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抱き枕がしゃべった?!

前話の誤字と誤表記(何言っているのかわからない文章)を訂正しました。


誤表記の箇所で言いたかったこと:

光魔法と闇魔法だけはその属性の人間以外が使っても意味が無い。

例)攻撃魔法Lv.5で攻撃魔法Lv.1の効果ぐらい

ボフッボフッ


闇魔法を教えてもらえないと言われた魔法授業の後、わたしは自室のベッドによじ登って羊の抱き枕でベッドの頭側に置かれていた複数の枕を叩いていた。


「痛いッス! やめてッス!」


「あ~!! も~~~!!! 闇魔法は邪悪な魔法使いが使うものですって!! せっかく、闇属性を持っているのにこれでは使えないわ!! なんなのよ、もう!! 闇属性なんてハズレじゃない!!」


わたしは癇癪を起こしまくっていた。


それもそうでしょう?

稀少な闇属性持ちだと褒められていたのに、実際は一番適性のある闇魔法が使えないなんてあっていいものかしら?!

それも魔物扱いされている邪悪な魔法使いが使う魔法だからって・・・凄い威力があるのに使うことを禁じられるなんて。

わたしは邪悪な魔法使いにならないから教えてくれてもいいじゃない。

他の貴族の令嬢に光属性の子が(孫も)いないおかげで、稀少な属性持ちはわたしだけってことで第一王子の婚約者になっているのよ。後妻に決まっているわけじゃないから、よく聞く継子いじめの魔女になるはずもないし。


「だから、痛いからやめてくれッス! 闇魔法は邪悪じゃないッス!」


何か音がしたような気がするけど、きっと廊下で使用人が何かしているのね。


「思い出したら余計に頭にきましたわ~!!」


ボフッボフッ


「痛いッス! 痛いッス! お嬢ちゃんはこんなことする子じゃなかったはずッス!」


何か声が聞こえたけど、気のせいね。きっと廊下で使用人が何か話しているんでしょう。


「闇属性だからって、なんでこんなにイメージ悪いのよ!! 悪用しないんだから教えなさいよ!!」


ボフッボフッ


「痛いからやめてくれって言ってるッス!!!」


何、この声?


わたしは声のするところを探した。


「ここッス。 ここッス。お嬢ちゃん、そんなふうにつかまないでくれッス。お嬢ちゃんは小さな淑女レイディッスよ?」


目の前の積み重ねられた白い枕。ではなく、手元から聞こえてくる。手元には間の抜けた顔をした羊の抱き枕。

この抱き枕、物心ついた頃には引きずって歩いていたくらいのお気に入り。一度、メイドがお風呂に入れてくたびれてしまってからはわたしが自分でお風呂に入れることにしている。

わたしの一番のお友達で名前はバトラー。お父様やお兄様みたいに専属の従者が欲しくて、バトラーと名付けたの。

その一番のお友達で枕を叩くのはどうかと思いつけるほど、今のわたしには余裕がなかった。


「バ、バトラー。わたしのバトラーが・・・!」


「そうッス! お嬢ちゃんの一番のお友達のバトラーッス!」


枕が話すはずがない!

あ、でも、抱き枕だからって話すのかな?

でもでも、バトラーは今まで話さなかったから抱き枕も話すはずないはず。


「どうして、バトラーが話しているのよー!」


「痛かったからッス!」


魔法なの?!

これは魔法?!

何の魔法でバトラーが話すようになったの?!

魔法だとしたら何属性?

火、じゃないわよね?

水?

土?

まさか誰かが風魔法で声を運んで?

それとも光魔法?


「これ、何の魔法?」


「闇魔法ッス!」


「闇魔法? 闇魔法でバトラーが話せるようになったの?! 誰が闇魔法を使ったの?! バトラーの知ってる人?」


「闇魔法で話せるようになったんじゃないッス! 元々、話せたッス! 普通の抱き枕のフリをしていただけッス!」


「バトラーは話せるの?」


わたしは無言で羊の抱き枕を手にベッドを降りて窓を開ける。


「話せるッスよ。というか、何するッスか?」


わたしの行動をバトラーは不審に思ったようだ。

抱き枕であるバトラーの表情は変わらないので、声だけが感情豊かで逆に気持ち悪い。

話すことすら気持ち悪いのに、更に気持ち悪い思いをさせられるとは思ってもみなかった。


「話す枕なんて怖いじゃない。捨てるのよ!」


外へ投げ捨てた。

落ちていく羊の抱き枕を見て、これで一安心だと思ったら、落ちていったそれはフヨフヨと浮かんで戻ってくる。


怖っ!!


「何で戻ってくるのよ、この呪われた枕!」


羊の抱き枕はわたしと同じ目線の高さに浮いている。


「いきなり一番の友達を捨てるなんて、何、考えているッスか?!」


「話すし、浮くし、戻ってくるし、これは燃やさないといけないのかしら?」


「燃やすなッス! 呪われてなんかいないから燃やすなッス!」


呪われている存在が自分から呪われているなんて言うはずはないわよね。


「燃やす以外には・・・そうだ。バトラーは魔物になっちゃったに違いないわ。光魔法は――」


わたしは習ったことのある光魔法の中で一番強い魔法を思い出そうとした。


「光魔法はやめるッス!! この国を消滅させる気ッスか?!!」


「この国を消め・・・?!」


消滅?

今、消滅って言った?


「火魔法に相対関係の水魔法を当てたら、火が消えるか、水が蒸発するか、大爆発が起きるッス! 闇魔法に光魔法を当てたら同様のことが起こるッスよ!」


「え?」


火魔法に水魔法を当てて、火魔法のほうが圧倒的に強ければ水魔法を打ち消すことができる。水魔法のほうが圧倒的に強ければ火魔法が打ち消される。問題は威力の差の少ない二つの相反する属性の魔法の場合、一番小さな魔法同士であっても爆発が起きる。


光魔法と相反する属性の魔法は――闇魔法。


「バトラーには闇魔法がかかってるの?! 魔物になってしまったのではないの?!」


「魔物でも、魔法にもかかっていないッス! 闇魔法ッス!」


「闇魔法?」


「そうッス! 由緒正しい闇魔法ッス!」


「はあ?」


わたしは気の抜けた声しか出なかった。


闇魔法にかかっているのではなくて、魔法自体?

何、それ?

魔法自体が意思を持っていていいものなの?

それよりも、魔法自体が生命体であっていいの?

理解できる範疇を超えすぎている。

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