ならドラゴンだからな・・・・」
ナモロが苦笑いする。
「ゼロ、高い所大好き! こんな高い所からのダイビング初めて・・・・」
「? ゼロ?」
「初めて・・・・だっけ?」
何を言いたいのか分からないうちに、クッションに揉みくちゃにされる。
「これ、あんまり使ってないだろ? 埃臭い! 喉がイガイガする!」
「ぜ・・・・ ゼロも~・・・・」
二人が不満を言う。
灰色の煙に見える誇りが空中に待って、余計に噎せる。
「ナノハナ、もうそろそろ、開店の時間だよ。」
終が言う。
「その前に・・・・ 急患! ベット空いてる?」
「うん・・・・ 空いてるけど・・・・」
「医療道具は?」
「麻酔は無い。」
「とりあえずユウ(痺れ薬みたいな効果がある草)はある?」
「ある。」
「まどろっこしいから移動する! 三人さんは外で待ってて!」
もの凄く速い言葉に追いつけない二人はポカーンとナノハナが立っていたところを見詰めていた。
終が裏口から出てきて、近くにある草を摘みに来た。
そして、また駆け足で小屋に帰っていった。
ゼロの虚ろな眼に何かが映る。
「え、ちょ、まって、ゼロ知らないよ、そのまま地核行っても知らないよ!」
「おい、ゼロ、何を何所に向けて言っているんだ・・・・ って、待った待った! 何も出来ないぞ! クッションもクッションとして成り立たないぞその速度だと!」
見えたのは落ちていく仲間達。(ただし、シュナと三兄弟は除く)
「ゼロ、アレキはドラゴンになれないのか?」
「あ・・・・ アレキは未熟だから、暴走するかも・・・・」
「あの騒動はあの時でコリゴリだ~!」
また、鐘の音が響いた。
「おい、何やってんだ!全員紐無しバンジーか? 台も無いのに・・・・ あぁ、アティモスに蹴り入れられる・・・・」
アカモートの声が響く。
ゼロとナモロは内心で。
「ナイスタイミング!」
と思っていた。
所がそれもつかの間。
後ろから白衣の男が銃口をアローに向ける。
銃声が響いた。
死を悟ったアローは眼を瞑ったが、身体から力が抜ける事も無かったので恐る恐る眼を開ける。
そこでは、一人の天狗が奴に回し蹴りを食らわせていた。
「・・・・ 大丈夫か?」
天狗が、天狗の面を取ると、黒い髪を後ろで束ねたの少年の顔が見えた。
「はい、ありがとうございます。 あと、失礼ですがその羽って本物ですか?」
「・・・・ 本物だが・・・・」
「・・・・ なんかすいません。」
鐘の音がプッツリ切れたとき、皆は、ナモロ達と同じ様に埃臭いクッションにダイブした。
「面白そう! 僕も!」
「ずるいぞ俺もだ!」
「あっ、お兄様たちだけずるい!」
三兄弟もダイブする。
ただし、シュナはダイブしたら大炎上するので、空中で待機していた。
ナノハナが出てきて、
「お三人さん、終わった・・・・ って、なんか増えてる! 何コレ! どれだけ居るの? また次はこないよね? ん? アカモート兄さんだ!」
と言ってはしゃぐ。
「本当? ・・・・本当だ! アカモート兄さん!」
「お、ユリとナノハナ、久しぶりだな! 実験室以来だな!」
「全くそうだよ。 心配してたから・・・・ その顔・・・・ アロー?」
話を急に振られたアローは眼をパチクリさせる。
「アローですけど・・・・」
「やっぱり! ビン越しにしか見たことないけど、とても小さいから憶えてないよね。」
「???」
「あっ、三人、応急の治療は終わったよ。 良かったね。 私が医師で。 全く、逆らったらああいうことなるの知ってるくせに。」
『???』
「・・・・ まぁ、中で話そう! 別にアティモスに聞かれても大丈夫だし、私にもユリにも、アカモートにも関係あることだし・・・・」
皆、藁の屋根の小屋に入る。
案外広い小屋の中に円になって座った一同。(アティモスは二階にて絶対安静!)
「アカモート兄さんが説明したと思うけど、人体実験の材料なんだよね。 生物兵器の為にね。 まぁ、ゾンビじゃないだけましだけど、一時、脳内に入っているこん・・・・ こんぴゅーたーとやらで制御されるんだよね。 そして、感情を持っているから、裏切る可能性もある。 その時は、心臓に仕込んどいた劇毒のカプセルが割れるとか何とか・・・・ 柔らかく言ったらこんな感じかな。 それとも、もっとハードが良かった?」
「いえ・・・・ むしろやめてください・・・・」
ナモロが言った。
ゼロも真っ青になっている。
目の前で見た。
じゃあ、もう・・・・
「あっ、ちなみに解毒もしておいたから、もう劇毒云々は気にしなくていいよ!」
二人は胸をなでおろす。
「さて・・・・ 本題は、呪いがどうのこうのと言っていたね。 その件だよ。 お二人さん、アティモスがお供えした花の本数、一番多いのは何本?」
「・・・・ あぁ、四本だ。」
「なら、まだいいね。 アティモスの友達は全員で十人余り。 まだ完全に思い出しきってない。 その花の数は、多分自分以外の友の数を表わしている。 アロー、ユリ、私、そして貴方たちも見たでしょう、一つの引き出しの中身を。 その子が、ヒヴ。 この全員で丁度四人。 アローとユリと私は確実でしょうけど、ヒヴの遺体だけを当てたのが一番気になるところなのよ・・・・ 神の力でも使ったのかしら?」
「・・・・ なんで知ってるんだ?」
「だって、神の力だって実験で手に入れたものだから。」
「・・・・ アカモート、コレは?」
「・・・・ すまない、何も知らない・・・・」
「・・・・」
上の階から物音がする。
ナモロが、上の階に上がって、寝室の襖を開ける。
そこはアティモスが居るはずだが、そこには誰も居なかった。
「・・・・ あいつ逃げやがった!」
ナモロが大声を上げると、皆がバタバタと上がってきた。
誰も居ない部屋と探し回る。
「おい、最後に見かけた奴は?」
「私だけど。」
ナノハナが手を挙げる。
「いつ!」
「皆と集まるまで・・・・」
すると、屋根が空いて、アティモスが顔を出す。
ただし、皆は気付いていない。
アローが、アティモスの髪を、電灯のスイッチかと思い、引きおろす。
アティモスはそれに引っ張られ、頭から落ちた。
大きな音にびっくりして全員振り向くが、盗賊の本能で屋根に上り、隠れるアティモス。
そしたら、不意に眠気が襲ってきて、誰かが持ち上げる感覚を感じた後、眠りに落ちた。
外から、三兄弟の警戒音の甲高い鳴き声が響く。
ナモロが、窓から身を乗り出した。
黒い影が通り過ぎると、黒い羽が振ってくる。
あの天狗かと思った。
天狗はアティモスを抱えていた。
「あっ、ユイン、薬いらないの?」
遠くで煙が上がっている。
「あぁ、今日は迎え盆だった。 ヒヴにでも会っていたのか? 僕も会いたかった・・・・ !」
アローが窓から顔を出す。
「お姉ちゃん、何やってるの! 速く起きて!」
暫くユインが固まった。
その後、皆、家で身を硬くするようにと言って、アティモスを窓から放り投げた。
「ちょっ、まっ、」
アローが慌てる。
すると、ナノハナが見を乗り出し、
「薬飲む前に来るなんて厄介ね! もう、妖力貸して上げるから凌いで!」
紫色の気がユインに行く。
ユインが狐の窓を作ると、そこから、六角形のパーツをはめ込んだ様な、結界が周りを覆って言った後、黒い突風が押し寄せてきた。
「この風はっ・・・・ 何なんだ?」
「最近、モノリス界に追いつこうと、近代化が進んで、汚染した空気が一気に此方に流れてくるの!」
「何でこっちなんだ?」
「ココには、人じゃない妖怪がいっぱい居るから、自分たちに害が及ばないように、別の生き物に汚染の影響を受けさせるの!」
ナモロは、とても嫌な臭いを嗅いだ。
まるで、生き物が焼ける臭いが。
「ちょっ、お姉ちゃん!」
アローの慌てる声の後、着地音が響いた。
ロープか何か無いかと腰の辺りを探ると、銃が2つ取られているのに気付いた。
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駈ける足音が響く。
機械仕掛けの人形が甲高い悲鳴を上げながら、近寄ってきた。
助けを求めている事でない事は、素人にでも分かる。
右手に大きなチェーンソーを持った錆付いた腕が突き出される。
額を掠っただけだが、顔を赤く染め上げていった。
大きな音を立てて、チェーンソーの回転が速くなる。
地面を蹴って、銃弾を放った。
赤黒い燃料を浴びた緑色の服は一瞬にして赤黒くに染まった。燃料は地面に当たるや赤い煙になって視界を塞いだ
エンジンを直撃された人形は倒れる前に最後の悪あがきをした。
錆付いた指がアティモスの服を引っ掛けてアティモスの身体をチェーンソーの下にした。
避けようとした時、チェーンソーの刃が肋骨にあったて甲高い音を立てる。
耳が高い音を立てて、いきなり雑音を立て始めた。
血潮を吐き出したアティモスはなんとか刃を取り外して逃げ出した。そのせいで手は傷だらけだった。
嗅覚のいい獣たちや視覚が優れた鳥類達、聴覚が桁外れな種族も居るので、アティモスが戦っている事くらいは丸見え・・・・ 丸聞えと言うか・・・・ バレバレだった。
火花が散って甲高い音が響いた。けれど皆身動きが取れなかった。
嗅覚が優れたものはガソリンの臭いに、聴覚が優れたものは甲高い音に、視覚が優れたものは赤い煙に行く手を阻まれた。
近くの茂みに狼に追われる兎のように飛び込んだアティモス体温が下がっていくのが分かった。
聞える音全てがくぐもって、耳の中で反響しているようだった。
草を踏み分ける音が聞えても武器を構えることが出来ない。
銃を置いてきてしまったアティモスの生死はその物に託される事になった。
「・・・・ あてぃもす?」
最後の声の主は、次回明らかになる予定です!
次回はがんばって改行・空白抜きで約7000文字突破したい所です!
できれば前書き・後書きをキャラクターのセリフ風にしていきたいです!